2009年1月1日木曜日

閑話 その三

イラスト3

 蛭ヶ岳の名前は蛭が多いからだと何かで読んだが、確かに東面は蛭だらけで、早戸川を渡渉する時なぞは必ず蛭にやられる。
 釣り人は良い、馬鹿長と称する胸迄覆う長靴(?)を装備している。こちとら、登山靴を脱ぎ、ひたすら渡るのみなので、蛭からすれば鴨葱状態、わっと寄って来るのも無理からぬとは理解してはいるのです。
 蛭の身の上話では無い。そんなもん聞きたくも無い。
 蛭ヶ岳山荘が一番混むのは(詰まり丹沢が一番混むのは)五月なのだ。当然、当たり前田のクラッカー。古くて御免(ペコリ)。暑く無く寒く無く、絶好の季節の上に連休と来ちゃあ山好きは勇んで出掛け、大変な事になるらしい。私はその時期は大抵は上越なので知らないが、旧蛭ヶ岳山荘で教わったのだ。
 当時は二百人収容の小屋だったが、そんな人数では無く、どんどん人が来るそうで、仕舞いには土間は愚か、階段に迄人が寝ている状態で、他の小屋で覚えが有るが悲惨とは此の事です。
 お盆の北穂小屋に泊まった時、天候悪化で幕営客も飛び込んで来て超々満員(私は巡り合わせ良く、しょっちゅうそんな目に会います)。短パン半袖ですっかり日焼けして熱くて痛くて(経験有るでしょう?)居たたまれず土間に逃げたら、同じ思いの同士達が数人シェラフカバーに入って転がって居る。残念ながら私のカバーはザックに入っていて、それも山の様に積み重ねられたザックの一番底、試みたけど取り出すのは不可能、丸くなって寝るしか無く、偉く寒かったのです。
 蛭ヶ岳山荘に泊まる人は未だ良い。良くないのは夕暮れ迫るのに降りて行く人達。
 曰く「済みません、懐中電気は有りますか?」
 有るけど売り物では無く小屋の必需品なので、無いと答えざるを得ない。当然で有る、何考えてんだ!それが親子連れだったりするそうで、「可哀そうに、苦労したでしょうね」と言う事になる。
 「水を売ってください」も多かったそうで、水は無いと書いて有るだろう!とは言えず水場を説明するが、切羽詰った人には内緒で分けていたそうで、大変ですなあ。今の県営小屋は水もヘリで大量に荷揚げするので大丈夫、売って呉れるが、ビールと同じ値段。当然の事、ヘリの料金は内容で無く重さだから。とても無粋ですと、ヘリに言ってやりたい。
 混む時は常連客が狩り出される様だ。ある混んだ日、ビールを運んで来てくれた中年の男性は「登って来たら、突然手伝ってと言われて、いやー、参ったですよ」と満更でも無い様子で語った。
 そうでしょう、そんな時は一人や二人では無理だ。猫の手も借りたい状態。でも、猫の手を借りて役に立つの???見た事無いから言明はしないが、役に立たないと思う。と言う文が最早馬鹿っぽい。はい、反省します!
 主脈の話に入るので、一寸とした前触れの積もりでした。失礼しました。

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