写真の焼き物は余りにもメジャーですな。砥部の中でも、最も代表的絵柄なので、どなたにもお分かりでしょう。徳利とぐい飲みだが、あたしはセット物は買わないので、別々に選んだ物です。
砥部は厚手の磁器で、染付け専門の感が有ったが、今では色もふんだんに使う様になった。時代で有る。独特の厚さだけは変わらないのが嬉しい。
松山駅から十分程お堀に向かって歩くと、右側に小さな本当に小さな、砥部焼き専門店が有る。徳利もぐい飲みも其処で、別の時に買った物なのだ。店のおばさんは言う。
おばさん「最近は東京のお店からの注文も増えたんですよ。割れなくて良いって」
そうでしょうとも!薄口の洒落た磁器は勿論最高だ。食べ物も酒も美味しくなる。が、一寸とした拍子で割れる。割れなくとも欠ける。口の欠けた食器を出す店は最低だ。従って、欠けるは割れると変わらない。
其の点砥部は最強で有る。磁器では一番丈夫だろう。少々値が張っても充分元は取れる筈だ。其の上、砥部独特の味わいが好まれるので、店では一石二鳥と言う事だろう。
独特の味わいとは、一目で分かる分厚くてずっしりとした白い肌に、鮮烈にして清楚染付け(最近は変わったが)、如何にも安定感の有るシンプルな形。見る人、使う人を落ち着かせる不思議な味わいが有る、とあたしは見て居る。
ま、ぬくもりの有る磁器と言う位置づけでしょう。普通は陶器にぬくもりを感じるものだから。
砥部は松山市内には違い無いが、バスで相当走る。窯巡りは殆どが坂道で有る。焼き物を見に来たのかハイキングに来たのか、よく分からなくなって仕舞う。従って砥部へ出向こうと思って居る方は、季節が良くなってからにするべきです。
砥部を巡ったからどうなるってもんでも無いんだけど、焼き物の里を歩くのは良いもので、彼方此方の窯元を覗いて歩くのです。縁が有る焼き物との出会いも、可能性は極めて大なのだ。
因みに我が家に有る砥部焼きは、小壷、花瓶、大皿、マグカップ二つ、カップ&ソーサー、湯呑み、そして写真の徳利とぐい飲み。
うーん、あたしゃあ砥部焼きが好きだったんだ。知らなかった。でも、さもなきゃそんなに揃わないって。
誰でも知ってる砥部焼きだけども、意外と使って居る人は少ない(と根拠無く思う)。
勿体無い話で有る。砥部の魅力は使えば分かるのだ。まあ、そう言っちゃあどの焼き物もそうなんだけどね。使うと良さが分かっちまうんですよ。
逆も有る。使うにつれ嫌になる。そんなもんとは、お別れしたくなる。
砥部には其の心配は無いですよ!