2016年11月28日月曜日

白ザレ青ザレってご存知? その二




 丹沢らしさ、と言っても正の部分とは限らない。負の部分だって“らしさ”で有る事は間違い無いだろう。
 丹沢の岩は脆い。うーん、嬉しく無い特徴では有る。何度もくどくて何だけど(何?)、私は岩はやらない。すっごーく高い所が怖いだでよお(涙)。
 それでも小さな滝を登ったり、急な斜面を這い登ったりはする。怖いけど仕方ないのだ、外に方法が無い時に決まってるので。ま、沢に入らなければ良いんだけどね。根がバカなもんで、ついやっちゃうんだよねえ。
 滝は流れの中を登るのが一番安全。流れの力で、安定した岩になって居る。巻く時が大騒ぎなのだ。岩は信用できない。力を掛けるとポロッと崩れる(事が良く有る)。メジャーな沢だと巻き道も出来て居るけど、私好みのマイナーな沢では大体そうなのだ。
 急斜面でも同じ事。岩より篠竹の方が余程信用出来る。篠竹が有ればなんだが。無い時が多いので、怖い事ったら無い。
 昔、随分沢登りで犠牲者を出したが、脆い岩の所為も相当有った事だろう。ポロッと崩れる岩は、如何にも丹沢らしい。
 脆い岩続きになるが、ザレの尾根ってえのも有った。ザレとは、今更説明の用も無いだろうが、花崗岩が風化して砂状になる事を指す。北アルプスの燕岳を思い出して貰えばお分かりだろう。あれが白ザレだ。そして丹沢には、青ザレと言うのが有る。
 白石峠付近に多く見られる。文字通り青いザレで有る。多分青い花崗岩が風化したのだろう、と勝手に思って居る。白青共に、踏んだ感じや滑り易さは同等だ。
 ザレで尾根を、それも狭くてアップダウンの結構きつい尾根を構成しているのは、茅ノ木棚山稜だ。前にも説明したが、鍋割峠と雨山の間の短い区間を茅ノ木棚山稜と呼ぶのだ。

2016年11月24日木曜日

閑話 その二百七




 塔にはA、Yと一緒に立てたのは前回の閑話の通りだが、楽なコースだったので何だか今一つ納得出来ない。それと、無闇と筋肉痛が残った事も、至極当然の事なんだけど、ショックだった訳だ。
 で、一週間後に又一人で出かけた。コースは馬鹿尾根ピストン。此れをやらなければ塔に立ったとは言えない気分だったのでね。
 前回と違って晴れた日だった。五時四十分頃の電車で出発する。大倉行のバスは二本目位だろうか、満員で十数人を積み残して発車した。流石に土曜日で有る。
 馬鹿尾根登りなので慎重に、意識してゆっくり行く。若者達がどんどん抜いて行く。たまに出会う中高年のパーティにも抜かれる。良いのさ、兎に角登って降りる、が目的だ。
 十五人のパーティに追い付いた。中高年で若者がラストに居る。
若者「人数が多いので先にどうぞ」
 抜いて行くと先頭で周りの景色の説明をして居る。登山ツアーだろう。関西弁が交わされて居る。聞くと、大阪からのツアーだそうだ。遠くから丹沢へようこそ。
 大階段に取り付いた。唯々登るのみ。登ってれば着くのだ、と言い聞かせて登る。ハーハー言って花立小屋に着く。流石に寒いが、アンパンなぞを食していると、大阪パーティも登って来た。隣で休んで居た中年男性が声を掛けて来た。
男性「どちらへ行きますか」
私「塔のピストンですよ」
男性「私も同じです。でも、速いですね」
私「え」
 堀山を越えてからは、そうは無闇と抜かれなくなったが、決して速くはない。いや、絶対に速くなんてない。何の間違いだろうか。
 花立頂上へはこんなに登ったのか、と情けない感慨を抱きつつ、花立に着く。鍋割方面の黄葉が見事だ。続きます。

2016年11月21日月曜日

白ザレ青ザレってご存知? その一



 
 「丹沢らしさ」について前書いた時は、色々丹沢について並べ立てておいて、其の殆どを自分で否定して、結局、好きな山が一番と結論付けた。ラベルの「丹沢らしさ」には明らかに反して居る。
 どうせ酔っ払って居たのだろう。改めて述べなければ、丹沢に失礼だ。勿論今は素面なので、心配無用。え、やがてどうなるって?
 なるようになる。詰まり、酔っ払っちゃうってこった、はっはっは。
 いやいや、何時もそうなので、どうぞ気になされない様にお願いしますだよ。
 私は何度も、鬼の首を取った様に、「丹沢には、猿、カモシカ、熊、が自生している、そんなのは南北中央アルプスと白山と東北脊梁山地のみなのだ」と書いて居る。
 其れ自体は正しい。でも、丹沢らしさとは一寸と違う。何故そういう環境になって今に至って居るかが重要なのではないだろうか。
 此れは誰が考えても答えは出るだろう。山が深くて厳しいから。最高峰でさえ1660mの中級山地の癖に、偉く山深く且つ険しい所が多いのだ。
 丹沢と並び評されるとしたら、奥多摩だろう。勿論一通り歩いた。深さと厳しさに於いて差が有り過ぎる。奥多摩フアンの方、御免なさい(ペコリ)。
 一寸と困った。山深さや厳しさで言ったら、丹沢なぞ可愛いものだ。それこそ南北中央アルプスとは比べる術も無い。
 詰まりこういう事かな。野生の猿、カモシカ、熊が棲息し得る程の、適度な山深さと険しさを持つ中級山岳地帯。それも大都市東京と横浜の直ぐ傍で!
 その絶妙なバランスが何とも言えない魅力なんだが、此れは丹沢大好き人間の主観に過ぎない事は、お断りしておきましょう。

2016年11月17日木曜日

休題 その百八十二




 A、Yと塔に登った話は閑話でした。其の時のAの装備について書こう。
 知らぬ間に定番スタイルになって居たのだ。高機能タイツに短パンで有る。山ガールが始めて、男性にも普及して来たあれで有る。
 ワコールのタイツだそうで、値段は覚えてないとの事。まあ、一万五千円ってとこだろうかな。
 小雨になって、薄いゴアのウインドブレーカーを着込んで居た、とも書いたが、流石に新品ゴア、雨は表面を水滴になって滑り落ちて行く。一寸と感動もので有った。
A「雨具は別に持ってるんだ。此れはウインドブレーカーとして着てる」
 あたしなら雨具で全て代用する処だ。その雨具すら出さずに濡れて行く姿の哀れさよ。此れについてはYも濡れて行く派だ。だって、雨具を着込むと蒸れて、結局汗で濡れるで。
 Aは其のウインドブレーカーの下に、薄いフリースを着込んで居る。休憩の時にごそごそやってたが、稜線に出て冷えたので着たのだろう。フリースったって、あたしのユニクロと違ってちゃんとした山メーカーの物だ。
 うーん、ゴアの靴から頭迄、メーカー品で固めて居る。本気で山を始めたいと思って、と言うAの言葉は嘘では無かった。
 歩き乍らYと、山ガールスタイルを整えるのに幾ら掛かるかと見積もったが、何、Aも同じ事で、相当の出費だっただろう。流石に一流企業の社員だ。こちとら真似しようったて出来やしない。
 僻み妬みかって? チャウチャウ、良い道具を揃える事は良い事なのだ。折角投資をしたんだから、活用もしようってもんだ。其れに何たって機能性が高い。
 Yだって負けては居ないのは既述の通り。Sの言う「山は金かけた方が楽」ってえのは正しい。あたしゃ掛けられないだで工夫してるだよ。だからぁ、僻みじゃないんだてぇ。