2014年4月28日月曜日

割とマイナー その五




 何時私が通ったかと言うと、迷った話でZに散々苦労を掛けた翌年、リベンジじゃ!と一人で、前年殆ど下ったと言うのに、増水のに為渡渉が出来ず、泣く思いで引き返した恨みの中小川ルートを登って、越百、南駒、空木と歩き、池山尾根で下ったのだ。
 其の話は何かに書いた。Zと目指して居て行き着けなかった中小避難小屋に泊まって、山行が始まったのだ。ボースカウトの少年達と一緒になって、賑やかだったとも書いた。かくしてリベンジは成った。嬉しい。尚且つ、冬山の為の池山尾根偵察も出来たのだ。
 越百から更に南へ二時間程で、奥念丈岳(2303m)で有る。高山帯は此処迄なのだ。従って、這松とも此処でお別れだ。稜線は南西へ延びて安平路山(2363,1m)、摺古木山(2168,5m)へと続くが、背を越す笹薮、急で滑り易い、迷う、等の注意が並んで居る。併し道は実線で記されて居る。
 私がZと登ったのは、念丈岳から奥念丈岳への破線ルートだったので、どえりゃー苦労をしたのだ。
 摺古木山でほぼ中央も終わりだろう。此処迄でも来る人は稀な筈だ。でもですよ、世の中には変わり者も多い。稜線は高度を落とし乍らもまだまだ続き、最後は高度を上げて、名山で名高い恵那山(2182m)に至る。
 其の山域を歩く人も居る様だ。ま、蓼食う虫も好き好きって事だろう。え、お前に言われたくないって?ご尤もです!
 経ヶ岳から摺古木山迄、30Km近くの山脈で、森林限界を越えた部分でも20Kmは有ろうと言う、我が国屈指の高山だ。どうです、良い山脈でしょう?
 え、分かってる、だから大勢登ってるんだって?済みません、良くは知らないんです!とは言っても、人が群れて居るのは千畳敷付近のみだとは、分かってるのです。それでは余りに勿体無い。
 でも、全く余計なお世話の章でした。中央アルプス好きは、昔から大勢居るし、沢だろうと冬だろうと、縦横に活躍されて居るのは、聞いた事が有る。
 詰まりそのー、余計な事、御免なさい!!

2014年4月26日土曜日

閑話番外 その七十七




 ドジを踏んでも其れ程驚かなくなったのは、きっと歳の所為だろう。でも、一瞬茫然とはする。何だ、どうしたんだ、と。
 “ハイクへのお誘い”に、鐘ヶ岳と大山の支尾根を結ぼうと思って出掛けた。モロ新緑の候でしょうが。
 鐘ヶ岳は簡単に通って鞍部へ下る。写真は其の鞍部からの景色だ。其処から支尾根に登り返し、其の侭下っちまっただよ(涙)。二十五年位前に三度も通ったコースだから、地図で確認もしなかったのだ。アホじゃ!
 で、あっと言う間に林道に下って仕舞い、茫然としたあたし。
 此の茫然にも各種有る。思いも依らず絶壁に立ってを見下ろすとか、急斜面で動きが取れなくなるとか、岩壁が全面を遮るとか、狭い尾根で逃げ場も無いとか。
 どれも厳しい状況だ。必死になる。下手すりゃあ遭難だ。でも、何時でも何とか逃げられた(ラッキー♪ 駄目?)。
其れよっかはよっぽど良い状況だ。嬉しくは無いけど、林道だ。命の危険は無い。今回の目的は達成出来ないだけだ。
 元々、後からアップする春の新緑や花を撮ろうと思って出掛けたのだ。其れは何とかやれた(どうだかねえ)。
 バス停に着く時振り返ったたらバスが来る。慌てて走って間に合った。乗ろうとしたら財布が無い。詰まりパスモが無い。リュックのサイドに入って居るので、出そうとして下げて居たカメラを落とした。ガンと音を立ててカメラが落ちレンズカバーが飛んだ。
 あたしゃあパニクッた。カメラを拾ってバスに乗ったが、パスモを設定して無い。
 一緒に乗ったおばさん「旦那さん、乗車券を取りましたか?」
 あたしゃあ“旦那さん”なんて上等なもんじゃあ無い! 生きて居たんだ神奈川の山奥には“旦那さん”って言葉が。全く山本夏彦氏の世界になっちまった様だぜ。
 大汗をかいて何とかやって、おばさんにはお礼を言って、カメラの調子も確かめて、何でも無い様だからほっとして帰って来たけれどもですよ、此れは情けんなかあですよ。
 何とかハイクのお誘いを完成させねば、ドジ上塗りって事なんです。

2014年4月24日木曜日

割とマイナー その四





 でも、木曽が頑張ってれば甲斐攻めは無かった。従って武田は滅びず、程無く本能寺の変で有る。木曽の馬鹿!!お前が裏切らなけりゃ……、休題じゃあ無かったですねえ。
 木曽殿越から比高370m程の登りに一時間半も掛けて、空木(うつき)岳(2727.2m)に着く。途中岩稜の階段状となり、其の一段が高くて結構苦労させられた、とは何かに書いた。木曽殿越に幕営のつもりが急遽予定変更、空木の登りに取り付いたので、余計辛く感じたのだろう。頂上に立った時は、フラフラになって居た。
 空木岳が中央のほぼ中央となる。大体からして、“うつきだけ”とは、何と素敵な山名なのだろう!名は体を表す、四の五の言うだけ野暮な良い山なのだ。
 冬の空木岳に登った話は前述だ。カメラが無限遠を出せなくなって居たのが残念だった。私以外人が入って居なかったのは(雪面の足跡は有った)、矢張りマイナーなんですなあ、中央は。山は一流なのに。
 北の様に深雪じゃ無かったので、単独でも登れた訳なんだが、寒さは北以上だっただろう、多分。南と同じで、フェーン現象のお蔭(?)なのだ。
 冬なのに、雷のど真ん中に入って霰が積もったり、カモシカに遠慮したりと、面白い思いをした冬山だった。
 空木岳から二時間一寸と南下すると、南駒ヶ岳(2841m)で有る。尚も二時間程南下すれば越百(こすも)山(2613,2m)だ。此れ又味わいの有る山名ですなあ。
 南駒と越百の間に、仙涯嶺へのジャンクションが有り、其の付近に危険のマークが付いて居る。確かに岩稜では有るが、危険は感じなかったので、行く方は安心して下さい。何せ高所恐怖症の私が言うんだから。
 (割とマイナー その五へ続く)

2014年4月21日月曜日

閑話 その百二十五




 前の続きです。
 山下りの企画だから、蓑毛へ下る積りだった。だに依って其のコースを下る。下りとなると、御婦人方の歩みがノロくなる。下りは嫌なもんだ。特に歳を取ると。
 若い時はピョンピョン下れても、視力も筋力もバランス感覚も衰えると、腰が引けて極々(ごくごく)慎重になるのは理の当然。
 下って行くとKwの腹具合が悪くなった。だったら蓑毛は遠い。下社へ行くの一手だ。アクシデントが付物なのが登山で、即応出来なければ、何十年もリーダーを務めた意味もへったくれも有ったもんじゃ無いのだ。
 結局下社に着いたのだが、ケーブルカーを見たからには、皆ケーブルに乗りたがると思った。処がぎっちょん、あたしは歩いて下るが、皆さんはケーブルでどうぞ、と言うと、全員が歩くと言う。
 閉まった! 同期生の猪共は、猪突猛進だった。
 流石に男坂は止した。だって、階段の連続で段差は高いし、足を置く段は凄く狭い、詰まりこけたらヤバイって事だ。あたしとしては安全第一、怪我人や死人は出したく無い。
 女坂を下ったが、「何が女坂よ!」と文句が出る有様、男坂を知ってるのかよ!
 御婦人達は膝に来た様子だ。病気を抱えるSは、下りだから何とも無い。スタスタ行く。良くしたもんで、女坂には花が多い。御婦人達は花を愛でて、中々進まない。膝がガクガクもするんだろうけどね。
 あたしは仕方無く、牛追いの如く、さあさあ行って、Sが待ってるよ、とせかす。K迄一緒になって、あの花がどうとか言って歩かないのだ。確かにKも花が好きなんだけどね。
 やっとバス停に着いたら、即バスが出たのは目出度かったけど、途中からどんどん人が乗って来て、ギュウギュウになっちまったのには、参った。行きも帰りもだ。
 伊勢原バス停の前の小さな居酒屋で、一杯(いっぱい?)やった。Sも元気で良かった。大体からして、御婦人達も良く歩いた。階段を下らせたくなかったが、良くぞ下ってくれた。流石に我が同期生だ。
 てな訳で、山下りを無事に出来て嬉しいのでした。S夫妻よ、又やろうよ。