2020年2月29日土曜日

休題 その二百八十九



 死者・行方不明者の72%が六十代以上である。登山ブームの頃は若者達が山へ向かった。従って六十代以上はマレな存在だった。そう考えると六十代未満の死者は百三十人となるので、登山ブームの頃と(多分)其れ程の差は無くなる訳だ。
 大きな違いは年配者の二百十二人の死者が加わった事であろう。新登山ブームの主要構成員が年配者なので、仕方ないとも言える。それにしても多過ぎる。体力・身のこなしが低下していても、もう一寸と何とかならんもんだろうか。ならんのでしょうなあ。
 若者なら馬力で乗り切っても、年配者は馬力が出ない。若者なら指が岩角に掛かれば体を支えられるが、年配者は落ちて行く。転んでも体の固い年配者は受けるダメージが大きい。判断力も鈍っているので迷い易い。駄目じゃん、でありますなあ。今迄に何度も書いているが、中高年の登山者に無理は禁物、だらしない位のんびりした山行こそ正しい。あたしを見習うべきです。(え、ダメ?)
 遭難場所のトップが長野県なのは納得だ。北アルプス、中央アルプス、八ヶ岳、乗鞍、御嶽と揃っている。登山のメッカと言っても良い県だ。
 二位が北海道なのも何と無く分かる。北海道の山は2000mあたりで森林限界を越える。本州では中級山岳でも、北海道では高山帯になるのだから。一荒れしたら3000峰で悪天候に出会ったと同じだ。事故の数が増えるのも無理からない。
 三位が東京都と言うのが不思議だ。奥多摩位しか思い浮かばない。高尾算も東京だが、道迷いも滑落もないんじゃないかい。転倒はあるだろうけど。
 多分奥多摩で事故が多いのだろう、勝手な推測だけど。丹沢よりずっとのどかな感じだが山は山だ。うっかりすると事故は起きる。入山者も多いのだろう。東京の山ですから。

2020年2月27日木曜日

休題 その二百八十八



 “道迷い”の続き。迷ったかな、どうしようと迷うなら引き返せば良いのだが、もう一寸と行ってみようなぞと考えて進むと、遭難騒ぎになっちまう。下りで迷い易い。或る程度下ると、もう登り返す気力を失う。沢に下って動けなくなる。永遠のパターンですなあ。
 次の滑落。文字通り滑り落ちるのだが、岩壁登攀や沢登りは当然だろう。登山道でも岩 
稜だったら命取りになる。岩稜でなくとも、傾斜のキツい場所では危険極まりない。
登山道である限り、そう簡単に滑落する造りにはなっていない筈だが、それでも滑る時には滑る。九十九折れ(つづらおれ)で五十年の間に三回程滑落した覚えがある。
 積雪期ならもっと可能性が増す。特に日当たりの良い場所。雪が融けて氷になって、そのうえに雪が乗ってる場合が多い。足を置くとツルッと滑る。アイゼンは絶対必要だ。それでも滑落するですよ。Yの様に踏み抜いたりして。疲労が重なっていると、思いもよらぬアクシデントがあるものです。
 次が転倒。転ぶって事だが、場所に依ってはその侭滑落になる。如何にも危険な所は慎重に行動するのでそうは転ばない。転んだら命に係わるって分かるから。
 多くは何でも無く思われる所で転ぶのだと推測できる。登りで転ぶのは良い。あ、と手をついて終わり。横倒しはチトまずい。横方向へ滑落すつかも知れないので。でも、殆どそれは無いのではなかろうか。
 下りで転ぶのが怖い。爪先を木の根や岩角に引っ掛けると転ぶ。若者は体制を立て直せるが、年配者は素直に転んでしまう。するとゴロンゴロンかザーーッ!になって落ちる。怪我するか、下手すると命を失う。イテテテで済めば上出来なのだ。
 転倒は下りに付物だ。登っての下りだと疲労もしている。より転びやすくなっている。以上三点で70%の事故です。(続)

2020年2月24日月曜日

休題 その二百八十七



 平成三十年の山岳遭難概況を警察庁が纏めている。ざっと書いておこう。カッコ内は対千年数である。閑話の話題だったかな。

○発生件数   2661件 (+78件)
○遭難者    3129人 (- 7人)
 うち死者・行方不明者
         342人 (-12人)
   負傷者  1201人 (- 7人)
   無事救助 1586人 (+37人)
○発生状況
 長野県297件 北海道201件 東京都147件
 
 外には、道迷い、滑落、転倒で事故の70%、遭難者の半分が60代以上、死者・行方不明者の72%が60代以上と言った処だ。
 死者が実に多い。戦後の登山ブーム期、詰まり遭難ブーム期(不謹慎で失礼!)より多いのではなかろうか。ま、七割は年寄りって事なんだけどね。
 “道迷い”って言葉には違和感があるのだが、警察に喧嘩を売る気もないのでその侭使用する。どうして道を行くのに迷うの?と思う方もいるでしょうから説明しよう。
 登山者が転々と連なる道では、まず迷わない。人気が無く、できたら午後も遅くの方が迷い易い。不注意や焦りで道標や本道を見落とすのだ。後から行くと、何でここで間違えたんだ、と考え込む様な感じだ。
 そして悪天候。見通しが効かず、その上に吹き降りとなったら、知らず知らずに道を外す事は充分に有り得る。風雨に叩かれ続けると注意力も低下する。足元も流れになって、道かどうかも分からない。本来そんな日は行動してはいけないのだが。
 あたしの場合は何と無く不注意で路を外す。去年の仙丈岳でもやっちまった。でも、直ぐに変だと気付いて戻る。直ぐ戻れば何の問題もないんだけどね。(続)

2020年2月22日土曜日

休題 その二百八十六



 あたしは年に二,三度は風邪をひく。喉風から始まる事もあれば、何と無く始まる事もあり、形態は一様ではない。大体一週間以内に収まって、咳が残る事もあるってなとこだ。若い頃(十代)はよく気管支炎に迄進んで、結構苦労をした。今はそれは無い。
 風邪はひくがインフルエンザに罹った覚えがない。妻も子供達もインフルエンザで寝込んでも、あたしは無事だった。特にマスク等の防衛策は行っていなくともだ。
 体質的にインフルエンザウイルスに強いのだろうと勝手に思っていた。従って今回のコロナウイルスにも強いのではないかと、根拠の無い自信を持っていた。
 ブログの立ち上げをしてくれたAもインフルエンザに罹らない性質だったそうだ。家中が掛かってもうつった事がなかったと言う。あたしと同じタイプなのだろう。
 処が去年(?)に初めてインフルエンザに罹ったそうだ。本人は驚いただろう。そして聞いたあたしも驚いた。って事はあたしだって何時罹っても不思議では無くなってしまった訳なのだから。
 加齢に依りその能力(抵抗力と言うべきかな)を失ったのか、最初からうつらない能力なんてなかったのかの、どちらかだろう。後者の方が理に適っていそうだ。ただ単に運が良かっただけ、ってこったろう。
 コロナ肺炎にも充分罹る恐れがありますなあ。俺は大丈夫ってえのが一番悪いとは心得ているものの、つい自分の事となるとね。
 マスク、手洗い、うがいを心掛けるとしよう。盲点は眼だそうで、コロナウイルスは眼からも侵入するのだ。ゴーグルの必要があるのだ。ゴーグルをしないなら、眼を触ってはいけない訳だ。
 所詮ウイルス(?)で死亡率も低い。無駄に恐れる必要はなかろうて。確りと予防に努めると致しましょう。