「12年の長い夜」と言うウルグアイ映画を観た。ネットフリックス製作だから、勿論ネットフリックスで見たのだ。モロにネタバレだから、此れから観る予定の方は読まない方が宜しいでしょう。
ウルグアイの軍事政権下、三人の政治犯が収容された、その十二年に及ぶ監獄生活を描いた事実に基づいた作品だ。監獄と言うより拷問部屋に近い環境だ。その辛く苦しく希望のない生活を、淡々と描写している。
従ってあたしにはちっとも面白くない。映画の評価も高くなかった様だから、多くの人にとっても、鬱陶しくて面白くない作品だったのだろう。
一寸とだけ、「ショーシャンクの空に」に似た部分が出て来る。看守の軍曹の手助けをするだけだ。転々と軍刑務所を移動させられて、またその軍曹に再会する。軍曹は「私に何が出来る」と聞き、主人公のホセ・ムヒカと仲間の一人を昼間の広場へ出してやる。軍曹の好意だけではなく軍事政権の弱体化も背景にはあるのだろう。
そのあたりから流れるサウンドオブサイレンスが凄い。サイモンとガーファンクルが歌うのではなく女性が歌っているのだが、辛さ苦しさを一気に集約した感が有り、思わず泣けて来た。このシーンは圧巻である。
軍事政権が倒れて解放される処で映画は終わる。字幕だけでフセ・ムヒカがやがて大統領になる事を伝える。
フセ・ムヒカ、覚えている方もいるかも知れない。世界で一番貧しい大統領と呼ばれた人物だ。大統領に就任しても、実に質素な暮らしを貫いた人物だ。来日した時の言葉。
「貧しい人、かわいそうな人というのはコミュニティがない人であります。一番大きな貧困というのは孤独です」
多少意訳しました。その偉人の十二年の苦難、お奨めはしませんがとても重厚な映画であります。