2022年7月31日日曜日

閑話 その三百八十一


  アレルギー性喘息になってから山に行けなくなってしまった。こんなこっちゃいかん、とは思うのだが滅茶苦茶バテるのが恐ろしくて、ついです。

 せめて弘法山位は行っても良かろうと思うが、拙いタイミングで里湯が二ヵ月間修理休業である。この暑さで汗だくになるのは決まり事、温泉となると東海大学駅の”さざんか”かあ。弘法山を越え三叉路も越えると、東海大学駅への分岐がある。前にも一度歩いているのでそれをやりました。

 流石の人気コースも人が少ない。暑いんだもんねえ。それでも緑の中、里山と言っても町よりかは遥かに増しだ。木陰は矢張り涼しい。でも、それも山の中だけなの。と言うのは分岐に入ると十分少々で住宅地になるからだ。ぎっしりと家が建っていて、立派な道路が続く。駅からは登りが続くのだから軽く三十分以上は掛かるだろう。どうやって暮らしているのだろう。まあ、皆さん車でしょう。

 結局アスファルトを三十分下って駅に着いたのだが、木陰もないので文字通り町の中。コース通りに鶴巻温泉に着くのと時間的には大差ないが、一駅戻るのが面倒だったので。

 何でそんな事になるかと言うと弘法コースは弓なりになっていて、丁度駅から遠く離れた地点で下り始めるからだ。すると住宅地に突入するって訳(涙)。

 ”さざんか”も良い温泉なのだが、施設内に六つも七つも自販機があるのにアルコールは一つもない。食堂もあるのだが、禁煙だ。仕方ないのコンビニでチューハイを買って行く事になる、ぬるくなるのが悲しい。

 案の定汗びしょで、Tシャツを脱ぐにも汗でくっついて苦労したが、風呂上りはさっぱりして良いもんだ。乾いたシャツに着替え、そしてぬるいチューハイ。。。。。

 でもですよ、僅かでも山歩き(?)ができた事は目出度い。負荷を掛ける為意識して大股で歩いた。衰えちゃいけないからです。え、もう充分衰えてるだろうって? そうなんです。。。。。。

2022年7月28日木曜日

初めてのお使いとか その八

 

 我がロマンチック街道、上越の山に初めて行ったのは二十二歳の花も恥じらう美青年の頃(おいおい!)、遥か昔の物語になったです。ん、此の章は全て昔話だった。新しい話なんざ一つもないって。題が”初めて”、なんだから。

 前の話の春山の時のIに連れられて行ったのだ。北穂・槍の翌年の事。こちらも春山、雪深い芝倉沢を登った。十五年前の本文「芝倉沢」のラベルで、勘違いで三年掛けて登ったバカ(詰まり私)を書いたが、それはIと登った十数年後の事になる。

 と書いて、自分乍らそんなに長くこの愚ログをやっていたかと、改めてびっくりこく次第。しかもこんな絶海の孤島でねえ。よーし、こうなりゃあロビンソン・クルーソーを越えてやろうじゃないか

 夜行列車で土合に着いて、長い階段の先が霧で霞んでいたのに驚いた。これはどこかに書いたですな。暗いうちに歩き出し、沢の入り口には直ぐ着いた記憶だ。それが後で祟った訳なのか。(違うって、地図が読めなかったって事だ、素直に認めろ。はい、そうれす)

 こちとらIに付いて行くだけ。「良かった、滝は雪に埋まってるぞ」と言われても訳が分からない。傾斜が急になって来て、「左に逃げるぞ」と言われても、逃げてるかどうかも分からない。初めての雪の沢なんて、大方こんなもんだ。

 稜線に出る時、小さな雪庇をピッケルで崩して這い上った。その儘谷川岳へ行き、石黒尾根を下って帰京した。若さだ!

 初めての上越は無我夢中、ダーッと登ってダーッと下ったのみ。それが雪山だったのが原因か、上越稜線の多くは道がなく積雪期でなければ歩けないからなのか、上越と言えば春山になった。夏に八海山から中ノ岳、秋に谷川岳から平標、この二回のみが例外だ。

 てな感じで初めてづくしでした。山に登る人は誰でも経験する訳なので、特にどうと言う事は無い有触れた思い出話、お付き合い頂き感謝感激雨あられあります。

2022年7月25日月曜日

初めてのお使いとか その七


  Yの初めての春山は、ほぼ冬山の状況から始まった訳だ。どうにか雪を融かして水を造り、コーヒーで一服。風に煽られて氷の花が、バラバラ降って来る。煙草の煙はテントが風に吹かれる儘にビビビと縞模様を描く。うん、中々良いぞ。

 翌日も悪天候、早々に撤収して下山した。普通ならこれで懲りるでしょう?でもYは、其れから毎年春山へ出掛ける。お気に召した、としか思えない。冒頭の通り、天候とは無関係な例で有ろう。

 今でも此の時の話は、笑い話で出る。全然言葉が通じなて困った、と二人で笑い合う。東北弁とは、如何に優れた伝達様式なのだろう、と感心し合うのだ。

 私が初めて沢に入ったのは、三十代半ばだ。沢での遭難が余りに多い時代を知って居たので、決して沢には近づくまいと思って居た。併し、丹沢好きなら沢は避けては通れない。道の無い尾根をやるにも、沢の経験が必須だ。

 入門編の入門に相応しい沢が有った。葛葉川だ。ガイドブックを何度も読んで、略図迄書いてポケットに入れ、一人で出掛けたのだ。

 うん、此れなら行ける。略図の通り、殆どの滝は小振りで直登可能、嫌な滝には巻き道がバッチリ付けられて居る。飛沫を浴びて小滝を登るのは、爽快な気分だった。

 最後のガレも可愛いものだった。藪もろくに無い。踏み跡を辿れば登山道に飛び出るのだから、確かに入門の入門だ。うん、此れなら沢も悪くない、少しやって見るか。

 其れからは険悪な滝が売りの沢は避け、彼方此方を登った。名の通った沢は未だ良い。巻き道は有るし、踏み跡も有る。捨て縄が残って居たりもする。

 良く無いのは、全く誰も相手にしないだろうと思える沢をやり始めた事だ。相手にされなくとも沢は沢で有る。大抵詰め上げには難所が待って居る。其の下らない苦労は散々書いたので、繰り返さない。(続)