当然乍ら適当な斜面で滑落停止訓練はしましたよ。幾ら私だって其処迄好い加減じゃあ無い。結果大体OKなのでゆっくりと登って行く。(大体OKって何なの? ねえ!)
平標山ノ家の煙突からは、薄い煙が昇って居た。横で一服つけ、頂きに向けて登り始めたら、例の奴が襲って来た。何がって?フッフッフ、天候の急変さ。
曇天だが無風に近かったのだ。それが突然強風と共に雨が吹き付けて来た。同時に気温が急下降した。足元の雪が見る見る凍って行く。文字通りバリバリバリだった。雨具を着込んだ時には、二人とも口がきけなくなって居た。
前にも何度も書いたが、中高年登山者が天候急変でばたばたと亡くなるが(不謹慎?違う、事実なのだ)、無理も無い事だ。其の時の我々は未だ若かったから助かったが、今だったらどうだろうか。以下の行動が取れただろうか。完全装備なのに何で?と不思議がられる事態になったのかも知れないのだ。
一気に下るの一手だが、其れは避けたい。初めての春山をYに満喫して貰わなけりゃあさ。あれ、結構余裕が有るじゃん。ま、経験ですなあ。雪の斜面を見渡すと、一叢の笹が有った。あそこだ、其れしか無い!
私「Y、あの笹の上にテントを張るぞ」
Y「はい」
実際は違う。
私「ふあい あほさはにゃ てとはっそ」
Y「ふうぃ」
意思疎通が難しい事。
Y「ふゃへふ、ほみゃりゃにゃあ、ほうひょ」
私「ひぇ、なひ?」
後で聞いたらこうだった。
Y「ペグ、留められないんだ、どうしよう」
私「え、何?」
どうにか笹の上に、傾いたテントをでっち上げた。もちの論、ユサユサ揺れる。風でも揺れる。テントには氷の花が咲いて居て、お花畑の有様だ。凄く寒いけど。(続)
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