2020年4月30日木曜日

休題 その三百三



 日本人は世界で最も大豆を食するのだそうだ。桁が違うらしい。大豆自体も食べるが、豆腐、油揚げ、湯葉、高野豆腐(この三つは豆腐でしたね)、ミソ、醤油、きな粉等々で使われる量は莫大だろう。この大豆由来の食品が日本人の食生活の根幹を成していると言っても良いだろう。
 最近パン食が増えて来た。パスタも家庭料理の一角に定着した。その分米の消費が減って、減反政策と言う馬鹿な動きになった。小麦の消費量が増えたって事だ。
 因みに大豆の年間消費量は300万t、国産は23万tだから自給率は7%(!!)である。小麦の年間消費量は630万t、国産は74万tだから自給率は11,7%(!)である。両方とも輸入が途絶えれば(或いは減少すれば)、はい、それまで~よ。
 最近スーパーに行くと納豆の棚が殆ど空になって居る事が多い。パスタ関連や即席ラーメンも品薄が続いている。以下はネットで検索できるのでその所為かと疑っている。
 世界的武漢肺炎猖獗に依り、既に十一ヶ国が食糧輸出規制を発表している。以外に思われるだろうがシナは食糧輸入国である。大豆だけでも6000万t(!!!)だ。大豆は殆どが家畜の餌の様だ。外に、野菜も小麦も輸入に頼っている。
 食糧輸出国が売り惜しみ出したら(現に始まっている)壮烈な食糧獲得競争になる。何とか飢えずに済むギリギリを獲得できても、値上がりは必至じゃないかなあ。下手すると配給制にならざるを得ないかもね。
 豆腐やミソやパスタは夢の世界。昔はふんだんに好きなだけ食べられたんだ、なんて話す時が来るかも知れない。それも意外と早く。
 煽る気は全くないが、武漢肺炎の影響が何処迄及ぶか予想もつかない。従って食料だけはキープしよう、って国が現れたのは事実だ。トイレットペーパー騒ぎの様なバカは嫌だ。だから週に一つ位ずつパスタやミソを買ってます。

2020年4月27日月曜日

休題 その三百二



 レオナルド・ディカプリオ、昔は若かった(え、当たり前?)が、最近は中年の渋さがなかなか良い。あたしとディカプリオはいかにもミスマッチだとは感じるが、彼の作品のベストスリーを挙げよう。彼の作品を全部観ているのではないし、あくまであたしの一方的意見ですので、そこんとこはご容赦。
 第三位、インセプション。結構ドタバタするのだが、変な魅力がある。此の年のアカデミー作品賞はハートロッカーだったが、インセプションでも良かったと思う程だ。
 因みにこの2010根年は良い作品が多かった。ハートロッカーと争ったアバター、第9地区、カール爺さんの空飛ぶ家等々、去年とは偉い違いですなあ。
 脇も豪華だ。ジョセス・ゴードン、マリオンコテイヤール、渡辺謙、トム・バーディ、彼はマッドマックスⅣで主役を演じた。
 第二位、タイタニック。これも説明不要だろう。この作品でディカプリオはトップスターに躍り出たと言える。滅茶苦茶に金と手間を掛けたなあと感心するがそれに見合う出来栄えである。歴史に残る映画であろう。
 この年も良作が多い。グッド・ウイル・ハンティング、例愛小説家、LAコンフィデンシャル等々。去年とは偉い違いですなあ。え、さっきも同じ事言ったって?
 第一位、シャッターアイランド。難解だと言われる。謎解きだと思って観ていると迷宮に入ってしまう。奥が深くて暗い映画なのだ。陰のある多層な人物をディカプリオは見事に演じている。インセプションも難解だと言われるが、難解の種類が全く異なる。
 難解ったって、観てれば分かる。書いた通りに暗い映画なので是非にとは言わないが、もし気が向いたら観て損はない。どうせ自粛生活なんだからね。
 ディカプリオは決して演技派ではないが、矢張り巧い。以上勝手なベストスリーでした。

2020年4月24日金曜日

休題 その三百一



 昨日(二十三日)又もや御禁令に反して高取山へ行って来た。電車もバスも山も前回に増して空いていた。そして梵天荘も大和旅館も営業を停止していた。折角鶴巻温泉に下りたのに、温泉に入れなんだのやあ(涙)。
 山岳協会も登山を控える様に声明を出した。山に依っては人がうじゃうじゃ入る。特に五月の連休だ。丹沢が筆頭だが、例年よりはずっと少ないだろうけど、それでも山小屋は混むでしょうな。モロに三密です。それに交通機関を利用するので武漢肺炎拡散の惧れがある。尤もな訴えだ。あたしも自粛ですな。
 登山家の野口健氏も登山自粛を訴えた。それにホリエモンが噛みついて話題になっている。登山に関して専門家(登山に専門家ってないけど、もしあれば野口健氏こそそれ)にケチを付けるとは、ホリエモンも良い根性だ。
 ただ野口健氏を「頭悪すぎて笑う」ってえのは品が無さすぎで笑う。確かに山で感染する事は考えられない(除く山小屋)が道中をも含めての話なので、地元にウイルスを持ち込まない為もあるのだ。
 ホリエモンは頭の良い人なのだろうが、専門家を馬鹿扱いする程優れているのだろうか。事は登山に関してなんでね。勿論、一般論としての自粛過剰への反発だとは分かっているが、山に無縁な人間に言われたくはない。だから一般論であって、山の経験なぞ関係無いと言われりゃ、確かにそうなんだけどね。
 それに対する野口健氏の返しが見事だった。「頭が悪いのはピンポン!」「笑いを求めた呟きではなかったのですが、しかし、笑いが少なくなりつつある今日において、お一人様にでも笑いを提供できたのはよかった」
 勝負あり! ですな。命懸けで山をやって来た男に唯噛みついただけの薄っぺらさが浮き彫りになったってとこでしょう。
 自粛過剰を嫌うホリエモンの気持ちも分かるが、武漢肺炎収束が先決って事ですな。

2020年4月20日月曜日

休題 その三百



 東北大震災の後に、吉村昭の「三陸海岸大津波」が売れた。彼が克明に調べて纏め上げた力作である。涙なしでは読めないエピソードも多い。そして再び同じ悲劇が襲って来たのだ。喉元過ぎると熱さ忘れる、と言ったら不謹慎であるのは承知している。
 今回の武漢肺炎ではカミユの「ペスト」が売れていると小さな記事で読んだ。実際はペストではなく、それに似た疫病の話(勿論フィクション)だが、疫病猖獗の中に生きる、或いは死んで行く人々を描いている。その状況が現在に通じるからだろう。
 カミユの「ペスト」の世界は熾烈である。致死率が桁違いに大きい。死体処理すら間に合わなくなりそうな悲惨さだ。武漢肺炎が可愛く思える程である。
 徐々に始まり、指数的に増加し、高止まりで一進一退を繰り返し、やがて減少に転じて尾を引き乍ら収束する。疫病の起承転結は正確に描かれている。
 カミユだから不条理を描くのだが、疫病自体を不条理として扱っている。そうでしょうとも、昨日迄普通の生活だったのが、今日から突然非常事態に放り込まれちまうんだから。
 今我々も不条理の真っただ中にいる。これはどう仕様もない事だ。「ペスト」は一つの市の出来事だったが武漢肺炎は世界的流行だ。致死率は小さくてもより深刻な状況であるのは間違いない。経済的打撃も甚大だろう。
 武漢肺炎が収束した時には世界が変わる、と指摘する識者は多い。持てはやされたグローバリズムは後退するだろう。EUもその形を変えるかも知れない。現にEU諸国は国境を閉ざしている。やがて一つの国家になるなんて、幻だった訳だ。非常事態になったらEUは国民を守ってくれない、と言う事だ。国民を守るのは結局国家なのだ。日本政府も良くやってると思う。完璧はない。それにしてはマスコミは責め過ぎでしょうが。