2022年4月28日木曜日

山の報告です その百十五

 


 写真は入山日に張ったテント。この時は青空が見えるが、翌朝は雨こそ上がったもののドワーッとガス。風ばかり強い。

 つりはなくなったものの、がっくりとは疲れている。食欲はないのは当然で、何とか無理して朝飯は食べた。急がずピストンするうちにはガスも晴れるだろうと、淡い期待を抱いて歩き出して直ぐに帽子を忘れたと気づき、取りに戻って五分のロス。戻る必要は全くなかった。強風の為帽子を被っていられず、直ぐにリュックに入れたんだから。

 その百十四の写真を見ればお分かりだろうが、平標への稜線は雪解けが早い。仙ノ倉へもそうなのだ。従って殆ど雪を踏まずに夏道を行ける。この日は風が冷たく、前夜の雨が灌木の枝に凍り付いている。ガスの中冷たい風に吹かれ続ける、最高ですなあ。。。。


 
 風に揺すられつつゆっくり登り、平標に着いたがガスは晴れない。凍った看板が出迎えてくれた。仙ノ倉へ歩き出す。平標は七回目だが、仙ノ倉は今回で四回目だ。ガスだって何だって頂上迄行こうじゃないか。

 過去に仙ノ倉で晴れていたのは一回だけ。後の二回はガスと嵐だった。嵐の時は身を縮めてしか歩けず、飛んで来る砂粒がビシビシ当たって痛かった。それから見れば随分増しな状況だろう。

 一時間で着くのだが、やけに長く感じられた。体調不良ってこってしょう。それでも何とか着いて見ると、平標と同じく凍った看板のみ、景色なんぞーは夢のうーち♪ 歌なら良いのだが、現実はチト辛い。晴れるかとの淡い期待は、ばっさりと切り捨てられました。


 

 今来たこの道帰りゃんせえ♪ って戻ったですよ。風が冷たくて冬用グローブをはめている。持って来て良かったですよ。軍手なんかじゃ凍えてただろう。

 平標に戻っても状況に変化なし。良いのさ、後は撤収して無事に下山するのみ。(続)

2022年4月25日月曜日

山の報告です その百十四


  松手山迄二時間で登って来た。これは地図時間通りだ。ゆっくりを心掛けたのに速過ぎる。Yが一緒ならゆっくりペースにならざるを得ないのだが、一人だと急いてしまうのだ。写真は平標方面の展望。

 アレルギー性喘息は結構キツい。布団をしまうだけでもハーハー言うのだ。今回のザックを背負った時も、やけに重く感じた。そんな塩梅なのに地図時間通りはヤバいのだ。

 雪上にテントを張る。何時もは雪を踏んで固めるのだが、何となく省略して無造作に張る。水を造る為の雪をコヘルに詰めるのだが、面倒ちくって持ってる水で済ます事にする。

 明らかに、動きたくない症状ですな。詰まりバテていてその自覚がないって事。テントに入ってチューハイをぐーっとやる。そう美味しくない。何時もなら、クーッ美味い!なのにね。パンを食べるのも無理やりだ。そしてがくっと疲れが来た。芯から疲れたって感じ。半世紀近くの登山経験で三本の指に入る疲れ方だろう。

 それだけなら未だ良い。あちこちがつり出した。どう姿勢を変えてもどこかがつる。昔々の八海山から中のノ岳の、大つり騒ぎの再現だ。救いはあそこ迄の痛みじゃなく、三分の一程度の痛みで済んだ事だ。あの時の痛みだったら耐えられなかっただろう。年も取ってるし。

 困ったのは指がつる。何か摘まんだだけで指がつって曲がった儘になる。無理に伸ばすと腕がつる。作業も碌にできない。食欲も勿論ないが、無理やり食べて寝る事にする。

 あちこちつりつつシェラフに入って顔の紐を締めるとつる。時間を掛けて少しずつ手を上げてやっと締める。寝ていてもどこかつる。もうどう仕様もないのだ(涙)。

 そのうちに落ち着いて来てうつらうつらする。四時間以上つって苦しんだ。何でだろうか。大汗はかいてない。疲労が限界を超えたってこってしょう。夜中に雨音である。トホホな夜ですなあ。(続)

2022年4月22日金曜日

山の報告です その百十三

 


 Yのお義母さんの具合が悪くて、久方振りの単独春山となった。数年前に雪山のつもりで松手山に幕営、仙ノ倉に登ろうとしたが雪がなく、松手山の藪中にテントを張ったと言うバカな話があった。そこをやろうと決めた。

 仙ノ倉は往復で八時間弱、普通の人なら日帰りでやる。我々は途中にテントを張って翌日ピストン、普通ならそこで撤収して下山なのだが、我々は折角来た春山だでもう一泊して宴会をするのだ、ふっふっふ。

 今回は単独なのでテントに二泊する気はない。越後湯沢迄行ったんだから観光ホテルに泊まるとすっかと探したがない。伊豆箱根ではたまに一人客を見掛けるが、遠い所では一人客は想定外の様だ。結局駅前のビジネスホテルを予約したのだが、本末転倒支離滅裂、何をやってんだか。ま、温泉には違いないが。

 そして十九日朝のトキで湯沢入り、バスを降りたのは十時過ぎ、天気は晴れだった。暑いと感じつつ雪と夏道が混在する登りに掛かった。足跡は相当人数分ある。但し雪上の足跡は一晩で不明瞭になるので、分かり良くはない。雪が切れると笹に分け入って夏道に出るのは、常の通り。

 荷物が重いのでゆっくりを心掛ける。もっとも、急げと言われも急げない。アレルギー性喘息と診断されてから息苦しさは何時も付いて回っているのだ。従ってゼーゼーハーハーなの。

 鉄塔を越えてやっと雪の斜面になった。二人単独者と擦れ違う。ゆっくりゆっくり、と唱えつつ雪を蹴って行く。

 この日のスパッツは十年以上使っている冬山用で、自立型だ。詰まり上に留めはなく、自分でシャキッと立っているのだ。それが哀れな事に、歩き出して間もなく左のゴム(靴底を通すやつ)は切れ、右は自立を失ってグニャリとなった。もう限界ってこってす。

 松手山(1613,6m)に着いた。霞んではいるが展望あり。早速幕営に掛かる。(続)