2022年4月12日火曜日

閑話 その三百七十四

 


 一寸と古い話になるが、気になっていたので続報を探したがなかった。今年の二月二十七日、谷川岳の隣の一ノ倉岳で、神奈川県の四十七才と五十三才の男性二人が亡くなった遭難の事だ。写真の真ん中の緩いピークがその一ノ倉岳、左が柴倉岳だ。

 亡くなったのは残念で、お悔み申し上げるのみだが、二人共未だ現役世代、山だってどんどんやれる歳なのに、何でなんだとの気持ちは拭えない。

 日帰り予定だったと言う。三月の谷川連峰は厳冬期だ。その上悪天候だったらしいので遭難しに行った様なものだ。ひどい言い方なのは分かってます。

 谷川岳から一ノ倉岳、芝倉岳の稜線は稜線を歩けない。東側には雪庇が張り出すので、稜線を歩くと雪庇の上になる。崩れたら一ノ倉沢かマチガ沢へ真っ逆さまなのだ。

 最後の連絡が「ホワイトアウトで動けない、ビバークする」だったので、全く視界はなかったのだろう。あそこで視界がなければ動けない。稜線を辿ろうにも雪庇との堺が分からない。風だって半端じゃないのがあの近辺だ。

 そもそもそんな日に前進すべきではなかった。谷川岳で引き返すのだって容易ではないだろうに、更に進むのが分からない。真っ白な中を風を受けて歩いてどうするのだ。

 一ノ倉岳には避難小屋があるが、ドラム缶タイプなので雪に埋まっていただろう。もし頭が出ていても、入り口は掘り出さなければならない。スコップもなしでは出来ない。

 ビバークしかなくなった時には体力も尽きていたのだろう。遺体が発見されたとしか報道されていないので創造しかないが、半雪洞を掘る事も出来ずに雪上にいたのか。

 わが身に置き換えると居た堪れない気持ちになる。そんな状況になる必要なんてないだろう、と責めてしまうのだ。一番辛いのは本人達と御家族なのは承知の上でです。

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