2021年12月30日木曜日

休題 その四百二

  ドント・ルック・アップ

  写真無断拝借失礼。


 ネットフリックス新作の「ドント・ルック・アップ」は傑作と駄作の意見に分かれている。駄作だと言う意見が多い様だ。

 出演者は豪華絢爛である。天文学者のデオナルド・ディカプリオ、その助手の院生がジェニファー・ローレンス、合衆国大統領にメルリ・ストリーブ、キャスターがケイト・ブランシェット。アカデミー俳優を取り揃えている。彼らの出演料だけで普通の作品が何作も作れるんじゃねえのけえw

 コメディと言って良いだろう。唯、展開がありきたりだ。それが狙いなのだろうが、政府と組んで儲けを狙うIT企業が、欲の為に地球を滅ぼすと言うお決まりの陰謀パターンに落ち込んでしまった。為に薄っぺらくなったのは大変残念だ。

 もう駄目と分かった時に、大統領とIT企業幹部は宇宙船で脱出し、一万年以上をかけて外の惑星に到達する。あのお、そんな超高度な技術を持っているなら、地球にぶつかる彗星の資源なんか微々たるもんでしょうが。太陽系内の惑星から幾らでも採取できるんだから。コメディだからそれには目をつぶるとしたいが、根本的問題なので見過ごせない。だから薄っぺらくなるのだ。

 ちゃんと地球を滅亡させたのは偉い。「ディープインパクト」でも「アルマゲドン」でも、最後は巧く地球は救われる。こちらは全滅。脱出した宇宙船の諸君も、余り未来は明るくなさそうに描いている。

 地球の最期の時に、地球を救おうとした仲間はディカプリオの家に集まる。普通に会話を交わしつつ最期を迎える。このシーンはとても良かった。人類最期の時はこうでなくっちゃ。あくまであたしの好みってこってす。

 やり様に依っては傑作コメディになっただろうに。世情を批判したいなら変な陰謀を絡ませない方が宜しい。真正面から描くべきだ。人間とは地球とは、と例に依って愚考します。

2021年12月27日月曜日

休題 その四百一

 


 山本七平氏の名著に「空気の研究」がある。ご存じの方が殆どだろうが、極々要約すると、日本人は空気と称する掴みがたい何物かに支配されていて、科学的根拠すら”空気”の前では無意味であって、その”空気”に抵抗する者は容赦なく社会的抹殺をされ、ある時に突然”空気”が変わると憑き物が落ちた様になる。

 偉くザックリとした説明だが、大体そんなとこだろう。今風に言えば”社会的同調圧力”だろうか。それががっちりと日本人を規定してしまう。七平氏は大東亜戦争の始まりを考察し抜いて”空気”を炙り出した。

 最近、それは日本人に限ったもんじゃないぞと思い始めた。欧米人も立派に”空気”に支配されるのだ。Co2問題の事である。

 地球は温暖化されており、その原因はCo2だと世界的に認知されている。温暖化どころか氷期に向かっていて、暑くなったかに見えるのは揺らぎに過ぎない、と言う一部の学者は無視されている。Co2が多少増えても気候温度に影響を及ぼす事はできない、と言う専門家も無視されている。本当にCo2増加の為に地球の気温が上がっているとは、科学的定説にはなり得ないのだ。

 併しCo2が諸悪の根源にされていて、異議を唱える事は誰もできない。そしてせっせとCo2削減を実行しつつある。石油や石炭で発電するのは野蛮な行為、天然ガスにしよう。あのー、天然ガスだって石炭の60%はCo2を出すんだけど。だったら再生エネルギーだ、風力太陽光で行こう。あのー、不安定で話にならないから原発が良いのでは? 飛んでもない、原発なんて絶対ノー!!

 良かったですなあ、お陰でヨーロッパは電気代が滅茶上がりだ。日本でも容量ギリギリ操業が続いている。太陽光を増やそうとして伐採しまくっている。明らかに日欧米は変な空気”に支配されてしまいました。

2021年12月24日金曜日

閑話番外 その百二十八

 


 咳に苦しめられていると何度も書いた。どれくらい歩けるか試そうと、弘法山へ出かけた。妻は慢性上咽頭炎で医者通いをしている。その日は妻の務めている小児発達センター(シルバーの仕事です)で十四時に仕事を終え、軽く昼食を摂って医者に行く日だった。医者帰りに振り込みや買い物もあって行動範囲が広くて、自転車が必要なのだ。

 あたしは出がけに家の鍵を持ったつもりだったが、秦野から歩き出して気づけば鍵が自転車の鍵だった。大きさも形も全く違うんだよ、間違えようもないじゃないか(涙)。

 ドジも佳境に入りましたなあ。きっと妻は慌てふためいて、それでも遅刻はできないので出かけた事だろう。可哀そうな状況だが、何とかしなけりゃならない。急いで歩いて温泉に入り、湯上りの一杯をやめて帰宅して十四時迄に自転車を届けるしかない。温泉をやめたらどう? いや、温泉をやめる選択肢はない。実はそれがメインなので(汗)。

 さて急ごうとしても急げない。必死に登るとゼーゼーハーハー、呼吸が偉く荒くなって脚にも力が入らない。権現山に着いた時はフラフラ、話にも何にもなったもんじゃない。

 それでも頑張ったですよ。下りはほぼ走る。トレイルの若者の様だ。実際は爺さんがヨタヨタ下ってんだろうけどねw

 矢張り二ケ月以上の気管支炎(多分)は、相当ダメージを蓄積してくれたらしい。弘法山コースで苦労したのは、手術後以来の出来事なのだ。

 温泉では思い切り湯気を吸いこむ。気管支には良いかも知れないので。するとゴホゴホと咳き込む。周りの人には怖い思いをさせてしまったですなあ。

 家は案の定電機は点けっぱ、バッグは放り出してあって凄く慌てた痕跡だらけ。結局自転車は無事に届けられた。大分危ない。もう一寸とボケないでいたいもんです。