2013年12月29日日曜日

閑話 その百十五





 写真は幕場に着いた時の大室山だ。雪で白い木に覆われて居る。
 テントの中での乾杯はチューハイだったが、寒いので余り進まない。二本目には手が出ずに焼酎となる。其処で降雪とは前述。
 幸い雪は直ぐに上がり、晴天に戻る。そして気温がぐんと下がった。夕飯を済ませたら、とっとと寝る。どうせ、夜の宴会が有るのさ。
 目覚めて、凍った雪を踏み小用に出ると、満天の星で有る。寒い寒いとテントに入ると、Yはグーグー寝て居る。
 声を掛けて起こし、恒例の宴会が始まる。そうです、あたしの小用が夜の宴会の開始なのだ。余り風流とは言えませんなあ。
 こんな夜は、日本酒を熱くしてやりたい処だが、何たる事か日本酒が無い。酎ハイと焼酎を三時間も飲み続けて語る。山の話、芝居の話、知らぬうちに夜中だ。又シェラフに潜り込む。
 四時半、バッバッバと音がする。バーナーだろうと見ると、Yが火を点けて居る。寒さの為ガスが気化せず、不規則に燃えて居る。
Y「寒くて、寝ていられないんだ」
 セーターの上にダウンのベスト迄着込んで居るのにで有る。確かに寒くは有った。
私「寒冷地用のガスならOKだよ」
Y「今度はそれだ」
 先ずはコーヒー。ロウソクの灯りで飲むコーヒーは、別格なのだ。朝食を済ましてお茶。これまた美味しいし、ビタミンCの補給もバッチリと言う優れもの。
 未だ暗い。では、と梅芥子茶を飲む。ピリッする辛みと梅の風味が絶品だ。うーん、飲んでばかり居ますなあ。
 明るくなったら撤収。程良い深さの雪を踏んで下る。雪が無いとザラザラの地面が滑り易く、彼方此方に思わぬ力が入るのだが、其れが無いのが有り難い。
 為にYも膝が笑わず、氷った車に着けた。後はひたすら町田へ走り、又町田で一杯やって、忘年山行は無事終わった。Yも尻餅をつく事なく帰宅出来ただろう。あたし的には、一寸と残念だけど。へっへっへ、人の不幸を喜ぶ悪い癖です。
 我々が元気な限り、続く行事なのでしょう。

2013年12月26日木曜日

丸? その四






 今の地図では恋路峠のみが記載され、越路峠の名は消えた。そして検見ヶ丸の名も記載されず、無名の小ピークになって居る。
 古い四万図で丸を探して居て良かった。消え行く丸を一つ拾う事が出来たのだ。え、此の閑散とした愚ログじゃ無意味だって?言われりゃ全くそうだよね!!
 外にも消えた丸が有るかも知れない。併しもう探せない。特に、私が様な面倒臭がり屋には。古文書迄漁る気は無い。其れは其れって事で、さっぱりと諦めるの一手でしょう。
 丸探しも終盤に差し掛かった様だ。え、大体が変な企画だって?そりゃあ確かにそうねえ。でも、私がやらないと、多分やる人は居ないんじゃないかと危惧して、余計な事をしてる訳なのだが、其れすら意味が無いって事は、良く知って居る。ま、結局は好きなんでしょうな、丸と言うピーク名が。
 相甲国境稜線に戻って貰おう。城ヶ尾峠から西に五十分も行くと、中ノ丸が有る。標高は記載されて居ないピークだ。と言う事は、やがて消えて行く丸かも知れない。
 城ヶ尾峠と菰吊山の間のピークとして、結構存在感が有るのだ。標高は、どんな訳だか知らないが、中ノ丸の東へ一寸と行った所で測って有る。無名地点1240mだ。中ノ丸もほぼ同高度だろう。
 中ノ丸の次の大きなピークは菰吊山(こもつるしやま。くどい?)だ。南に延びる尾根を辿ると、大栂、織戸峠を越えて、椿丸902mへ至る。長い尾根で有る。
 此処いらは、流石の大野君の地図でも空白地帯だ。詰まり私の独壇場だ、フッフッフ。とはしゃぐ程でも無い、平凡なピークだった。
 椿丸には二度立って居る。一度はYと一緒に織戸峠から登って来た。帰り道が長くてガックリした覚えが有る。秋だったので尚更だったのだろう。今一度は単独で、浅瀬から尾根伝いにやって来た。物好きで有りますなあ。
 (丸? その五へ続く)

2013年12月23日月曜日

閑話 その百十四





 毎年、年末にYと山に行く。忘年山行ってやつで有る。去年は東尾根を登って堀山直下に幕営した事は、前に書いた。
 今年は大室山を目指したのだ。神ノ川ヒュッテから尾根に取り付くが、登山道は完備で有る。
 今年の四月にも、同じコースをYとやった。其の時は、登って居る途中であたしは予言した。
「下りは、此処いらから膝が笑うよ」
 そして其の予言は当たった。あたしゃあ預言者か? Yはメロメロになった。品川の自宅に帰る迄三回転んだそうだ。転ぶと言ってもバタンとでは無い。足に力が入らないので、ヘナヘナと尻餅をつくのだ。そして、家でも一回転んで飼犬を驚かせたそうだ。
 車でなければ入れない。町田で七時の予定だったが、Yが寝坊して(訳有り)一時間遅れての出発だった。其れが幸いした。道志道も神ノ川林道も凍って居る。一時間遅いだけでも、相当安全になって居た筈だ。
 神ノ川ヒュッテの周りは、一面の雪だ。尾根を登って行くにつれ、雪は深くなる。今回はスパッツが見つからず、昔の物を持って行った。稜線に出たら、雪がぐんと深くなった。
 あたしは変な奴なので、極力スパッツもアイゼンも着けずに行こうと思って居る。大昔流なのだ。水だって飲まない。時代遅れ、帝国陸軍並の感覚だ。
 で、スパッツを着けようとしたら、チャックがどうしても上がらない。そんな時頼りになるのは、そう、Yだ。
 彼は機械好き、縫い物も手直しも大好きで力も有る。チャックを仔細に検分し、何の問題も無いので、力任せに上げてくれた。有り難う、Yよ!
 おらの感はぴったしだっただ。其処から雪は30cmになっただよ。山々は白銀の姿を表す。でも、登ってる我々は一歩一歩が大切だ。幕営予定地に着いた。十四時を越えて居る。冬至の前日だ。じきに日は暮れる。登頂は断念して。幕営と決める。
 大成功だった。テントに入って乾杯って時にパラパラと降雪、ラッキー、と喜び会ったです。(続)

2013年12月20日金曜日

丸? その三




 さて、丸の王者と言えば檜洞丸1551mだろう。標高・風格、文句無く王者で有る。此の山を目指して来る人は多い。私も高校の頃登ろうと思って地図を見て、何だろう此の変な名前は、と思った覚えが有る。
 詳しくは、後の方に檜洞丸の章が有るので、お楽しみに。あ、皆一気に逃げ散った……。
 シャガクチ丸1191mは、相甲国境稜線の水晶沢ノ頭とモロクボ沢ノ頭の間に有る。加入道を下ってからはアップダウンを繰り返すが、其のうちの一つなので、特に此れと言った印象は残って居ない。(済みません)
 ね、説明して居てもピーク名は頭だらけでしょう。此れじゃあ、どれがあたまで、どれがかしらか、分かりゃあしねえって気持、分かってくれるでしょう?
 どれがあたまかしら?なんちゃって、はっはっはっは。……再三のおやじギャグ、失礼突っ転ばしましたです!(死語ですなあ)
 畦ケ丸1292.6m、丸の世界のナンバーツーなのは、皆さん異存の無い処だろう。先程のモロクボ沢ノ頭から二十分程国境稜線を外れた所に位置する。
 緑豊かな静かな山との印象だが、周りの沢は結構剣呑で、上級の沢が揃って居る様だ。ま、山は見掛けに依らないって事です。
 畦ケ丸にもそうねえ、二十数回は登っただろう。だって、本当に良い山なんだから。決して私が偏執狂って訳じゃ無いんですよ。(多少はそうかも知れない)
 今迄全く気付かなかった丸を見つけた。世紀の大発見、では勿論無い。余りに道志道に近くて、見落として居たのだ。池ノ原の道志中学校の裏を300mも登った小ピークが検見ヶ丸929mで有る。此の辺りは標高が上がって居るので、ほんの小山だ。
 検見ヶ丸から稜線を南に行くと、程無く越路峠、別名恋路峠に着く。恋路峠とは又、訳の有りそうな名前だ。一度通った事が有るが、一寸ともロマンチックな感じの無い処だった記憶が有る。看板に偽り有りですなあ。
 (丸? その四へ続く)