2013年12月11日水曜日

休題 その百二十四




 “クラウド アトラス”の話で有る。「すべてはつながっている」がキャッチフレーズ、六つの時代の六つの物語、なのだ。
 過去、現在、未来の話が、並列して進んで行く。関係を、有る時は微妙に、或る時は濃厚に保ちながらで有る。演技者は夫々の物語に重複して現れる。
 滅茶苦茶面白い。だが、時期を逸したので単館でしか上映して居なかった。依って渋谷迄足を運んだ。満員だった。至極当然だ。
三時間近い映画で有るが、あたしには長くは感じられなかった。出演者はトム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・フロードベント、ヒューゴ・ウイービング、等々と名優揃いだ。
 人によっては、長くてゴチャゴチャしてて、同じ人間が役割を替えて出て来て、過去に行ったり未来に行ったり、繋がりが有ったり無かったり、と思うだろう。それも無理は無い。
 でも、好んで見に来た渋谷の単館では、満員の客が皆喜んだ(様だ)。エンドロールが終わる迄、席を立つ人は居なかった。前述だが、エンドロールの時に其の映画の反応が分かる。人が一斉に立つのは、失敗作だ。
 唯一つ不服が有る。あんなに緻密に構成した癖に、ラストで駄目にしちまった。ネタバレだって関係無い。ストーリーが分かって居ても、名作は名作なのだ。
 トム・ハンクスの思い出話で終わらせた為に、作品が力を失ってしまったのだ。何と勿体無い事を!!!
 パーツは生かして良い。順番を変えるだけで、インパクトが百倍にもなる。トム・ハンクスの思い出話も入れよう。但しラストでは無い。ソンミの処刑シーンも出して置こう。
 ラストは一寸と時間を戻し、ソンミが処刑に引き立てられる時にしよう。審問官が聞く。「誰も信じなければ?」ソンミが答える。「もうすでに、誰かが信じ初めて居ます」(完)
 うん、此れで良い。パーフェクトだ。
 もし見てなければ、一度ご覧になって下さい。映画好きには、決して後悔はさせません(筈です)。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

なるほど、なるほど、「通」だけのための映画ですねー!こちらで観る機会がありませんでしたー!トム ハンクスは、アメリカの良心という存在だそうですが、親切すぎるというか、彼が説明すれば説得力を持って、見ている人に理解できるようにできる、という使い方をされているみたいですね。

kenzaburou さんのコメント...

全くです!
為に作品の格調を低めては、勿体無い事おびただし、なのです。