2013年4月29日月曜日

ハイクへのお誘い その三十一




 あたしは山頂独り占め、ゆっくりとお握りを食べて出発した。下りは不動尻へ向かう。
 

 第二峰は双頂で、ガッと下ってガッと登る。言う迄もなく、鎖は完備だ。其処から相変わらずのザラつく道を下るが、かように鎖が有る。鎖が無ければ、結構嫌な感じでは有る。


 で、登り返せば第三峰にご到着で有る。此処からはまともな尾根歩きになる。ほっとして下さい。第一峰に取り付いてから第三峰に至る迄は、気を許してはいけない。まあ、気を許せと言っても許さないと思うけど。


 やがて瀬音が近づくと、こんな鎖場が有る。此処も鎖が無ければ、困っちまう所だ。


 此の後は沢沿いになるが、もう一か所鎖に助けられる場所が有る。以上で、淡々とした道になる。一寸と鎖が懐かしくなったりする。
 やがて不動尻だ。山頂から一時間三十分。十年近く前には、此処に大きなキャンプ場が有った。今は案内図だけが残って、其れに描かれて居る、管理棟もバンガローも炊事場もキャンプ場も、何にも無い。
 蛭が宮ケ瀬から大挙して来たもんで、経営不能に追い込まれたのだ。蛭だらけになってもキャンプをする変人は、まず居ない。
 此処から向かうのは広沢寺温泉だ。古い温泉なのに一件しか旅館が無いのが素敵だ。不動尻から一時間弱だが、途中にトンネルが有って、結構面白い。



 
 こんな看板が有るが、道通しに行く方が良い。道の逆側は七沢壮入口で、広い露天風呂が売りだ。最近はメジャーになって、日帰りバスツアー迄やって来るので、静かな温泉を好む人は、外にもたくさん日帰り入浴可能な宿が有るので、是非其の先の温泉郷を探訪して下さい。
 温泉に用の無い人は、真っ直ぐ行くと直ぐにバス通りに突き当たるので、右に行けば程無くバス停で有る。不動尻から一時間十五分だ。長いと言えば長い車道歩きだが、山里の景色を楽しめる道でも有る。


 都合五時間四十分のルートだ。休憩時間は含んで居ないので、実際はもっと掛かるだろう。山頂が934,6m、高くは無いのだが、険しさが売りなのだ。
 大山三峰は、峠道、尾根歩き、厳しい急登、急降、沢沿いの道、山里、と変化に富んだ優れルートで有る。但し、核心部はくれぐれも慎重に願います、足元がザラザラして悪いので(くどい?)。

2013年4月25日木曜日

ハイクへのお誘い その三十





 分岐から物見峠迄は、地図上で二十分なので、バス停からは一時間二十分だ。うん、此れからは面倒なので、地図上ではとは書かない。特に断りが無い限り、時間は地図上だと思って下さい。
 峠に立って驚いた、大昔の感動処か、展望自身が無い!どうしたってんだ、あの眼前に広がる丹沢の嶺々は何処へ行った!!
 年月は流れるのですなあ。あの見事に見通せた峠が、樹木が育って見通しが全く無くなって仕舞ったのだ。曇って居たのは確かだが、樹木が邪魔して居るのだ。
 もう一つ驚いたのは、土山峠への道標が有った事だが、地図に道が記載されてるんだから驚く方が変だ、とは分かるんだけど、あの閑静な峠のイメージが吹っ飛んじまったんで。
 峠からは三峰山に向かうのだが、結構急な登りから始まる。其れも十五分でショートカットのルートと合流する。
 暫くは気持ちの良い尾根歩きだ。第一峰(仮称)が目前に聳えると、核心部へ入る事になる。ぐんぐん登らされる。足元がざらつくので、下りには取りたく無い道だ。詰上げ近くにはロープが垂らして有る。
 第一峰の下りは鎖が確り有る。第二峰への登りも、鎖や梯子が完備されて居るので、心配する事は無い。但し、痩せ尾根の連続なので、くれぐれも慎重に願います。

 
 第二峰が三峰の頂上で有る。ショートカット合流点から一時間四十分だ。五月なら三つ葉ツツジが咲き乱れて居るのだが、未だ殆ど無いのが、チト寂しい。振り返ると、第一峰がこんな感じで見える。


 下の写真は山頂からの丹沢三ッ峰だが、天気が今一だったので、こんなんで失礼。

 
 あたしが行った日は、山中には誰一人居なかった。多少マイナーでは有るのだ。でも、五月になると狭い頂上に入りきれない程、人が居る。前述だが、弁当を広げる場所も無いのだ。本当に、鎖にぶら下がって食べるしかない。三つ葉ツツジの魅力で有ろうか。


 此の写真は、麓の三つ葉ツツジです。(続)

2013年4月23日火曜日

ハイクへのお誘い その二十九



 今回は大山三峰です。ちゃんとしたルートなので、改まって紹介する迄も無いだろうけど、どちらかと言えばマイナーな感が有り、尚且つ面白い山なので取り上げたのです。
 迷う事は無いのだが、核心部は尾根が痩せて両側が落ちており、足元が悪くて傾斜が急なので、初心者だけで行くのは避けて下さい。経験者と一緒なら、大丈夫でしょう。
 鎖や梯子は完備されて居るので、そう心配する事は無いのだが、うっかり滑ったり、蹴躓いたりすると大事(おおごと)になる場所も有るので、くれぐれも慎重に願います。
 下車駅は小田急の本厚木駅。駅前の五番バス乗り場で、宮ケ瀬行のバスに乗り、煤ヶ谷(すすがや)で下車する。
 バス停の一寸と先に、左へ川に沿った車道が有るので其処に入る。道標も有る。川沿いに200mも行くと、物見峠の分岐が有る。


  此処を右に上がって行く。コンクリートの端を歩く処が続き、何かなあ、と思っても其れで正解なのだ。やがて堰堤の前で確りした鹿留め柵の扉が有るので、開けて通る。閉めるのをお忘れ無く。やがて峠道らしくなる。




  卯月も浅かったので、未だ新緑は淡い。GEは淡い微妙な色合いに弱いので、尚更白茶けて見える。あ、其れはもう言わない約束だったですなあ。
 地図上で一時間で看板が有る。此処に道標も有って、物見峠道とショートカット道に分かれる。


 ま、此の看板に偽りは無い。従って、初心者だけで行ってくれるな、と断った次第だ。わざわざ物見峠に寄る必要が無ければ直進すれば宜しい。あたしは物見峠で感動した思い出が有るし、何度も通った懐かしい場所なので、右へ折れて峠へ向かった。少々遠回りになるんだけどね。其処は淡々とした峠道なのだ。



 
 直ぐに看板が有った。尤もこの看板は注意を促す意味だろう。特に危険を感じる所は無かったので、ご心配無く。(続)

2013年4月21日日曜日

柄でも無い事 その四十三




 Yと渋沢駅で待ち合わす時も、町田駅で車に拾う時も、Yは箱根そばを食べて居る。Yにとっての丹沢とは、箱根そばの事なのではないのだろうか。
Y「一杯食べて行くと、全然違って楽なんだよね」
 確かに、炭水化物、油(天麩羅)、塩分、蛋白質(ちくわ等)を摂取するのだから運動前には持って来いで有る。前述でした(ペコリ)。
Y「それに、凄く美味しいの!」
 そう、今回は其の話。前にも箱根そばには触れたが随分前なので、又行ってみよう。
 説明する迄も無く、箱根そばは小田急線の駅そばで有る。昔は唯の駅そばだった。何時からか生そばを茹でて出す様になった。結果、駅そば日本一と評されるに至った。
 とは書いたが、誰が評してるかってえと、あたしなので、説得力が極めて乏しいのだ。無いに近いだって?……其の通りだ。
 食べ比べて欲しい、外の駅そばと。あたしだって、全部知ってる訳が有る筈無いけど、少々はかじって居る。
 JR東日本は置いておく。旅客を息をする貨物だと思って居るのだろう。従って息をする貨物に相応しいそばを提供する。当然の発想だ。人が、味災と呼ぶのも無理は無い。
 京王は?京急は?東急は?東部は?西部は?JR東海は?名鉄は?近鉄は?阪神は?
 限(きり)が無いので止めよう。何処も箱根そばの水準には達して居ない。
 山帰りの駅そば、それも信州・甲州の本場物は美味い!とは言ってもシチュエーションの問題で、冷静に見れば箱根そばには及ばないのだ。
 駅そばで生そばは何処だろう?十年前には当然乍ら、何処にも無い。今は少なくとも一件は有る。松本駅のそば屋で、別料金が必要だが、茹でてくれる。そばは美味い!残念乍ら、汁の味が箱根そばに迄は届かない。
 箱根そばは、今や小田急線から離れて出店して居る。千歳烏山、幡ヶ谷、橋本、古淵、蒲田、川崎、茅ヶ崎、豊洲、新橋、四谷見附、秋葉原、田町、赤坂と言った按配だ。
 「食べ物屋が羨ましい、美味しいものを出せば客が付いてくれる」、と売れないメーカー時代に良く口にした言葉だが、全く其の通りなのですなあ。