2023年4月29日土曜日

閑話 その四百六

 


 今来たこの道帰りゃんせ♪ で加入道山へ向かい、破風口へ下る。冬枯れの木々だが、中には新芽を吹いている種類もある。上の写真がそれ。

 暫くすると相甲国境線も一面の新緑になるのだろう。独り占めの稜線をぽっくりぽっくり歩くのは気分が良い。時間はたっぷり、鳥の囀りがお供だなんて、結構贅沢なんです。

 避難小屋にはザックが待っている。サブザックを詰めて下山とする。気持ちの良い小屋でした。余り眠れなかったけどね。

 稜線から別れると崩壊地点の通過が待っている。我乍ら情けないんだが、やっと通過する。手掛かりがないもんで土に手をつくので手が泥だらけ、昔なら鼻歌だったのに。後期高齢者はこんなもんなんですなあ。そうじゃない人はいるけど、特別な人なんです。

 一時間半下るだけなのだが、長く感じる。流動食頼りが良くないのかも知れない。下るに従って新緑が現れるのは嬉しい。一人登って来た。単独の中年男性、道を外して休んでいる。「お早うございます」と擦れ違う。

 登りで最初に休んだ東屋で休もうと頑張って、やっと東屋が見えた。東屋は七人の若者で一杯、一寸と離れて案内人らしい地下足袋の中年男性も休んでいる。登山パーティっぽくないのだ。何のグループか聞けば良かった。元気一杯楽しそう、だったので遠慮したのだ。

 東屋の一寸と下で休む。来た道を見るとちらほら緑である。


 
 そこから駐車場へは登りで四十分なので、じきに着くと思ったが、そこからも長かった。流動食が……、止そう。ザックを背負って下れなくなりつつあると判断するのが妥当だろう。その先例はYが散々示してくれている。

 やばい話である。あたしゃあ確実にYの後を追っている訳だ。「下れまっしぇん!」と叫ぶ日も間近となったのだろう。そうなったら、ハイカーですらなくなっちまうだよお。(続)

2023年4月26日水曜日

閑話 その四百五


  眠れないのは常の如しです。何時間かゴロゴロして小用で表に出るとガス、ウイスキーを飲み直してやっとうつらうつら、三時にはバッチリ目が覚めて、少し頑張ったが三時四十分には起き出してしまった。

 ワンタン中心の朝食、そしてザックの荷詰めをしてのんびりと一服点けてサブザックを背に出発したのは四時四十分、貧相な朝飯だと速いですなあw

 薄ら明るくなったがガスは残っている。目指すのは大室山、一時間半は掛からない。歩くにつれてガスは消えて行く。相甲国境線は未だ冬枯れだ。上の写真がその様子です。

 加入道山と大室山の間の最低鞍部を”破風口(はふうこう)”と呼ぶ。下り切ると木橋の破風口。何か素敵でしょう、破風口って名前。如何にも鞍部だなって感じませんか。え、そんなのお前だけだって? まあ、確かにあたしの勝手な好みなんですよね。

 後は登り中心。階段や梯子が整備されていて、改めて驚く。大室山は何時も逆から来ていて、そのルートは未整備なサブルート、正規ルートを来るのは何十年振りなもんで。

 薄雲を通して朝日が当たり出した。周りは一面バイケイ草。バイケイ草は五月だったが、早くなってますなあ。桜の開花時期と同じくで、温暖化は確かだ。Co2の所為かは又別の問題。写真は朝日の当たるバイケイ草です。


 
 振り返ると加入道山と富士山。


 
 階段を登り終えると大室山だ。三角点はその先だが、展望もない樹林の中なので今回は行かない。六時前なので、勿論誰もいない。昼間は結構人がいて賑やかだが、大室山にはこの静けさが似合う。南方は薄い雲海で、檜洞丸が樹木越しに見える。


 
 次の写真、左が中川権現山右が畦ヶ丸です。


 
 100度程の展望がある。せめて180度あればと思うが、展望が売りの山ではないのでこれで良いのだ。(続)