2012年9月30日日曜日

山嫌いの製造法 その三




私「駄目だよ、聞いてる暇なんか無い様だから、はっはっはっは」
 笑い事じゃ無いですなあ。私が変な所へ連れて行った犯人なんだから。でも、あそこ迄怖がるとは思わなかったのですよ。酷い思いをさせて、御免なさい(ペコリ)。
 長女は山が嫌いだ。海の女になっちまった。長女の夫はサーファーだ。そうしたのは、例に依って私の様だ。
 此の件は、閑話か何かで既述だろうが、誰も覚えちゃあ居まいて、ふっふっふ。
 何せ季節が悪かった。二月の蛭ヶ岳だ。当たり前だが、雪の稜線を歩く事になる。其れでもだ、天気さえ良ければ天国なのだ。何て綺麗なの、何て山は素敵なの!となる。絶対だ、保証しよう。
 ところがどっこい、天気が悪かった。冷たい雨だった。おいおい、雪道なんだから降るのは普通雪だろが。ふん、そうは行かないのが人生ってもんなのさ。
 雪を踏み乍ら雨に打たれる。山慣れして居ても、嬉しく無い状況だ。雨具を着て居ても濡れる。風の所為も有るし、雨の所為も有る。此れは決まり事だと言える。
 尚も良くしたもので、此の日の小屋の宿泊者は四人(含、我々)のみ。ま、当たり前ですな。良くぞ四人もやって来たと言うべきだ。
 従って強力なマキストーブは沈黙し、石油ストーブが燃えて居るのみで、小屋も深々と冷えたのだ。
 長女の始めての山、中学三年生の時だった。殆んどの場合、初めて登った山の印象で、山を好むか嫌うか決まるものだ。晴天の、清清しい山頂で景色を楽しめば、又来たいと思うのは、極自然な感情だ。
 真逆な状況では、もう二度と山なんか御免だ、山の馬鹿!!!となる。翌日も悪天候だったので、当然長女はそうなったのだ。まあ、仕方無いですなあ。
 (山嫌いの製造法 その四へ続く)

2012年9月28日金曜日

休題 その九十六




 アカデミー賞最多受賞作品と言えば、ベン・ハーとタイタニックで、夫々十一部門の受賞とは、皆さんご承知の事だろう。
 実はもう一作有る。ロード・オブ・ザ・リングの王の帰還で有る。三部作合計では十七部門受賞だ。ベン・ハーやタイタニックを抜いたとも、言えない事は無い。
 原作者のトールキンは、「指輪物語は基本的には宗教的でカトリック的作品」と書いたそうだ。宗教的は分かる。本人が言う事なのだから異議を唱えるのも変だが、カトリック的作品とはどうしても思えない。
 まるでケルト神話の世界ではないか。北欧神話も加わって居るらしいが、北欧神話はマイティ・ソー位しか知らない(恥)。でも、マイティ・ソーは、変に面白い映画では有りましたなあ。
 第一ゴッドが居ない。其の癖樹木にも魂が有り、仕舞いには喋り且つ歩く様にすらなる。不死の存在のエルフも居る。どう見ても一神教の世界では無い。
 トールキンは、作品を貫く心がカトリック的と言うのだが、不明なあたしには理解不能で、プロテスタント的でも、イスラム的でも、仏教的でも同じだ、としか思えない。
 併し前述の通り、本人の言う事なのだから、心の奥底が分かる筈も無いのだし、訳も分からんあたしなんぞの余計な詮索は失礼なので、此の話は打ち切ろう。
 中つ国とは、キリスト教が伝わらなかったケルトとゲルマンの世界。あくまであたしの無責任な想像ですよ。人間と半妖精が同居して居るのだから、そうならざるを得ない。
 冥王サウロンと配下のオークの存在は、何なのだろう。そして、サウロンに与する人間達。明らかに、中つ国の人間とは異なる文化を持つ種族だ。直感的にペルシャを思うが、多分大外れでは無いだろう。
 オークの大軍は、例えばフン族?実際上は騎馬を乗りこなして居るのは人間で、オークは徒歩(かち)だ。でも、逆転して考えれば其れも有りなのでは。(多分そうだよ♪)
 素晴らしい作品を残してくれたトールキンと、見事に映画化してくれたピーター・ジャクソンに感謝します。

2012年9月25日火曜日

山嫌いの製造法 その二





 此の諸君は前述の、劇団をやって居た時のメンバーなので、Y以外は山に縁が無い。とは言っても、IIは学生時代はラグビー部の部長で有り且つキャプテンで有った。それなりの体力とガッツと運動能力は有る。
 筈だった。今は学生では無い。メタボなおじさんなのだ。面白い事にIIも皮製のリュック姿だ。
 滝を登るのも一苦労、腹が邪魔をするのだろう。口なんてきかない、元々無口な男が、完璧に無口になった。唯ゼーゼー歩いて居て適当な岩が有ると、無言で座る。私も無言で待つ。暫くでIIは立ち上がり、又歩き出す。
 Yは問題無い。SBもジョギング好きのスリムなスポーツマンだ。唯一人気の毒だったのがIIなのだ。SYさんと同じく苦労して、四つん這いで尾根に出た。洒落た皮のリュックも、見る影も無い有様。
 やっとO屋に着いたのは目出度い。其処でビールをグーッとやったIIは一言「死ぬかと思った」とのたもうた。はっはっはっは、生きてビールが飲めて良かったな!!
 我乍ら酷いですなあ。決して悪気では無いのだが、結果として気の毒な事になるんで、仕方が無いとは此の事(え、違う?)。
 二昔も前になるだろうか。S夫婦、K、其れと、珍しく同期生だが山とは縁の無かったKWさん(女性)でハイキングへ出掛けた。止しゃあ良いのに、大山南東の不整備な路に連れて行ったのだ。
 当然、S夫婦とKには何でも無い路だった。併し山慣れないKWに取っては、飛んでも無く酷い路だった様だ。下りは腰を付いて、ズッて下る。確かにガラガラで滑り易い路だけど、ズル程では無い、と思うのはこっちの間違いで、本人は必死だったのだろう。確かに必死な表情だった。
 S婦人には、意外と天然な処が有る。其の死に物狂い(一寸とオーバーかな)なKWにS夫婦が登った山での面白い出来事を、笑い乍ら話して居る。片やKWは必死の形相だ。
 (山嫌いの製造法 その三へ続く)

2012年9月23日日曜日

クソ面倒な話 その五十一




 二度目かも知れないが、書こう。
 さて、現在の日本は、あたしが知って居るだけで、三ヶ所に領土問題を抱えて居る。北方領土と竹島は置いて置く。両方共敗戦直後(決して終戦では無い、耳障り良く言い変えれば物事が変わる訳では無い!)にドサクサで武力占領されて今日に至って居るのだから、国際裁判所に訴えるしか無い。
 でも、其の国際裁判所が何かやってくれる訳では無いのは、ご承知の通りです。歴史がアドバイスしてくれて居る。武力で獲られた所は、武力を以って獲りかえすしか無い。
 困った話になっちまった。従って北方領土と竹島は置いて置くのです。
 さて、未だ武力で獲られて居ない尖閣諸島の話をしよう。都知事が購入すると決めたら、国が購入する事になった。其処迄は良い、其れが本筋だ。
でも、漁船の緊急避難用の港も整備しないし、あらゆるインフラも放置、其の侭ですと言う事は、中国が上陸して実効支配して下さい、と言ってるのと同義なのだ。
 本来尖閣諸島は琉球に属して居た。琉球が沖縄県となった。1885年から1895年に掛けて調査し、尖閣諸島がどの国にも所属しない事を確認、沖縄県に編入した。
 其の後日本人が入植、鰹節工場なぞを運営して居たが、南洋諸島より安価な製品が入る様になって工場閉鎖、無人島となった。が、勿論実効支配は継続された。
 アメリカに依る占領中は、アメリカ軍の占領地域に尖閣諸島は含まれて居る。其の頃の中華民国と中共の地図には、尖閣諸島は日本領として記載して有る。
 1953年の人民日報(日本の新聞と違い、政府の新聞で有る)の「琉球諸島人民に依る反米運動」の記事には、尖閣諸島は琉球諸島に含まれると、明記されて居る。
 かように、当然日本領と認めて居た尖閣諸島を、突然我が物だと言い出したのは、1969年から1970年の調査の結果、尖閣諸島周辺にイラクに匹敵する石油が有ると判明してからだ。1971年の事で有る。
 後はご存知の通り、唯闇雲に反日を煽り、根拠無く尖閣諸島は中国の領土だと強弁を繰り返して居る。デモと暴動の圧力を掛け乍らたまに上陸し、日本の反応を窺って居る。
 勿論、日本政府があくまで事なかれ主義を通すなら、一気に実効支配を狙って居るのだろう。確りしてください! と現政府に言うだけ無駄か……。

2012年9月21日金曜日

山嫌いの製造法 その一



 山に縁が無かった人や、興味の無い人を山に連れ込んで、結果として(私は意図して居ないの!)悲しい思いをさせた事は、「迷惑でしたか?」(ラベルは迷惑者)に書いた。
 実は外にも有るのだ。其れも結構有る。其のうちの二、三をゲロって、懺悔の真似事でもして見よう。
 あ、はっきりさせとくと、私はキリスト者では無く、仏教徒ですからね。仏教でも懺悔は大切で、しかも重いのだ。
 私と妻の共通の友人のSYさん(女性)と飲んで居る時、山に行く話になった。酔ってる私は無敵だ。「じゃあ、沢登りだ、葛葉沢で決定!」と、葛葉沢に行く事になった。
 酔いが醒めればまともになる、幾ら私だってさ。初めての沢登りだって?誰が言ったんだよ!(おいおい、自分だよ)こりゃやばいぞ、と即連絡してYに同行を頼み、サブザイルを持って葛葉沢へ入りました。Yよ、来てくれて有り難う!
 前述の通り、沢登りの入門の本の初めての人向けと有れば、先ず間違い無く葛葉沢だ。本当に可愛いくて危なく無い沢だ。おまけにガレも殆んど無い。少しは有るけど、玩具みたいなもんだ。
 でも、SYさんは山に(沢登で無い普通の山)行きたかったのだ。勿論、沢だからねとは説明したが、未経験者の誰がそんな説明で分かるのだろう?分かりっこ無い!
 当然背負って来たリュックは、町用の皮製の洒落た奴。で、あっと言う間に沢になったのだから、カルチャーショックでしょうなあ、はっはっはっは。
 失礼しました。笑い事では無い。「責任者を出せ!」と言われりゃ私が出るしか無い。で、川原を歩かされ、小さな滝を登らされ、斜面を這わされて、お洒落な服もドロドロと相成った次第。沢登りだから当然では有る。
 勿論Yもサポートするし、一寸とヤバければサブザイルを出すと言うサービス振り、お姫様扱いなのだから、上等で有る。妻は何度か沢の経験が有るので、放ったらかし、でも何とかラストから付いて来たのは偉かった。
 SYさんはガレでは這い、尾根に出る迄の斜面でも這い、それもアザミのシーズンだったので、アザミを何度も掴んでは痛がり、ヒーヒー言って尾根に登った。
 そして、三ノ塔のピークでコーヒーを沸かして飲んだのだから、本人もきっと喜んで居るだろう、と思う……。
 矢張り、お洒落に普通の登山道を行きたかったのかなあ、女性としては、と今更乍ら気付く駄目な私。
  同じ葛葉沢でもう一つ。
 私と、Yと、達磨さんが転んだ(ラベルは続大室山)の時のSB、それにII(初めての登場です)で葛葉沢へ行った。
 (山嫌いの製造法 その二へ続く)

2012年9月18日火曜日

柄でも無い事 その四十




 鰻が高騰して居るのはご承知の通り。鰻屋も困り果てて居る事だろう。何せ材料がメチャ高なんだから、店の品物も値上げせざるを得ない。デフレスパイラルのご時勢、当然乍ら客足は遠のく。気の毒で有る。
 あたしが様なスーパー派も、鰻に手を出さない。ベラ高だからだ。多少の水銀には目を瞑って、こうなりゃあ中国産でも良いや、と思っても、中国産ですら高い。
 鰻の稚魚の不漁の所為なので、何ともならない。大体、鰻の六割は中国と台湾からの輸入品で、日本産は四割なのだが、種類は皆ニホンウナギで有る。
 従ってニホンウナギが不漁、もしくは減少して居るのだ。多分減少だろう。エルニーニョと乱獲が原因と言われて居る。悲しい。
 ニホンウナギの産卵地はマリアナ諸島だとは、最近確定した事だ。とは言っても、卵から孵化させる研究は、此れから始まるのだから急場に間に合う筈も無い。急場どころでは無く、下手すると何十年も掛かるだろう。卵から孵化させて、幼魚から成魚への技術が確立すれば、再び安く美味しいニホンウナギを賞味出来るのだ、万歳!
 で、急場の話。アフリカのマダガスカルから何とかと言うウナギを輸入した。アフリカでウナギの養殖をして居たとは、知らなかった。ヨーロッパでウナギが食べられて居たとも知らなかった。
 珍しく調べた。ウナギの産卵地は二ヵ所有って、一つがマリアナでニホンウナギ、もう一つが大西洋の、サルガッソ海、まあ、キューバの東方と言える地点で、アメリカウナギとヨーロッパウナギとフランスウナギだ。其の三種の違いは何だって?分からん!
 輸入したのは、其のうちのどれかだろう。あたしは輸入鰻で全く結構だが、余り買ってヨーロッパ人の取り分を減らすと、恨みを買うので程々に。食べ物の恨みは怖いですぞ。
 とか能天気を述べて居たら、ニホン鰻が絶滅危惧種Ⅱ類に分類された(9月十四日の新聞)。アホウドリ、アオウミガメ、オオサンショウオと同列になったのだ。
 もう、鰻を食べるのは無理になるかも知れないですなあ。一寸と寂しい。

2012年9月15日土曜日

閑話番外 その六十四





 閑話八十六と八十七で、源次郎沢の顛末を書いた。其の後二つの理由に依り、再度源次郎へ入る事になったのだ。
 理由の一つは、お盆に塔へ登ったが、何とO屋が開いて居たのだ!まさかSでは有るまいし、一杯グーッとやって登り始める訳にも行かず、指を咥えて塔へ向かった。下りは三ッ峰だったので、O屋へ寄れなかったので、近々必ずO屋へ行くと決めたのだ。
 下らないって?あたしには違う。O屋に寄るのが楽しみで大倉へ行った。無理やりにでも行った。O屋の無い大倉なんざ、山の無い山梨県、酒の無い飲み屋と、殆んど同じだ。
 二つ目の理由は、枝尾根に逃げたF9を考えるに、二年前には登って居るのだから、右から登れば登れたかも知れないのに、何でガレザレの苦労をしたんだろう、よし、F9を登ろう、と柄にも無い決心をした事だ。
 で、八月末に出掛けた。O屋へ寄ると言う大目的が有るので、電車で行く。タイミングが悪かった。五日前に、歩けず転倒する深酒をして仕舞った。あそこ迄酔うのは、年に一度は無い。数年に一度の事だ。其の上、こっちは年を取る。昔の様に回復はしないのだ。
 沢に入って直ぐ分かった。バランスが偉く悪い。分かり易く言えば、ヨロヨロと沢を行く。其の上、やけに疲れて脚が重い。前回は快調だったから、あっと言う間にF9だった。
 流石に、前回無駄な必死を演じた滝は、巻き路を通って無事通過したのは、目出度い。
 目出度く無いのは、F9を登れば登れるだろうけど、其の気にならない事。だって、力は入らない、バランスは悪い。本来岩なんかに取り付くのが間違って居る。
 で、前回の支尾根から大巻きと決めたが、トラバースが出来ない。踏ん張りと手の力に、自信が持てないのだ。「前は行けたんだ、行けるから行け!」と自分を叱り乍ら行ったが、体調に依ってはこうも違うもんなんですなあ。
 其れでも当初の目的を果たそうと、小沢の詰めを三つ程超えて確りした沢に出たが、本流では無さそうだ。こうなりゃあどうでも良い、登れりゃあ良い!
 結局前回の尾根になっちまった。畜生、今度は見てろよ!あ~情無い、沢の入門編の事なんだから、変に力むと変だよ。




 凄く疲れました。O屋で一杯やれたのは嬉しかったが、こんなに疲れてちゃあお変わりも出来ない。
 クッソー、リベンジじゃ!!(O屋復活、万歳!!)

2012年9月13日木曜日

休題 その九十五




 九十四で語り尽せなかったので、続きです。
 敵に弾を送るのは、三角関数で計算出来るし、ロケットに加速度を与えるのも、簡単な事だ。勿論撃つ弾も、加速度の影響を受ける。
 そんなのは良い。高校生でも簡単にやってのける事だ。困ったのは、ニューエイジのソフトの概念が理解、或いは、感覚不能な事。其れは九十四に書きましたね。でも、あのショックは一回書いても伝わらない。絶対伝わらない。ん、伝える必要も無いか?そうだ、どうでも良いですね~♪
 幾ら好い加減なあたしが造っても、造った以上は人様にもやって貰いたいのが、欲と言おうか人情と言おうか、難しいとこで有る。
 で、幾つかのフラッシュゲームのサイトに紹介したら、一つが取り上げてくれた。目出度い。ケンさんの管理して居る「無料ゲームで遊ぼう!」で有る。有り難う、ケンさん!!
 倅のリンクも有る。ゲームの予告となって居るが、つい此の間にアップした。土曜に紹介されたら、サーバーがパンクした。で、3度サーバーを代えた。
 最高は一日に三万七千のアクセス!パンクするさ、普通のサーバーはさ。海外のサーバーにして、やっと収束したそうな。
 あたしのはそんな事あ死んでも無い。おっとりしたもんだ。
 リンクから入るのも良いが面倒だろうから、此処にアドレスを貼ろう。


 もう好い加減なの。ロケットだって拡大して見れば、変な代物だ。敵だって、唯の四角だったり丸だったり、もの造りの拘りなんざ何処にも無い。背景だって、隙間が有ったりするのだ。
 拘ったのは音楽。此れは真面目に考えた(十四曲)。でも、思いっきり使うと、ロードに時間が掛かるし重くなる。切って繋ぐしか無い。倅に言わすと、偉く神経を消耗する作業だそうだ。
 あたしのやり方は、「ま、こんなとこだな」。多分、其の好い加減な感が当ってる。
 レベル5をクリアーすれば終わり。其処でカノンが流れる。でも、カラヤンのカノンだから、普通のカノンのイメージと違うのだ。
 聞きたい方は、ゲームに挑戦して下さい!

2012年9月11日火曜日

表丹沢の名脇役 その三




 無事だったからこそ言える悪口です。此れは我々の祝福の言葉なので、是非此の微妙さをご理解下さい。
 鍋割から、箒杉沢に下った話を書こうかと思ったけれど、止めた。そんな事書いてどうしようってんだよ、一体さ。
頂上でのんびりと辺りを見回して居ると、実にのどかで有る。塔からそうは離れて居ないのだが、景色が違う。ずっと穏やかに感じられるのだが、其れは私だけ?そんなこたあ有るまいて。
 尤も其れは昔の話だ。今は人が多い。のんびりとする場所にも困るかも知れない。平日なら大丈夫かな。
 さっきは目に入らないと書いた檜岳山稜も、ちゃんと目に入って来る。何なんだよー其れ!とお怒りなのはご尤もなれど、のんびりと見て居ると、見えるべきものは見えて来るのだ。

 
 支離滅裂だって?其れが此の愚ログの特徴なんです。是非ともご理解を願います。
 前述の、S、Kと山頂に着いた時は、雪が30cmも積もって居た。空いて居る処か誰も居やしない。寒くて寒くて、とてもじゃ無いがのんびりしてなんて居られない。早々に頂上を辞して下ったが、幾ら好天でも、そんな時は仕方が無いの一言なのだ。
 鍋割は地味だけど味わい深い、と言うのは間違いだと私は思って居る。全く地味じゃ無い。見方に依るだろうが、華やかな山稜だと言っても間違いは無いと確信して居る。さも無くば、こんなに人気が有る山には成れない。
 新大日と比べればどうですか?新大日を目的に登りに行く人は、先ず居ない(だろう)。鍋割山目的に登る人は大勢居る、間違い無く大勢居る。
 ま、良い位置に有って、其の上にとても良い山だって事なんでした。

2012年9月9日日曜日

休題 その九十四




 前に触れたかどうかも忘れちまった。惚け防止にやって見たらと、倅が予備のマックを貸してくれて、ゲームを造って見た。
 ソフトの概念が全く違う。昔のソフトはステップ毎に命令を出し、其の結果を格納するアドレスを指定し、一つづつ処理して行くものだった。ま、大昔はだ。
今のソフト、フラッシュは全く違う。元々アニメの為のソフトに、アクションスクリプト(AS3)を結合したのだから、昭和のおっさんには、「理解不能」と言うより、「感覚不能」と言うべきだ。
 槍を構え、弓を引き絞り、敵に襲い掛かる合図を待つ奴等(詰まりあたし)が、頭上を飛ぶミサイルが敵を一気に吹き飛ばすのを見て、唖然とするに近いだろう。
 分からないかも、では言い方を変えよう。
 町を走って居る初期の貧弱な車のエンジンを手に入れ、自分が設計図に描いた空を飛ぶマシーン、其れにエンジンを取り付けて自由に飛び回る!昔のプログラムとは、そんな感じだった。
 今は、大型ジェット機だ。コクピットに座っても、機能が高すぎて何が何だか分からない。メーターやスイッチが多すぎて何が何だか分からない。説明されても、其の説明が分からない。
 困りましたなあ。全然分からないって事じゃないの。はい、そうなんです。
 でも、プログラムを組むと言う基本に於いては、其れ程の違いが無かったので、分からない乍らも何とかロケットゲームをでっち上げたのは、目出度い。
 お暇な方がおいででしたら、此の右下にリンクが有って、「KENZABUROUのゲーム」が其れなので、覗いて見て下さい。あたしらしく、好い加減な造りです。

2012年9月7日金曜日

表丹沢の名脇役 その二





 塔と鍋割りの間の樹相の美しさは、前述だと思う。特に新緑の柔らかさは堪らない。黄葉の頃も勿論素敵だ。ブナ林帯を楽しむ、絶好の場所で有る。アップダウンが割りと楽なのも良い。
 処でブナ林帯とは、ブナ、楢、クヌギで構成される疎林を言う。ブナの放つフィトンチッド(殺菌性の有る揮発物質でクレオソートの原料で有る。森林浴とは此の成分を浴びる行為を指す)は強力で、下草も生えない。従って、ブナ林帯はさっぱりして清々した感が有るのだ。
 おまけに、気が狂う程くどいんだけど、これらの樹木は土を確り保持し、水を貯え、沃土を再生産する、滅茶苦茶な優れものなのだ。おでえかん様、もう切らないでやって下せえ。
 其の樹林越しに、丹沢山、蛭、檜洞、石棚山への稜線が望める。勿論、檜岳(ひのきだっか)方面も見えるのだが、低い(ったって100m差なんだけどね)ので目に入らない。
 前述だろうけど、同高度の山は低く見え、自分より高い山は、一寸と高く見える。少しでも低い山は、不思議な事に目にも入らない。単なる低山なのだ。
 槍穂高のピークに立てば、常念や蝶を意識出来ない、と言えば理解可能だろうか?
 私は、人間とはそう言うもんだと思って居る。同じ水準に思えれば、其の人の方が上なのだ。え、人に上下が有るのかって?有るに決まってます(キッパリ)。
 SやDと尊仏山荘に泊まった時に、突然同期生の、MRともう一人が入って来てお互いに驚いた事が有った。高校生の頃だ。聞けば彼等は今夜は鍋割の小屋だと言う。止せば良いのにさあ、もう暗く成り掛けて居る上に、ガスっぽくなってんじゃんかさあ。今夜は此処に一緒に泊まって、明日明るくなってから、鍋割に行けば良いだろうが!
 と、皆で懸命に止めたが二人は聞かず、我々に出されたお茶をポリタンに入れて、出て行った。後日に学校で聞いたが、小屋が見つからず日も暮れて、ガスの中偉く苦労したそ
うだ。当然の報いだ、生きて居るだけ良かったと思え、ヘヘンだ!!
 (表丹沢の名脇役 その三へ続く)

2012年9月4日火曜日

閑話 その八十七




 八十六の源次郎沢の続きです。
 あんまり直登はしたく無い岩で有る。男性の言では、滝の下には幾つか慰霊碑が有ったそうだ。今はガレの下だから分からいが、きっと落ちた人が多いのだろう。
あたしの見る処、左手の尾根に取り付くの一手だ。ガレザレ斜面をトラバースして取り付いて、少し登って見た。うん、何とか行けそうだ。
 行けるだろうから此れで行こう、と言っても男性は何故か躊躇する。沢や岩は慣れて居ても、ガレザレ斜面は苦手だと見て取って、ザイルで確保を申し出た。
 躊躇して当然で有る。丹沢の、脆い岩のザレガレ泥を、散々這い登った経験は、あたしとYは、少なくともトップ集団は無理でも、第三集団に付いて行かれる範囲には、入って居るのだ、エッヘン。
 あ、威張る事では無かった。馬鹿の証明なんだから(涙)。
 ザイルで確保して、男性は尾根に立った。併し、尾根ったって小さな支尾根で、ガレザレ斜面と大差は無いのだ。
男性「私は遅いから先に行ってくれ」
私「じゃあ、気を付けて」
 で、先行した。案の定、結構悪い所が続く。あたしは時々ヤッホーを掛ける。返事が返って来るが、段々遠くなる。彼は元々歩が遅い上に、ガレザレは不慣れだろうから、益々遅れる訳だ。あたしは、お節介にも無事にあそこ(悪場)を越えただろうかと気を揉む。彼も相当のベテランなのだから、余計なお世話なのだ。
 とうとう、ヤッホーの返事が聞き取れなくなった時に、尾根直下に着いた。尾根には行き来する登山者の姿が見える。




 木陰に腰を下ろし、谷間を見下ろし乍らお握りを食べ、写真を撮り、一服点けて時間を潰す。そして最後のヤッホーを掛ける。
 微かに返事が聞こえる。良し、順調に登って居るぞ!!
私「先にー、いきますよー」
男性「(微かに)はーい」
私「気をつけて、さようならー!!」
 谷間に向けて、ヤッホーの気合で「さようなら」を叫んだのは、初めての経験だった。面白い事に、少し寂しかった。
山とは、一期一会です。

2012年9月2日日曜日

表丹沢の名脇役 その一




 表丹沢の盟主は、誰が見ても塔ノ嶽だが、芸達者な脇が居なけりゃ、芝居でも映画でも山でも、成立しない。主役しか出ない映画なんざ、一人芝居って事で、映画では殆ど無いだろう(多分)。芝居では有るのだが、私は余り好まない。見たいですか?
 一体全体何の話だって?当然の質問です。詰まり、表丹沢の主役は塔ノ嶽では有るのだが、其れを支えて居る名脇役の話をしようとして居るのだ。
 鍋割山を除いては、表丹沢は語れない。え、前にも章を立てて居ただろうって?良くもまあ覚えて居たなあ、貴方はとっても偉い!
 仰る通りに、再び鍋割山を取り上げようとして居るのだ。フン、嫌も応も無いのさ、もう取り上げちまったんだからね。
 一面カヤトの山で有った。遥か昔は、だ。鍋割山は場所が良い。塔のついでに立ち寄っても良いし、単独で登っても充分満足の行く山なのだ。其の上、四十八瀬川に沿った林道が、出来ちまったで、車でも入り易くなって訪れる人が増えて、結果として、カヤトは殆ど滅びた。
 カヤトの山鍋割山とは、古い人間の幻想の中にしか存在しない。世の中には、似た様な事が多い筈だが、皆さんは忙しいらしく、気にも止めて無い様だ。気付いた時はカヤトが全滅して居る訳で、次は人類かも、って事なので(飛躍?)、結構ヤバイと思って居るのだが、なかなか皆さんには分かって貰えない。
 特におっさん達は酷い。「どうせ死んじゃえば終わりだよ。姉さんビール!」ってな按配で話にならないのは、ご承知でしょう。(お前もだろうって? ……ビ、ビンゴ)
 えーと、ヤバくなったので話を戻そう。
 塔から西へ徐々に高度を落として行き、最後に踏み止まる位置づけが、鍋割山だ。従って新大日から鍋割迄で、塔の左右を構成する図式で有る。俗に言う、絵に成るって奴だ。
 (表丹沢の名脇役 その二へ続く)