2012年9月25日火曜日

山嫌いの製造法 その二





 此の諸君は前述の、劇団をやって居た時のメンバーなので、Y以外は山に縁が無い。とは言っても、IIは学生時代はラグビー部の部長で有り且つキャプテンで有った。それなりの体力とガッツと運動能力は有る。
 筈だった。今は学生では無い。メタボなおじさんなのだ。面白い事にIIも皮製のリュック姿だ。
 滝を登るのも一苦労、腹が邪魔をするのだろう。口なんてきかない、元々無口な男が、完璧に無口になった。唯ゼーゼー歩いて居て適当な岩が有ると、無言で座る。私も無言で待つ。暫くでIIは立ち上がり、又歩き出す。
 Yは問題無い。SBもジョギング好きのスリムなスポーツマンだ。唯一人気の毒だったのがIIなのだ。SYさんと同じく苦労して、四つん這いで尾根に出た。洒落た皮のリュックも、見る影も無い有様。
 やっとO屋に着いたのは目出度い。其処でビールをグーッとやったIIは一言「死ぬかと思った」とのたもうた。はっはっはっは、生きてビールが飲めて良かったな!!
 我乍ら酷いですなあ。決して悪気では無いのだが、結果として気の毒な事になるんで、仕方が無いとは此の事(え、違う?)。
 二昔も前になるだろうか。S夫婦、K、其れと、珍しく同期生だが山とは縁の無かったKWさん(女性)でハイキングへ出掛けた。止しゃあ良いのに、大山南東の不整備な路に連れて行ったのだ。
 当然、S夫婦とKには何でも無い路だった。併し山慣れないKWに取っては、飛んでも無く酷い路だった様だ。下りは腰を付いて、ズッて下る。確かにガラガラで滑り易い路だけど、ズル程では無い、と思うのはこっちの間違いで、本人は必死だったのだろう。確かに必死な表情だった。
 S婦人には、意外と天然な処が有る。其の死に物狂い(一寸とオーバーかな)なKWにS夫婦が登った山での面白い出来事を、笑い乍ら話して居る。片やKWは必死の形相だ。
 (山嫌いの製造法 その三へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

な、、なんか、元ラグビー部部長のIIさんも、何の罪もないKWさんも、お気の毒で お話を読んでいると、涙が出て来そうです。お二人とも、KENZABUROUさんと悪い時に出会ってしまった不運な方々でしたねー!

kenzaburou さんのコメント...

う、う、そんな酷い奴だったんですね、あたしは。
決して悪気はごぜえやせん、へい。