休題 その二百九十七

　春山のシーズンである。所が緊急宣言発令とあいなった。Ｙは極めて真面目な男で、そんな時期にでかいリュックを背負って出掛けるなんて発想はない。従って、今期の春山は欠番になった。あたし一人で出掛けようとしたが、天候が思わしく無いので諦めた。

　シルバーの仕事はあるのだが、何時もより時間は減るので割と暇だ。幸い近所に「芹谷公園」がある。名前の通り谷間の公園で、結構広い。二度程妻とコンビニでサンドイッチや缶チューハイを買い込んで散歩兼昼食に出掛けた。

　小さな流れがあり、広場があり、木立に囲まれて自然が豊富な公園である。その流れには鴨が泳いでいたりする。一年ぶりに訪れたが、長い滑り台ができていた。子供にも楽しい場所になった訳だ。その滑り台は自粛期間中使用禁止であった。

　流れにはモニュメントがあって、水をチラシつつ回転している。夏は子供達が見ずに入って遊んでいるのだ。

　新緑が芽吹いていた。冬木立だとばかり思っていたので「新緑が凄いね」と言うと、毎日の様に散歩に来る妻は「ここ二日よ、暖かいからでしょう」と言う。桜も多少は残っているのに、鮮やかな新緑が始まって居た。

　世の中の武漢肺炎騒ぎとは無縁な場所である。少ないとは言え人はいる。併し広いので気にならない。淡い緑は心を和ませてくれますなあ。

 

　ベンチで昼飯だが、さっきも書いた通りコンビニの食材だ。こけがＳ夫人ならしっかり弁当を造るのだろうが、妻は弁当造りが得意ではない。あたしもコンビニで何の文句もない。依って、これで良いのだｗ

　自然に囲まれて夫婦で弁当を食べて、一寸と飲む。手間暇かからないささやかな贅沢（？）である。自粛中なんだからこんな処で上等だろう。気の毒だが飲食店に足を運ぶ気にはなりにくいのでね。飲食店が潰れない様に補助をお願いしますよ、安倍総理。

　春山はダメなんだから、これからも妻と昼食会を楽しむとしましょう。

　真っ赤な石楠花が咲いていたので最後にアップしましょう。