2009年1月17日土曜日

蛭ヶ岳のビールのぬるい訳 その六

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 Yも先行者が休憩しているのを認め、慌てて軍手で拭っていたが、拭いきれる量では無い!Yの仲間だと思われるのが、とても恥ずかしかったです。そう思う自分が恥ずかしいです。でも、それは当然だと弁護する自分もいて、とても複雑です。此の心境が分かる貴方は最早哲学者です。
 で、其処からは私がラッセル(軽いやつだけど)を変わって蛭迄行ったが、あのYのぶら下げていた洟水は、今でも謎だ。是非見せて上げたいです。(嫌だって?当然です!)
 この夜は、暗くなってからザイルを肩にした青年を先頭に十数人の中高年パーティが小屋にやって来た。北海道から来たそうだ。ザイルは鬼ヶ岩の下りで使用したとの事。鬼ヶ岩に新雪が付くと、登れるが下りは見当がつかず、大苦労となる。青年は荷物を下ろすと、大鍋を持って暗い表へ飛び出して行った。雪を取って水を造るのである。外の中高年メンバーはバテバテで、Rさんがお茶を配って走り回っている。
 いやー、見事な青年でした。あのパーティを無事に連れて来、せっせと世話をしているのだ。こういう人を見ると、私は手放しで感心し心から尊敬してしまうのだ。
 いびきと洟水は別にして、山好きにはこたえられない小屋だった。でも今は無い。YもRさんのいない小屋には行きたがらない。では、頂上を辞するとしよう。
 ブナの林をひたすら下ると原小屋平。左右どちらにも水場が有る。そこから一登りで姫次です。
 ある目茶苦茶熱い(変換ミスではなく熱かったのです)日、私は東野から姫次へ登って来た。樹林の中で蒸されて蒸されて、完全に参った。でも此処迄来ればあと二時間足らずで蛭だ。現に蛭がすぐそこ(?)に見える。ベンチには二人の青年が寝転がっていた。私も荷物を下ろし、ベンチに座る。即座にベンチが私の汗でびっしょり濡れる。
私「君達、蛭かい」
青年「そのつもりだったんですけど、引き返します」
私「え、すぐそこだよ、一緒に行こうよ、見えてるじゃない。ゆっくり行けば着くさ」
青年「足がつっちゃって、歩けないっす」
 もう一人の青年が無言で頷く。
私「……そうか、つったか。暑いからねえ」
青年「……限界です」
 気の毒な青年達。本当に暑かったから。そんな日は滅多に無いので、安心して下さい。普通は此処(姫次)迄登れば、とても涼しいのです。
 後は前に書いた通り、八町坂を黍殻に向かって下り、最後のピークは焼山となる。展望をゆっくりとお楽しみ下さい、焼山からは一気に里へ下るだけなのだから。
 この章の終わりに、

 主脈を決して急いではならない

 一日で走り抜ける人もいるけど、中高年には(否、全ての人にとって)とてつも無く勿体無い事です。

 

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