2009年2月27日金曜日

閑話 その十四

FH000129

 

 イラストに描けないので無関係な写真で、失礼します。
 天幕を張るに最適な場所は何と言っても締まった雪の上、次に平らな土の上、次に平らな砂礫の上、そんなとこかなあ。
 選りによって植物の上に張った話。
 Nと正月の鹿島槍に出掛け、赤岩尾根を登って高千穂平、此処で幕営なのだが広くも無い平地は既に他パーティの天幕で埋め尽くされ、我々の張る場所が無い。滅茶苦茶なNは「此処が良いや」と雪を被った這松の斜面を指差し、其の上に張ってしまった。
 確かに張れたが、一寸とでも動くとユサユサ揺れる。這松の上なので極当然の話。何でも抑えておかないと引っくり返るので、気の休まる間も無いが、Nには当然の事なのだ。
「大塚、冬の岩場でザイルで確保して、半シェラフで寝ると思えば上等だぜ」
  と平然としている。そうなんだが、揺れながらコンロとコヘルを抑えているのも面倒極まる。
 尤も此の山行でNに色々教わった。
「大塚、小便ならオーバーミトンを履け」
 成る程、靴を履く面倒が無く揺れる天幕内では最高のアイデアだ。翌々日は下山だが夜中降雪、40cm程の新雪だった。
「まだまだ、ゆっくりしていよう」
 パーティが降りて行く、二つ、三つ。
「そろそろ行くか」
 トレースが出来るのを待っていたのだ。手だれは違うなあと感心してしまった。
 本文の三度も挑戦した変な沢を詰めた時、加入道に幕営する積もりだったのが、Yの脚がつって行動不能となり、幕営可能な場所を探し廻ったが無い。結局平たい所は熊笹の上だけで、其処に強引に張って、Mは「こんなとこに張るのけえ」と驚いたが背に腹は代えられず笹の上。
 勿論ユサユサ揺れる暮らしは前述の通りで、不便此の上無しだが仕方無い。其の上其の不自然な天幕内だからこそしょっちゅうYの脚がつって、痛て!とやるたびユサユサ、結構苦労で有った。
 次もY絡み。一昔前の春、越後側から丹後山に入り、大水上山から尾瀬へ抜けた。二泊目はにせ藤原山だったが、ピークは(狭いのだ)雪が消え笹、雪面は斜面で有った。
私「この斜面を蹴って平にして張ろう」
Y「あの笹の上が良いよ」
 斜面が嫌だっと後でYから聞いた。そして又もや笹の上の天幕で、又もや不自由極まり無い生活だったが、Nの言うが如く岩にぶら下がって暮すと思えば、まあ天国ですな。
 他には後に本文に出て来る、Zと行った中央アルプス南部の此れ又笹の上の幕営。此の山行は椿沢やにせ藤原山とはランク違いの苦労で、それは本文のお楽しみって事で、今回はお仕舞いです。

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