2009年2月25日水曜日

冬山のツェルトで三人暮らし その一

 

 三国山付近の話。急に西の外れになった。FH000021
 言う迄もなく、相模、甲斐、駿河の三国々境の頂。何で古い国名を書くのかって?人間が古いからです。
 頂直下を道が走っている。御殿場から山中湖へ抜ける裏ルートだから、結構皆さん通っている。だから、道の上の小ピークと思われているかも知れないが、偉い誤解だ。
 山中湖から丹沢西端の山々を眺めれば丘、本当に唯の丘にしか思えない。その丘に登ると、相模側(神奈川県側)は、深く落ち込んでいる。武田信玄が北条を攻めるには、駆け降りれば良かった訳だ。逆が無かったのは、良く分かる。
 攻めて駆け上がるのは、空身でも嫌だ。増して、具足をつけて、槍を担いで、食料を背負ってなんて、考えるだけで、キツイ!私なんざ、銃殺覚悟で敵前逃亡です。
 三国山から西に延びる尾根は、籠坂峠で富士山につながっている。丹沢は富士山と尾根続きなの、ご存知でしたか?その尾根を大昔歩いたが、済みません、気持ちの良い林の中としか、記憶がありません。峠を見下ろせる所で引き返したのだが、車の行き交う国道に降り立っても、仕方ないと思ったのだろう。何せ、大昔の事で……。
 三国山から北に向かえば鉄砲木ノ頭。三国山が樹林の山に対して、草山で展望抜群である。唯、足元の山中湖との標高差が300mしかないので、山にいる気が、一寸としない。振り向けば深い谷だが、暗くて印象に残らないだろう。勿論丹沢の山々も見えるのだが(此処も丹沢なんだから当然である)、普通は、圧倒的な富士山の姿に目を奪われて目も呉れない。(私は別ですよ、丹沢方面を喜んで見てます)
 昔、仲間五人で、二月に富士を見る会を催し、鉄砲木ノ頭の頂に立った。快晴だったので、富士はバッチリだったのだが、風がもろに当たるので、とても寒い。でも、用意に怠りはない。皆でツェルトを被り、バーナーを出してコーヒーを沸かす。暖かい!…… 顔の周りだけは。皆口々に騒ぐ。
「足が、痛い、千切れる!」
 おい、我慢が足らんのだ。冬、山で風に吹かれれば寒いものなの!足が痛いくらい当たり前だろう、何だってんだ!(頷いた人は、私と話が合うと思います)
 この時は、そうだろう、痛いんだよね、と答えて笑ってしまった。そう、思い出すとNも同じだった。

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