2009年2月12日木曜日

ヒマラヤよりも丹沢! その一

FH000093

 

 

 大山の章で有る。昔から丹沢の玄関といわれている。落語ネタにもなっている程歴史が有り、馴染みの有る山だ。ケーブルカー迄有り、旅番組にも登場です。わ、大山が出る、とわくわくして見ると、大抵がっかりしてスイッチを切る。NHKが真面目に撮ってくれるのを待つしかない。
 私が初めて丹沢に登ったのは、中一の時の大山。皆さん雨降神社の周りにたむろって居て、裏に回らないが、裏からは丹沢の山々と富士が見えるのですぞ。表尾根の向こうに富士山。中々いける図なのだ。中一の少年(私)は三ノ塔が目の前で、簡単に行けそうだな、なぞと分からん事を考えていた。本当に、簡単に行けそうに見えますよ。
 二年前の夏、Yと石尊沢を詰めた。例の通りマイナーな沢ですなあ。唐沢峠を越えて川原へ降りる。古い本によると、そこいらは綺麗な滑(なめ)が続くとなっているが、え、嘘、もろゴーロの川原じゃんかさー。(失礼、しょっちゅう使うが、おじさんに似合わぬ下品な言葉遣い)幕営だったので、ゴツゴツの川原を離れて枯れ草がふかふかの所で張ると決め、枯れ草を蹴飛ばして平らにしていると、Yが叫んだ。
Y「あ、駄目だ、蛭がいる!下の川原に移ろう」
私「え、良いよ、蛭ぐらい」
Y「凄く沢山、あ、ザックにも!」
 ザックに茶色い奴が幾つも付いている。
Y「大塚さんにも!」
私「げー!」
 地下足袋にも、ズボンにも、めくると軍足にもうごめいている。手の速い奴は何処にでもいるもので、既に食われた痕から、血まで流れているんだ。わー!
 剥ぎ落とし、二人で互いにチェック、背中や脇等。付いていました、あちこちに。煙草の火を押し付けて落とす。
私「あ、あちっ」
Y「仕方ないの!我慢して」
 他人の辛さは、平気で我慢できるYなのだ。
私「移ろう」
Y「だから、移ろうって言ったんだ」
 即撤退、ゴーロの川原に天幕を張った。石がもろ食い込んで、痛くて辛い夜だったが、蛭に襲われないだけ増しだ。
 音も立てず、気配もなく、全く気づかぬうちに、血を吸う吸血鬼。不気味だ。好きになれない。丹沢で嫌いなのは、蛭と、夏の暑さと、植林と、どうしようもないザレと、山ダニと、……切りがないから止めます。
 大山川を詰めた時は爽快だった。蛭がいなかったからかな。 (ヒマラヤよりも丹沢! その二へ続く)

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