2009年2月18日水曜日

休題 その三

店 006

 無職寸前の契約社員とプロフィールに有る通りの境遇だが、仕事仲間が面白い。
 チラシで求人を見、説明会に行ったが、算数や国語、一般常識の試験をして面接かと思いきや、仕事の説明をし、即写真を撮り証明書を造り、勤務先を発表して解散で、集まった五十人からの人間は唖然、全員採用なのだ。
 あたしの配属先は三人、これが全員(飲んだ時に分かった)射手座でB型、確率的には1728分の1(間違いかもしれないけど、酔ってんで失礼)、顔を見合わせ大笑い。一日違いで又一人配属されて来たが、彼も射手座(B型では無かった)、四人共とは珍しい事夥しい。
 紆余曲折を経て、四人の内二人が残り、雇用形態の異なる二人が加わったが、射手座とは無関係で、確率的には少しまともになった。
 処が、あたしを除く三人は出版経験者、一人は宗教哲学、もう一人は構造力学、此の二人の本は現役で販売されていて、残りの一人はタレント本のゴーストライター。気の毒な成り下がり者が期せずして一同に会した訳。
 分野は異なるが、物知りだらけで、何の話が出ても誰かが詳しく、感心するばかりだ。
 面白いのは、宗教哲学の彼を除いた二人がやけに血の気が多い事で、あたしゃあそういう人間と不思議と馬が合い、話を聞いては喜んでいる。
IT「バスで前の女の子の音楽がシャカシャカ煩いのよ。煩いよと言ったら、其の女がチッと舌打ちしやがって、ボリューム を上げやがんだ」
私「へー、人を見る目が無い奴だなあ」
IT「俺は怒鳴った、馬鹿野郎、小さくしろって言ってんだ!誰もてめえの音楽なんざ聞きたかねえんだ!」
 で、バス中シーンとした、当然だ。
SH「シルバーシートに女高生二人と若いサラリーマン二人が座ってんだ、俺は其の前で吊り革にぶら下がってた。女高生二
 人が降りて 行くから、おいお前等、具合悪いんだろう、それにしては元気そうだな!」
私「ほう、言ったね」
SH「サラリーマンにも、お前等もだよ!と言っといた」
私「偉いなあ!」
 IT、SH二人共喧嘩がやけに強く(見た事は無いけど)、しかも好きな様だ。自分に無いものを求めるのが人の常、馬が合う筈だ。
IT「通勤電車で喧嘩してんのよ、踏んだとか踏まれ たとか言ってさ」
私「よく有る話だな」
IT「止めようよ、混んでんだし皆の迷惑だよ、と言ったら、一人が降りろって言うから次の駅で降りたよ。そしたらそいつ
 が、やる気か、俺は空手五段だぞ、って言うんだ」
私「降りろってそいつが言ったんだろう」
IT「そう。物も言わずそいつの顔面に一発かましてぶっ倒し、其の侭電車に飛び乗ってドアが閉まって、バイバイ」
私「はっはっはっは」
 済みません、下らないですよね。でもITやSHの行動は大好きです。今、世の中が失ってしまった大切な何かが見事に残っていて、極めて貴重な精神だと思えます。

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匿名 さんのコメント...
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