2009年12月19日土曜日

閑話 その三十八

DH000016

 

 

 前章の、“迷ったなんて認めたくない”で、秋の宝剣岳の紅葉(?)の話をしたが、写真を撮ってなかったのが如何にもあたしらしく、別の時の夏山の写真をオズオズと出す阿保さ加減は、いよー立派、と褒めたい程で有る。(自嘲)
 此の時は極楽平にザックを置き、宝剣をピストンして木曾殿越で幕営のつもりだった。
 朝一番の梓で出発したのだから、昼過ぎから行動を起こした訳で、既にセオリーに反して居るが、三昔近く前の事だから、若さに免じて大目に見よう。え、自分に甘いって?そうなんですよねえ。
 で、時間に限りが有るから飛ばした(飛ばせた、勿論今は駄目)。
 書きたくなかったけど(じゃあ書くな!)、書きましょう。本来山小屋を悪く言いたく無いのはあたしの本心なのだが、木曾殿越の小屋の親父の対応は、あの日だけだったのかも知れないが、良くなく感じた。
私「(ザックを降ろし)ゼーゼー、今日は」
親父「いらっしゃい、お疲れ様でしたね」
私「ゼーゼー、幕営なんですが」
親父「(急に冷たい声)幕営?ああ、あっちへ下って張りな」
私「(カチン!)……」
 で、ザックを背負って去った。幕営料三百円(当時)なんざ客じゃ無いってえのは理解可能だが、幸せな事に其れ迄そんな親父に会った事が無かった。
 山小屋も商売だ、ボランテアでは無い。でも登山者には同じ山の仲間だとの気持ちは常に感じられたし、感じさせられた。
 其れが感じられなかったので、カチン!となり、「上等だ、頼まれてもお前の所にテントなんざあ張ってやるかい、空木迄行ってやらあ」と思った訳で、若さ故です。
 短気は損気、其れから取り付いた夕昏迫る空木岳の登りは利いた。急峻なの。一歩一歩の高さが大きい。こりゃあ親父の尊大な態度も分かる、誰でも此の登りは敬遠するぞ、と思い知ったが勿論戻る気はないく、ゼーゼー登り切って、避難小屋へ下る時はフラフラ。
 本当は違反なんだが、避難小屋の横にテントを張った時は、暫く呆然と座り込んで居た。いやあ、本当に疲れたですよ。
 避難小屋に泊まる方が法に適って居る上楽なのだが、二パーティ居たし、テントを担いで来て使用しないのも業腹だったので。今ならそんな拘りは無い、さっぱり無い、薬にしたくとも無い!
 第一、 腹を立てて空木岳に取り付かない、いや、取り付けない。ルンルン歌って木曾殿越でテントを張る。親父がどうで有ろうと、絶対張る。そして、ビールを買って飲む。其れが大人だ。
 小屋の悪口になっちゃった(恥)。たった其の日だけで判断は出来ない。良い人なのかも知れない。多分そうだと思う。さもなきゃ小屋番はしないだろう。御免なさい(ぺこり)。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

宝剣岳の千畳敷カールからの写真ですか?
すごいですね。宝剣岳から空木岳まで 半日で縦走して、登ってしまえるのですか?どちらも 大きな深い山なのに、すごい!!!
中央アルプスの山は 眺めるだけで行ったことがありません。木曽駒が岳も、立派な山ですよね。いつか行ってみたいと、いつも思っていました。

kenzaburou さんのコメント...

はい、ありふれた写真で済みません。

何せ若かったもんで(汗)。

そうですか、中央は行かれた事がないのですか。それは残念でしょう。3千峰はないけれど、とても良い山稜ですよ。