2009年10月20日火曜日

好事家は行く その四

FH000033

 

私「Y、変なんだよ、尾根の横を来たんだけど、全く降り口が見つからないんだ」
Y「あの雪の模様に覚えがあるんだけど」
私「何だって」
 ガスを通して確かに変に丸い模様が見える。
Y「あの左を登って来たと思うんだ。面白い模様だなと思ったから」
私「おいY、ザックを背負え、行くぞ」
 当たりでした、尾根に出た、万歳!早く言ってくれYよ、私は散々苦労したんだよ!!威張っちゃいけねえぜ、誰に救われたんだ?はーい、残念ながらYでーす!本当に時の氏神でした。
 こうなったらY話だ。私の好む無名の沢に一番付き合っているのはYで(私が単独で行く事が多いけど)、とても偉いと言おうか懲りないと言おうか、他人から見れば物好き。え、何だ、類友じゃんかさあ。
 そんなもんなんです、人生ってさ。だから、Yよ、私を恨まず、必死に沢や薮を歩こうね。え、恨んでないって?失礼しました!
 今年(平成二十一年)の春山の苦労は、閑話で話した。種類は異なれども似た様な苦労は毎年させている。
 だって、年に一度位必死な苦労をしなけりゃあ、Yは完璧メタボ男になって、ポックリ死んでくれりゃあ未だ許せるけど、変にヨイヨイになって、其の癖Yの事だから大食いで丈夫で、ヨイヨイは全く直る見込み無しの大ごくつぶし、家族の迷惑此の上なしだが毒を盛る訳にもいかず、親類縁者皆顔を見合わせては溜息をつき、口には出さねど何故あいつはあんなに丈夫なんだ、神や仏があるものならば、どうか速やかにあいつを連れて行って下さい、と、目で語り合うのだが、一向に死んでくれず、おまけに惚けが来て、病院からも追い出され、老健や介護型病院を点々とする家族の苦労は、とてもじゃないが涙なしでは聞けないのだ。
 え、全部お前の想像だろう、余りに酷い書き方だ、自分の登山パートナーだろうって?まあ確かにそうなんだけど、そうなるんじゃないかなって推測しちゃって、それに何と書いてもYは此れを読んでないし、そりゃあ、読んでなければ何を書いても良いって訳ではないとは心得ているんだけど……。
 おい、幹事、滅法やばい事になっちまった、急いで纏めだ、纏めだ!
 はいはい、酒は程々にね。適度な酒は百薬の長、あんた(詰まり私)の場合は気違い水、反省しましょうね。はい、反省します!
 確かに名前の通った沢は、それなりに爽快で、綺麗で、皆が喜ぶのは当然だと思う。私の好む無名の沢は、詰まらない所で思わぬ苦労をさせられるし、藪かガレかザレはつき物だ。その上沢相は貧弱な場合が多く、誰も行かないのは、極めて道理である。
 でも私はとことん物好きなので、こんな章を立ててしまった。自分が好事家である自覚は勿論充分に有って、その上悔い改めようなぞとは、これっぽっちも思っていないからなのです。
 冷静に見れば、良い年なのに相当の困ったちゃんでは有ります。

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