2009年10月14日水曜日

閑話 その三十四

店 042

 

 閑話番外その八で、冬の塩見岳をやるなぞとうっかり口走った(筆走る?否、キィ走るかな)が、日数が掛かるので(そしてキツイので)、多分無理だろうから、忘れて下さい。勝手だって?許してチョンマゲ。
 で、一寸と触れた昔々半前の事。
 当時は、正月には塩川小屋へ一時間程の場所迄臨時バスが入った。夜行で伊那大島に着き、凍て付く中でバスを何時間も待つ。冷え切った頃、やっと車中の人となるのだが、満員で有った。
 塩川小屋を通り、川原を歩いて登りに掛かる頃から霙となったが(又もや雪では無い!)頭にタオルを巻いて登り続ける。
 此の日は三伏峠で幕営だった。他にテントは十張近くで一寸としたテント村だ。濡れたタオルはブリキの様に凍って、下山する迄ブリキ板の侭だった。顔も拭けない、痛くて。
翌日は晴れ、積雪期は十時間余(無雪期は八時間弱)のピストンなので、暗いうちから出発する。塩見岳に向かうパーティは意外と少ない。皆さんどうして居るんだろう?テントの人も、小屋泊まりの人も。
 因みに三伏峠は日本で一番高い峠で、2560m、3000m一寸との塩見岳とは標高差が僅かだとお思いでしょうが、それが違うの。間に幾つもピークが有って、登降を繰り返すので時間を食う。
 塩見岳は割りに合わない山なのだ。何故ってえと、頂上直下迄樹林帯で、森林限界を越えるのは標高3000m寸前と言う按配なので、北アルプスの山なら2500m以前に森林限界、何だか高く登ったなあと思えない造りなのだが、あたしがブツブツ言ってどうなるもんでも無いので、諦めましょう。
 塩見小屋を越えると樹林帯とお別れ、突然吹き飛ばされそうな強風に曝される。うーん、ずーっと此れだったら結構苦労だ、樹林帯への文句は素直に撤回します。
 南アルプスの冬は北アルプスより寒いと言われる。北風は北アルプスで雪を落とし、雪生成の為エネルギーを失った(詰まり、より冷たくなった)北風が南アルプスや八ヶ岳に吹き付ける訳だ。
 余りの風の強さと冷たさに、頂上はとっとと辞し、懐かしい樹林帯に飛び込んで、ほっと息を吐くと言うお粗末、如何にもあたしらしいだらし無さです。
 其の僅かの間に見た景色の雄大さを写真でお見せしたいが、ネガが無い。北には遥かに白峰三山、仙丈岳、甲斐駒、南には、荒川岳、赤石岳、聖岳と延々と三千峰が続くのだ。
 テントに戻った時、入山して来た単独行者がせっせと雪を掘って居る。雪洞で有る。やるもんだなあ、比べりゃテントは天国だと思いつつ凍ったテントに入ると、凍って板になった侭のタオルが迎えてくれるのでした。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

三伏峠って、峠なのに、2560Mもあるのですか。塩見岳は、頂上直下まで樹林帯、、、それだけ山が大きくて 山が深いということなのですね。南の山々は 本当に本格的ですね。北アルプスの山々から吹き降ろしてきた冷気が、南の山々を もっと冷たくするって、地図を見ると納得します。雪山 いいですね!

kenzaburou さんのコメント...

そうなんです。
南アは山が雄大で奥深く、取り付くまでが一苦労です。延々と3000m峰が連なるのは感動的です。

雪山も途轍もなく素敵です。ネガを失ったので、お見せできないのが残念です。