2009年6月28日日曜日

柄でも無い事 その三

店 029

 

 お茶と言えば、初めて美味しいものだと思ったのは大阪の万博(四昔弱の大昔です)、日本館で抹茶の接待が有った。空いて居たので行って見たのだが、あたしゃあ混んだ処は大嫌いで行列に並ぶ位なら帰っちまう男なので、当然な選択で有った。
 和服の乙女達が甲斐甲斐しく立ち働いて居る。勿論あたしが様な若造(当時)にもお茶を出してくれる。茶碗は何だったろう、当時は焼き物なんざ分からんので覚えて居ないが、多分志野だったのでは、と朧に思える。
 で、其のお茶がドラー美味えでかんわ!お前でも分かったのか?分からんでかい!!
 日本館の名誉に掛けて安いお茶を出す筈が無い。外国人接待を想定して準備したに決まって居る。あたし見たいな日本人の若造は想定外だっただろうが、其れで一人の若者が日本文化(と言うよりお茶の味)に目覚めた訳だから、立派に合目的で有る。
 特上の玉露に出会ったのは何時だったろう。思い出せない(断るのも面倒になっちまったが、酔ってるんで)。岡山では何度も出会った。仕事先や焼き物屋で、汲み出しにとろーりと玉露を注いで貰い、あー、お茶とはこういうもんなんだ、とつくづく思い知った訳で、不幸な事に其の抹茶や玉露の水準に達しないものは全て同一、下の下の屑茶も割りと上等なお茶も皆同じ、こんなのお茶じゃ無い!となって仕舞って、味噌も糞も一緒、悲しいですなあ。
 身の丈に合わないと言うのは大変な不幸なので、100g万を越えるお茶でないとお茶と思えないあたしゃあ、買えないんだからお茶は飲めない事になる。
 妻は100g千円のお茶でも「矢張り値が張るだけ有って、美味しいー!ね、美味しいでしょう、ね、ね!」と幸せ其のもので有る。だからあたしゃあ不幸、下手にお茶の味なんざ知らない方がどんなに良いか。
 他のものには一切煩い事は言わないのだが、どうしてもお茶だけは譲れない。
 尤も、お茶に煩いのは最高の贅沢者らしいので、あたしも贅沢者?うん、多分そうなのだ。え、意外だって?無理も有りません、少なくとも貴方が私を知って居るならばです。自分でも信じ難いのだが、あたしは本来贅沢者らしいけれど、身の丈に合わせて暮らす術(すべ)を知って居ると言う事なんだろう。
 コーヒーや紅茶には拘りが無いが、美味しいかどうかは分かる心算で、其れがどうしたのと思うだけだから、良かった。此れがコーヒーや紅茶迄最高級で無きゃあさ、と思ったら一生コーヒーも紅茶も飲めない(飲んでもあたしにとって本物じゃ無いので)事になっちまう。
 と、思いも依らない隠れた贅沢者の独白でした。へっへっへ、一寸と恥ずかしい。

2 件のコメント:

ショートホープ さんのコメント...

ほんとふの休題、もしくは及第ではある。なんちゃって。愛読者としてみれば楽しくもあり愉しくもあり、さもありなん。なのでありんす。

いつもいつも乞うご期待、なのであります。

ダイブ飲みました。失礼をば!!!!

kenzaburou さんのコメント...

ウ~ン、大分飲んでるショートさんでは当然だけど何言ってるか分からんのがチト困るのだけど、これは相身互いですなあ。