2009年6月4日木曜日

山のお汁粉パーティ その一

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 昔は丹沢の東麓に鳶尾山という山が有った。今は鳶尾団地になってしまい、山だった面影もない。
 三昔以上も昔、我々零細山岳会で忘年山行に出かけた。お汁粉を作るので、背負い子に大鍋を括りつけ、水も運び上げて、お汁粉をたっぷり作ったのだ。標高は低いとはいえ、相模平野の端に位置するだけあって展望はとても良い。左の大山から始まって、大山三ツ峰から仏果山へ山が連なり、その後ろには丹沢三ツ峰や主脈の山々が望める。で、眼前は相模平野が足元から広がるのである。豪華絢爛な低山であった。
 古い案内書を見ても、鳶尾山の案内が無い。多分何かで読んで選んだのだろう。それとも地図で探し出したのだろうか。皆でたっぷりとお汁粉を食べて、キャッキャと騒いだが、我々が借り切りの山頂なので誰もいない、騒ぎ放題である。楽しいですよ、お汁粉パーティは。
 安心して下さい、これは勿論一次会です。またバスに乗り、馬渡で降りて塩川鉱泉で二次会を行った。今の地図には塩川鉱泉の記載はない。鄙びたという形容がぴったりの宿で、裏に有る塩川滝も見応えの有る立派な滝であった。
 風呂に入ってから乾杯となった訳だが、日もとっぷりと暮れて、松田で飲んでさえ旅情を味わえるのだから、山の中の鉱泉宿と来れば、遥けくも遠くで飲むものよ、と不可思議な思いである。
 もっともそれは、今の私の思いであって、当時の若者達は、唯飲んで喜んでいた事だろうと思う。帰るので、バス亭へ真っ暗な細い路を歩いて行った場面が、変に印象に強く残って、忘れられないのだ。
 S、K、N、I、T、W、H 、Eの皆さーん覚えてますか、あの塩川鉱泉の素晴らしい忘年会の夜を!(チッ、誰も読んでないか)
 松田山は小田急から良く見えるので、皆さんご存知と思われる。南面は一面相州ミカンの畑だ。地理的には高松山の続きである。文字通り松田の裏山だが、意外と斜面はきつい。ミカンを育てる人達は苦労だろう。
 松田と言えば、一寸と驚いた事が有る。寄(やどろぎ)へ向かうバスで、後ろの女性達の会話である。たまたま寄出身者が、法事か何か(分かりませんけど)で乗り合わせたようだ。
A「松田は良いわ、暖かいし、水もぬるいし」
B「そう、それに便利なのよねー」
A「本当よ、松田に住んだら、もう離れられないわ」
 驚いた。寄は余程寒くて、水が冷たくて、不便な所なのだ。勿論山の中の里なんだからそれは至極当然なのだが、松田だってとても寒くて水が冷たくて不便な所なんだぞ、と思ってしまったのだ。松田町の方々、御免なさい。(ぺこり) (山のお汁粉パーティ その二へ続く)

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