2009年6月27日土曜日

私が自炊に拘るのは その二

FH000023

 

 おじさんにはきっと、あいつ一寸とおかしいんじゃないかと思われただろう。フッフッフッフ、でもその馬鹿な経験が身を助ける事になるのだから、世の中とは分からないものだ。
 それから数年経っただろう。天神平から谷川岳へ向かった。四月で、小雨、やったね、大好きな状況だよ!なーんも見えない。寒くて風に吹かれて、雪を蹴って登るだけ。そんな日は、登らなけりゃ良いのにさー。と幾ら言っても分からない奴には分からないので、(え、私の事?そうだ!)気象遭難が絶える事が無いのだ。
 で、一応頂上付近には着いたらしいが、肩の小屋が見えない。この天候では、肩の小屋の冬季小屋で泊まれれば、天国なのだ。だから必死に探しまわって雪と笹の斜面を歩き回ったが、全くのホアイトアイト、全然見つからずうろつくのみ。良くない状況ですなあ。そのうちに胴震いが来た。体の発する緊急アラームだ。
「ブー、ブー、緊急事態発生、緊急事態発生、爆破迄五分です、ブー、ブー」
 そう、ご存知のあれです。ボヤボヤしている猶予は無いとの警報で有る。すっぱりと小屋は諦めて天幕を取り出し、風に煽られてバタバタするのを、頭から被った。傾斜と強風の為張る事は、はなから放棄していた。ね、経験は役立つものでしょう。(え、そんな経験したくもないって?)
 この夜は辛く不安だった。風に煽られ続けたから?それも有るが違うのだ。翌日が心配だったのだろう。天候がこの侭だと、登って来た尾根も探せないのではないだろうか?足元もろくに見えないのだから。おまけに雨と風で自分の足跡も消え去るだろうし、下手すると沢を下る事になるのか、嫌だなあ、滝も有る様だし、結構ヤバイ事になっちまったなあ……。
 朝が来た。しめた、ガスがやや薄らいでいる。わ、何と、200m先に小屋が有る!あー、悔しいやら嬉しいやら。
 見えない時は見えないものだ。嬉しかったと書いたのは、戻る尾根の確認が出来た事だ。で、御陰様で無事に下山できました。
 教訓、悪天候の雪山なんかに登るもんじゃない。これは絶対のセオリーだ。それ以来成るべくしない様に心掛けています。(え、矛盾が有る、絶対のセオリーだろうって?仕方無い場面も有るので、ご容赦下さい)
 痛い処を突かれたので、話は夏山へ飛ぶ。
 Sと新穂高から入山し、双六で泊まり、三俣蓮華を経て野口五郎に泊まり、下山というコースを(相変わらず変なルートだ)取った事がある。二昔前のお盆であった。
 双六小屋は超満員であった。折り良く此の日天候が急激に悪化した為、幕営の諸君も撤収して小屋に逃げ込んで来たので、座る場所も無く、皆立っている、唯立っている。一寸と異様な光景で有る。 (私が自炊に拘るのは その三へ続く)

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