2009年6月24日水曜日

休題 その十八

店 028

 

 こう書き殴って文章を垂れ流して居ると、纏ったストーリーを書きたくなるもので、かと言ってシナリオや脚本では慣れない人には読みづらいし、小説形式はあたしが不慣れだけど短編で一つ。 
 小説じゃ無く、絵本見たいなもんかな。

 夫燕と妻燕が出会ったのは、南の島でした。二羽は一目でお互いを気に入り、羽を寄せ合うように海を越え、遠い遠い日本の或る街へ飛んで来ました。
 夫燕と妻燕は、慣れない巣造りに一生懸命です。若い二羽には初めての事だったのです。そして五羽の雛が孵りました。
 夫燕と妻燕は毎日せっせと雛達に餌を運び、日が暮れる迄休む間も無いのです。夜になって、やっと二羽は翼を並べて眠るのです。
 其のうち一羽の雛が巣から落ちて死んでしまいました。でも、哀しい事に燕は数が数えられません。夫燕と妻燕は一羽の雛が死んだ事も知らずに、餌を運び続けました。
 秋が近づくと残った雛達もやっと成長して、空を飛べるようになったのです。夫燕と妻燕は顔を見合わせて喜びました。時期が来て、燕家族は他の燕達と南の島に帰りました。
 翌年、夫燕と妻燕は同じ街で巣を造り、又五羽の雛が孵りました。去年と同じく二羽は必死に餌を雛に運びます。自分達は何時餌を食べたか、覚えて無い程の働きなのです。此れは他の燕も同じで、子供を育てるのは命懸けの仕事なのです。
 雛が孵って十五日目の事です、虫を追って急旋回した夫燕はトラックにぶつかり、死んでしまったのです。
 妻燕は全く知りません。一生懸命餌を運んで、夜になっても夫燕が帰って来ないので、どうしたんだろう?と思いながら疲れて寝てしまうのです。毎日そうでした。でも、雛達がやけにお腹が空いているらしいので、翼が折れる程頑張って餌を取るのです。去年は夫燕と擦れ違ったけど、最近は全然擦れ違いません。不審に思うのは一瞬の事で、直ぐ忘れて虫を捕るのです。
 或る夜、妻燕がふと気付くと、隣に夫燕が寝て居ます。妻燕は嬉しくて、ほっとした幸せな気持ちで眠りました。
 朝になると夫燕は居ません。妻燕は、もう夫燕は餌を獲りに出掛けたのだと思いました。でも此の日も一度も夫燕と擦れ違いません。夜になっても、夫燕は居ません。妻燕は夢を見たのです。
 時期が来て、雛達は大空を飛び交います。日本を去る日、何処を見ても夫燕は居ません。妻燕はもう夫燕とは会えないのだと、やっと分かって、涙をこぼして南の空に飛び立ちました。
 後から五羽の子供が付いて行きます。遥か遠くの島に向かって飛んで行くのです。

 え、絵本にもなんないって?良いんだって、勝手なガス抜きなんだからさ。お粗末、失礼!

2 件のコメント:

ショートホープ さんのコメント...

世田谷の北の外れのとある中華屋さんに入った。何のことはない。中華の暖簾とボロそうな店構えに惹かれただけのこと。

暑い日だったので冷やし中華を頼んだ。それにしても汚く雑然として狭い店だ。

遠慮なくタバコを吸った。灰皿は?あ、あった。店主夫婦の御用済み缶詰の空き缶。水は?もちろんセルフ。テレビが大音量のかけ流し。クーラーがんがんで南極状態。

あれ?おかみさん?手がぶるぶる。首がカクカク。目がとろん。脳梗塞経験者だね。

「おまえは何もせんでいいよ」と男気を見せた旦那さん。「はい、お待ち」で出された品物。いやあ。これがまた感動的に不味いの何のって。こんなもんにカネなんか出せるかよ。と思いつつ貧乏な私めは完食。支払済ませて「ごちそうさま~」と爽やか爽やか。あ~俺って何ていい奴なんだろ、というわけで閑話閑話。

kenzaburou さんのコメント...

うん、間違いなくいい奴、金はなくともですよ。

でも、冷やし中華って奴は、どんなランクの店でも、家で造る物と同水準というのが不思議な物なのだけど、其の店は貴重な存在なのでは?今度は冷やし以外の物でお試しあれ。