2008年12月30日火曜日

山の報告です その一

イラスト18

 狐に摘ままれると言うが、実際に摘ままれた経験は誰も無い筈だ。大体からして狐の指は物を摘まむ造りには成っていない。
 今回の無駄話は、比喩としての“狐に摘ままれた”話なのだ。
 平成二十年秋口、権現山から畦ヶ丸へ行こうとした。権現山は二つ有って、中川権現山(もう一つは世附権現山)へ箒杉あたりから登り、畦ヶ丸へ尾根を辿ろうとした。ところが同行のYが寝坊してバスを一本遅らせる羽目となり、登山道で権現山へと急遽予定変更、西丹沢のセンターで登山予定を書いていたら、「その登山道は廃止です」と教わり、「あらら」と思いつつ出発しました。
 さて此処いらが旧登山道だろうと勝手に決め、ザレ藪に取っ付いてガラガラザラザラと頑張るうちに、枝尾根に這い登り、地形を照らし合わせるがどうにも見当がつかない。ガスっていた為も有るが、此処は何処?私は誰?ついでに今は何時?
 結局旧道を通り過ぎ、畦の枝尾根に出たと判断、登り詰めれば畦には着くと、ひたすら登ったのだ。と、らしい処に出、向こうに標識が見える。案外あっけ無く着いたものだと拍子抜けするやら嬉しいやら。
 振り返るとYが丁度幕営にもってこいの場所を歩いている。其処に居る様に言って、標識に近づくと、な、何と権現山だった。
 済みません、単なる私の勘違いだったのです。でも其の時は“狐に摘ままれた”思いで、呆然としていたら、不振に思ったYもやって来て、一緒に呆然としてしまったお粗末。
 で、気が抜けて此の日は其処泊まり。Yは畦迄行けると殊勝にのたまわったが、彼がザレ藪で苦しんでいた姿を考えると行動中止と決めたのだが、大正解。Yが天幕張り、私は偵察で鞍部へ下り、翌日の下山道が確りしていると確認し登り返すと未だ天幕が張れていない。何時もは素早く張っているのに?Yは脚がつってしばらく仕事にならなかったそうで、実に気の毒で有る。変に急な処を歩かされると、途方も無く筋肉に負担が掛かるのだ。
 此の夜は持ち上げた酒を全部飲み干して、二人貸切の山を満喫したが、その合間にもYは脚がつって「いててて」と騒いでいた。可哀そうですなあ。
 一月半後リベンジだと、又もやYと旧道で鞍部へ出、畦へ向かったが踏み跡明瞭、二人もの単独行者とすれ違い驚いた。結構メジャーなルートだったんだ。
 で、問題は翌日で有る。登山道は善六のタワから尾根を外れるのだが、我々は次のピークへ登り、支尾根を下って西丹沢近くへ出る積もりで、私が又もやドジり、支尾根は見る見る急になり、沢へ崖となって消えた。気付けよ、そんなになる前にさあ!はい、御免なさい!
 可哀そうなYは、再びザレガレを笹や枝に縋りつつ這い登る有様、我が所為と思うと気の毒此の上無し、最近の私はKを責める資格(あ、此の話は未だ書いて無いや)は全く無くなってしまって、つくづく悲しい。
 以上“狐に摘ままれた”話、否、惚けちまった私のお粗末でした!

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