2008年12月6日土曜日

大倉尾根はお好きですか? その一

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 山には先ず登らねばならない。登ったら、今度は降りなければならない。当たり前だ馬鹿、と声が聞こえる。やった、これで私もシックスセンス。
 馬鹿は大概にして、大倉尾根の話をしよう。丹沢に行く人ならば、一度や二度、いや三度、いや、嫌でも(嫌なんだ!)何十度も登り降りす る事になるのが大倉尾根、通称を馬鹿尾根と呼ぶ。 塔ヶ岳(初めに、には塔ノ嶽と書いたけどお気づきですか)から一直線に大倉へ下るのだから(正確には金冷やしから大倉)効率が良い。 だから誰でも通るのです。

 欠点は誰にも有る。欠点が無い人がいたら、欠点が無いのが欠点なのだ。大倉尾根の欠点は、単調で詰らなく、しかも辛い!駄目だこり ゃ、全く救いが無い。
 私事だが、ピストンする事も多い。詰らないが体力測定にはお薦め。でも、詰らないからね、本当に。
 若い頃(大昔)はさっと登って、走り下った。何と詰らん事をした。今はピストンも面白い。……事もたまには有る。 白状すれば五十九歳です(平成十九年現在)。酒飲みで煙草吸い、トレーニングなんざ夢にも考えた事がないという、団塊の世代の面汚 しなので、大倉尾根は結構辛い。それでも休んだりて、周りを見ると、四季折々の景色が有り、様々な人がいる。この年にならないと、気づ かなかった。不覚な男だとつくづく思います。
 真夏の大倉尾根は過酷だ。疑うなら行ってみれば良い、私は止めませんからね。へっへっへ……。
 去年の夏、汗を3リットルは流し、小草平や吉沢平に着いても人がいない。はて、バスは満員だったのに。あ、いたいた、木陰に大勢、ハー ハー喘いで、項垂れる人々。日なたは地面が白く見える程の照りつけだから、無理もない。そういえば途中にも登山道の脇に座り込むパーテ ィが、ぽつりぽつりといた。皆さん、さぞかし辛かろう、さぞ暑かろう。我が同士よ!この日は、脚がつる寸前に、塔ヶ岳によろめき着く事ができ た。本当に過酷なんだから。
 私が見たのではなく、友人のYの見聞だが、喘いで登っている外国人さんと擦れ違った時、「 オーマイガッ! 」呟いていたそうで、それを聞い て思わず大笑いしてしまった。御免なさい、外国人さん。でも、面白いでしょう。どこ迄も続く登りに、うんざりした外国人さんが、オー、マイガッ! はっはっはっはっは……。失礼。
 大倉尾根よ、駄目だぞ!君に反省を求めるのは、堀山迄の詰らん植林帯がやけに蒸し、そこからは日陰がなく、しかも南向きで、この馬鹿尾 根が!
 思わず興奮してしまいました。
 花立の大階段を恨む声が多いが、違う。昔は赤土の急斜面だった。誰でも登るのに苦しみ、降るには、転んだ。特に雨の日はひどかった。大 倉尾根を下った人は、皆ドロドロだった。今はドロドロの人を見る事はまずない。凄く楽になっていると、古い人間には分かる。だから大倉の水 道に、タワシが置いてあるのだ。どろどろになった靴や、ズボンを洗う為なのだ。私も随分お世話になりました。
 それでも、あの花立の大階段は 嫌だと思うでしょう。
 それが勘違いなの。大階段が悪いのではなく、小草平から大階段に取っつく迄に痛め付けられて、結果として大階段が辛くなるのだ。そうな んです(きっぱり)。
 困るのは、大階段の途中で両手を広げ、進むでなく、下がるでなく、ゆらゆら揺れて路を塞いでいる人。彼の落ち込んでしまった状況は良く分 かるけれど、横を通れないのが一寸と困る。でも私は責めません。   (大倉尾根はお好きですか? その二へ続く

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