2008年12月7日日曜日

大倉尾根はお好きですか? その二

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 花立山荘から花立のピーク迄、結構登らされると知ったのも中年になってから。特に新雪の時なぞ、丹沢にいる事を忘れる。あ、丹沢 様、御免なさい、勿論貴方を、どの山よりも大好きです!
 花立山荘、汚いぞ。夏は「ビール」「 氷 」のノボリ。冬は「おしるこ 」。その誘惑に負けない人間は稀だ。私も負ける、情けない。(氷は勿 論担ぎ上げ。実は尊敬してます、花立山荘御中)
 花立を越えてやっと山になる。あー、ここ迄が長く鬱陶しい。正確にはこの先、金冷し迄が大倉尾根だが、構うもんか、勢いで塔ヶ岳へ 行こう!
 金冷やしで鍋割りへの路を分ける。この道標が、雪に埋まっていた時は驚いた。木の枝をくぐりならトレースを追ったが、頭を何度も 枝にぶつけてしまった。先頭の人はさぞラッセルに苦労した事でしょう。
 塔ヶ岳近くなると、左に一ヵ所、右に二ヶ所、私が勝手にバルコニーと呼んでいる、見晴らしの良い場所が有る。
 十年以上前の話。三脚にカメラを付けて担ぎ、地下足袋姿で左のバルコニーに飛び込み、三脚をセットしていると、休んでいた紳士に、 「身軽に登られて、羨ましいです」と語りかけられた。曖昧に返事をした私が、今では全く同感。身軽に登って行く若者達を、羨ましげに見 送っている。月日とは、流れ行くものなんですなあ。
 で、夏にはバルコニーにお客さんが多い。頂上は目の前だ。でも、あと一息が苦しいのだろう。人によっては「あ、良い景色だ」とか誰に 言うでもなく、大きな声で呟いて入って行く。あのー、もう一分も歩けば、頂上なんだけど……。
 頂上は何時でも人がいる、って訳じゃないけど、印象はそうなのだ。平日は知らないが、真冬でも、風下で誰かが何か煮炊きしている。 見ている方が寒くなる。真夏でも日向に、上半身裸で寝ている。見ている方が暑くなる。勿論過酷な状況では、殆どのまともな人は、尊仏 山荘に難を避けているのだ。あ、誤解を招く表現をしてしまった。真冬や真夏に表にいる人はまともでは無い、と取らないで下さい。若き日 の私もそうだったんだから。今では真似ができないという事です。ここからはご存知の事。(今迄の話もそうだって言われりゃ、そうなんだが)
 これで大倉尾根とは別れたい。でも、丹沢に行く限り別れられない。いや、山に登る限り別れられない。ブナ立て尾根だろうと、赤岩尾根 だろうと、黒戸尾根であろうと、越後駒ヶ岳だろうと、赤石岳東尾根(奇しくも馬鹿尾根と呼ぶ)だろうと、どこにでも大倉尾根が有る。
 それを、宿命と書いて定めと読むのだと、私は解釈しています。(詰まり、諦めているのだ)
 観音茶屋が最近たまに開いている。見晴らし茶屋がリニューアルした。駒止めのコーヒーは美味い。堀山小屋は、何か好きな小屋です。
 ついでに書いておくけど、どの小屋でもコーヒーが美味しい。その場で豆を挽いて入れてくれる。それに水が良いからとても美味しい。小 屋によって値段は違うが、まあ四百円程度なので、どんなに美味しいか、一度お試し下さい。

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