2008年12月4日木曜日

出会い

FH000091

私の通っていた高校は世田谷に有った。秋から冬にかけては、部活の終わる頃、西の空に、草野心平の詩のように

  いきなり がっと
    夕映えの富士

 その富士山の前衛に屏風のように黒々と、大山、塔ノ嶽、丹沢山、蛭ヶ岳、姫次、焼山と連なる丹沢主脈の山々。それが丹沢との出会いであった。
 嘘です。中学の頃から登っていました。しかし、夕映えの丹沢が心を捉えたのは真実です。丹沢に恋をして、つまり我が初恋の山、丹沢。当然ながら浮気もした覚えも有る。南北中央アルプス、奥秩父、八ヶ岳、上越国境の山々。でもこれは、言い訳するけど、丹沢へ戻る為なのだ。丹沢しか知らぬ奴が丹沢を語っても説得力に欠ける。そう思いませんか?
 「色々な女を渡り歩いたが、矢張り君が一番だよ」てな気障なせりふを吐く奴の気持ちが分かる。もっとも現代の女性はそんな事を言われて喜ぶどころか、男の頬を張るだろう。踵落しを食らわせても、至極当然だと思う。
 結局、アルプスは丹沢ではない。上越国境は丹沢ではない。丹沢は丹沢なのだ。
熊、猿、日本カモシカの三種が住んでいるのは、本当の山奥のみなのだが、驚くなかれ、丹沢もそうなのだ。驚きましたか?東京のすぐそばなのに、植林に痛めつけられているのに、2千メートル未満の山塊なのに山深いのだ。そう、昔は丹沢山塊と呼んでましたね。(熊は最近も達者だろうか、噂を聞かなくなって久いが)
 達者だよー。ゾロゾロ里に現れて騒ぎを起こしている。(平成十九年の事)。
 てな訳で高校の音楽室(見掛けと異なり、音楽部所属だったのです)で丹沢との本当の出会いがあり、おやじになった今に至る、丹沢へのの恋心を書き綴ったしょうも無い文章なのです。

                                                                         大塚健三郎

1 件のコメント:

悪戯っ子 さんのコメント...

確かに祖師ヶ谷大蔵からも富士山が見えます。成城学園前の富士見橋はハケ(崖)の上なのでよく見えますね