2012年2月1日水曜日

最高峰に乾杯! その五


 (写真は前出失礼、蛭より見た姫次方面、秋)
 処で、鬼ヶ岩の上に立って写真を撮る時は、
何時でも早くしてよ!と心で叫ぶ。だって、シャッターを待っているうちに怖くなって仕舞うから(私は臆病なんです)なので、勢いが良いのは最初だけ。
 そう言えば、昔々の俺達の事、此の国を創
ったのは俺達だー♪あ、歌ではなかった。
 昔々、宝剣から空木岳の縦走の時、宝剣の
頂上で離れた岩の上に飛び乗って(モロ絶壁に立っている岩)、人に頼んで写真を撮って貰った事が有った。今思うと、良く出来たもんだと不思議だ。ゾーッとする絶壁の、小さな平らな岩なの。勿論今でも有る。
 周りの人々は私が其の離れた岩に立った時、
おー、と声を上げた。其処までは良い。ふふん、と無闇と気持ちが良い。が、頼んだ人が一眼レフに不慣れと見えて、シャッターが中々落ちない。私は絶壁に立つ己の状況に気付き、膝が震え出したが、歯を食いしばって笑顔を保った。男としてのギリギリの見栄で有る。もう逃げ様は無いのだ。でも硬い笑顔だったのが、つくづく情無い。
 逆方向の姫次から見る蛭ヶ岳は遠い。見掛
けの通り大分歩かされる。でも景色は最高なので楽しみながら歩ける。やけに暑くなければ、何とかなるのだ。
 前述の主脈の章の時の暑さだったら、其の
時の若者達の様に行動不能になるのは無理も無い。あの日は、私も帽子の先から汗をポタポタ落としながら、やっとこさっとこ蛭に辿り着いたのだから、他の人々の苦労も押して知るべしで有る。
 ベンチに長々とノビていたおじさん、よろ
めきつつ小屋へ入るおばさん、皆汗でビッショリ濡れているのだ。皆さん、良くぞ辿り着きました。暑い時の蛭は本当に苦しい世界なのですぞ。
 (最高峰に乾杯! その六へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

なるほど、、、宝剣岳頂上でとってもらった写真は、二度と撮り直せない、今では家宝の写真ですね。

kenzaburou さんのコメント...

そうなんです。
今なら、飛び移れず落下して、お葬式でしょう。