2012年2月10日金曜日

最高峰に乾杯! その七


 そう言やあそうね。でも、当時の蛭は自炊が原則なんで、贅沢言いたきゃ家に帰ってから言うべきなのだ。若し女房が聞いてくれればだけどね。はははは。
 県営小屋の食事は覗いて見るだけだが、カ
レーが多い。山小屋の定番だが、此処ではレトルトで、大鍋で煮込む事は無い。勿論、県に雇われている二人には、そんな事は出来ない。山の様に詰まれたレトルト食料を温めるだけ。Rさんと同じだって?彼は全て担いで登ったんだ、全く違う!(結果は同じなんだけど、私の心情としては、です)
 雀色時、大分前に死語です。詰まり夕暮れ
はどうしても富士山に目を奪われる。夏なら富士山に点々と登山者のライトが見える。バックは薄く残る夕焼け。ビール片手に刻々移り変わる色合いを楽しむのだ、ふっふっふ、途轍もない贅沢ですなあ。
 冬はそんな贅沢は許されない。

「富士山が綺麗だよ」

「え、本当!」

「おー」

 と皆さん表へ飛び出て行く。が、直ぐどや
どやとご帰還になる。
「あー、寒い寒い」

「死んじゃうよ!」

「手がかじかんじゃった」

 とストーブに群がる事になる。

 目を転じよう。塔の小屋の灯りが見える。
江ノ島の灯が見える。真鶴にも点々と灯り。そして横浜から東京から関東平野一杯が光りなので、圧倒的とは此の事。前出だった、失礼しました。でも書かずにはいられない風景なのだ。
 霧氷の下で、朝三脚を立てる時は大変だ。
手袋をしていても、指が利かなくなり、ジンジンと痛み出す。氷点下十度以下、間違い無く風が有るので、体感温度はもっと下がる。写真を撮り終えた時には、レンズカバーが嵌められず、モタモタと苦労する間抜けさ。
 (最高峰に乾杯! その八へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

なるほど、霧氷を写真に取って、見せてくださる前には、そんなご苦労があったのですね。貴重な写真が見られて嬉しいです。「雀色時」、、、確かに このごろは聞きませんね。風流で美しい言葉ですね。
山小屋で出してくれる魚肉ソーセージ入りのカレーの美味しさは 忘れられません!ニンジンなんか2切れもあったら みっけもの。レトルトでは がっかりです。

kenzaburou さんのコメント...

>ニンジンなんか2切れもあったら みっけもの

全くです!!
でも今の北アルプスの小屋は違うんです。注文すれば、フランス料理迄有るのですから、あたしの様な古い人間は、あのカレーの方が良かった、と思ってしまうのです。