2011年1月19日水曜日

柄でも無い事 その二十八


 高校時代は、コーラス部の他に天文部に所属して居た。そーら、立派に柄でも無いぞ。
 部の持つ望遠鏡で最大の物は、15
Cm反射鏡で、何と、先輩達の手作り品で有った。
 反射鏡は特注の15
Cmの円盤状のガラスを二枚使用して造る。あたしも聞いただけなのだが、二枚を重ねて一定の力で擦り合わせる。
 勿論、平行に擦ったら唯磨耗するだけなの
で、意味が無い。斜めに擦るのだ。其れもマメに一寸とずつ位置をずらし、根気良く何時迄も、磨き粉を振り乍ら何日間も続けるのだ。
 すると、やがて上のガラスがほぼ放物曲面
を描く様になるのだそうだ。凄い!!
 光を当てて調整し、綺麗な放物曲面に仕上
げて、業者に銀メッキをして貰い、手作り反射鏡の出来上がりで有る。
 次は筒を注文し、位置を計算して鏡を取り
付け、接眼部品取り付けの為の穴を開け、部品を取り付け、手作りの三脚に据え付けてやっと出来上がりだ。勿論、見た目には見っとも無い代物なのだが、ノープロブレム、使えれば充分なのさ。
 何と手間を掛けた事だろう。でも、時代が
違う。15Cm反射望遠鏡なぞは高価で、高校のクラブでは手が出なかったのだ。では、造っちまおう。何と逞しい先輩方!
 当然乍ら赤道義は無い。従って、二つのレ
バーを操作しつつ逃げて行く星を追うのだが、其の位、何て事無い手間だ。
 合宿の時、重いので皆手を出さない。あた
しが志願して、駅から運ぶ。何と無く権利が発生して、あたしが独占状態で使用した。尤も皆さんは赤道義付の方が良かったのかも知れない。
 望遠鏡は大きいに限る。集める光の量が違
う。従って、楽に倍率も上げられる。150倍位は悠々と可能だった。すると、ターゲットは視界から、スーと逃げる訳だ。勿論、地球の自転の所為で有る。
 最初に狙ったのは土星で有る。明るい星な
ので、一発で捉えられる。ポッカリと浮いた土星を輪が取り巻いて居る。散々写真で見ては居たが、現実に見ると感動で有る。「あー、輪が有る!」と騒いだ。馬鹿である。
 其の土星もスーと逃げるのを、モタモタと
二つのレバーを操作して追うのだ。最初の頃は中々追いきれなかったが、習うより慣れろで、自然と出来る様になるもんです。
 次に狙ったのはアンドロメダ星雲。此れは
ぼやーとした星の感じで、写真で見る様には行かない。相当長時間露出して、見事な全容を写し出すのだから、15Cmで覗いた位では、其の美しい姿は披露しては貰えない。
 因みに、星(恒星)を見ても、唯の光の点
で、大きさは無い。惑星や星雲、星団が大きさを持つ。星は大きいのに、余程遠いのですなあ。
 不恰好な望遠鏡を振り回して居た日々、遥かに遠くなりました。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

柄でも無いのですが、悪戯っ子は小学生時代に日光写真と35mmの玩具みたいなカメラで遊びました。
中学・高校は写真部に族(これでも良いか?)し特権的に暗室で焼芋やらを焼いたりイチャイチャしたりもできました
何とライカのDⅢにズマールF2をオヤジから貰ったのです・・・
が、これは中古車を買うために売払いました。高校三年の頃だったかな?

でも今、欲しいのはレンズシャッターのブローニー版のカメラです。木漏れ日や、お嬢様の目などが綺麗に映るんです。6枚、8枚よりも5枚のが欲しいのですが無いでしょうね

だから何うという事でもないのですが、会社の後輩に天文写真お宅がいて重い三脚と防寒具にコンピュータ連動の何だかわからない物を背負って登るそうです

当然、町の灯はNGなので、深い山で孤独と戦うらしいのですが、撮った写真の説明を聞くだけでうんざりしていましたね

kenzaburou さんのコメント...

”属す”です!!

天文写真のオタクは、過酷なので、若し再会したらいたわって上げて下さい。