二人は渋々と登り出す。此れを何度も繰り返した。本当に達磨さんが転んだ状態だ。傍から見れば、山の斜面でおじさん達が遊んでいるとしか思えないだろう。こうなりゃ笑うに笑えない。流石西丹沢の盟主、苦労させられる山ですなあ。
あ、皆さんは「達磨さんが転んだ」を知らないかも知れない。
では説明すると、鬼の奴が後ろを向いて「達磨さんが転んだ」と言ってる間に、外のガキ共(侮辱した言い方だって?昔の子供は皆ガキだったんだ!)が前進し、鬼が振り向いた瞬間動きを止める。ボヤボヤしたガキは鬼に動きを指摘される。
鬼「××、動いたぞ!」
××は鬼の後ろに捕虜として並ぶ。鬼に動きを察知されずに、首尾良く鬼の背中をタッチした奴がヒーローで、同時に捕虜は解放され逃げる。と言う子供の遊びなんで、決しておじさんの遊びでは無い。それなのに、わざわざ急斜面の登りで其れをを再現したのが、YとSBなのだ。
思えば、ユーモラスな絵では有る。でっかい荷物のおじさん達の、必死な形相の「達磨さんが転んだ」。どう考えても馬鹿で有る。
此れ又前述の手沢も、斜面に取っ付いてからが長かった。沢登りで無く、ザラザラの斜面登りに来たんじゃないか、と思う程長かった。半端じゃ無いのだ。
いや、あれは間違い無く沢登りでは無く、斜面登りなのだった。しかも急でザラザラの斜面なのでとても嬉しい。山がどっしりとして居る証拠で有る。
手沢の時のYの軍手の話はしたが(勿論、誰も覚えてっこ無いのだろう)、もう一つ有るのだ。
Yが出発を掛けても動かない。何をしてんだ、と見ると、拾ったらしい短い枝で腕をセッセと擦って居る。
私「Y、どうした」
Y「ダニが付いたんだ」
私「え、ダニ?」
Y「ほら、こんなに」
確かに小さなダニが固まってびっしりと付いて居た。一寸と驚く風景だ。ダニの巣でも擦ったのかな(巣って有るの?)。
それからYはすっかりナーバスになり、しょっちゅう立ち止まっては、ダニが、ダニが、と呟いては腕を枝で擦る。
今思うとあれは、「達磨さんが転んだ」のダニバージョンだったのだろう。ダニが付いたと言って小時の休みを得る。
Yよ、巧く考えたもんだ、偉い(勝手に決めるなって?そうに決まってるの!)。此れは責められない、責めたりしたら余りに気の毒だ。それだけ大室山は苦労させられる山だと言う訳だ。
昔、長者舎と言う山小屋が有った。今の神ノ川ヒュッテの十五分位手前だった。神ノ川方面のベース的存在だったが、今は無い。東海道自然歩道が、風巻から神ノ川ヒュッテの位置に近く下る様になったら、用無しになっちまったって事かな?
(達磨さんが転んだ その五へ続く)
2011年1月3日月曜日
達磨さんが転んだ その四
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