仙丈から三峰岳へ(この稜線も馬鹿尾根と呼ぶ)歩いている時に、レンズ雲がぽっかりと出た。綺麗に出ましたなあ、教科書の様なレンズ雲で、ひょっとして、レンズ雲を見た事の無い貴方でも、一発で分かる事は請け合いです!
う、これはいかん。長期予報では、安定しているとなってたじゃないか。だから南アルプス縦走にしたんだ、気象庁の嘘つき!で、慌てて一服つけたのは、前述の通りだ。
この日は、野呂乗越から下って両俣小屋泊まりだったが、夕方から案の定雨になった。観天望気(今でも使う言葉かな?)通りで、やったねー!と叫ぶのが正しいのだが、登山途中の私は叫べない。
しかも悪天候は二、三日は続くという。あー無情、とてもじゃないが縦走は無理だ。雨の3000m級縦走なんて平気でやれたのは四十代迄。お蔭様で、年相応の分別が、様々なひどい目に合った為に、骨身にこたえたようで、嬉しい限りです(一寸と涙)。
翌朝、林道を歩いて九時のバスで、と考えながら、飯の支度をしていたら、小屋の主人(女性です)の七時半のバスが有るので、と声が聞こえた。え、本当?小屋の主人に確認して、即食事は中止、大慌てで荷物をまとめて、雨の中に飛び出した。
物持ちが良いので、雨具も年季が入っている。雨に打たれ、下り気味の林道を歩くだけなのだが、防水能力を失った雨具(雨具って言うの?)から雨が染み透って、びしょ濡れ、夏でも偉く冷えた、とことん冷えた。バス停で煙草を吸いながら震えた。そしてバスの中で震え、乗り換えの北沢峠で震え、諏訪に向かうバスでも震えた。歳です、もはや体が熱を造れない、う、う……情無い。
それで懲りて、雨具を買い換えた。雨具と○○は新しい方が良いのです。そこで問題です。○○に入る文字は何でしょう?済みません、余りに下らないです。
抜けるように青い空は黒く見える。(ヒマラヤの写真はそうでしょう)初めて行った春山は、Iと合宿で行った北だ。(Iは零細山岳会発起人の一人)
二人は先遣メンバーだった。本隊は四日後に到着する。横尾にでかい天幕を張り、ベースとした。でかい天幕は先遣隊の宿命である。
二日目は小降りの中、蝶に登り雪上訓練。Iも覚えたてで、アイゼン歩行や滑落停止をもたもたながら教えてくれた。何とかマスターできたが、これはお互い若かったからだ。
三日目は北穂ピストンに出かけた。北穂の下りで一気に尻セードー(済みません、Iの大学で教えるのはグリセードでなく尻セードーなのです)を始めたら、急にIがストップし、私もストップした(できた、ひどく急斜面なのに、今なら止まらずお陀仏)。
I「大塚、急過ぎる、ヤバイから歩くぞ」
私「ん」
(ああ、空よ その三へ続く)
2011年1月16日日曜日
ああ、空よ その二
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4 件のコメント:
レンズ雲を初めて見せていただきました。神秘的で美しいですね。非情の女神。
「雨具と旦那は新しい方が良い」、、、これは かの孔子も ゲーテも ソクラテスも言っておりました。いまや常識の常識です。また「古女房は何にも変え難い価値の集積だ。」これも、かのシェイクスピアも モリエールも野田秀樹も言っております。
実は、その二に写って居るのは太陽で、その一が不完全なレンズ雲なんです。
あたしの勘違いなら御免なさい。
>雨具と旦那は新しい方が良い
成る程、目から鱗です!
>古女房は何にも変え難い価値の集積だ
全く同感で有ります。決して否定なぞいたすしません!!
わかりました。おちゃわんをひっくり返したような雲ですね。太陽の光で いろんな風に光ってきれいですね。
そ、そ そんなに簡単に ニューハズバンドに、価値を持たせてしまっていいですか?
>そ、そ そんなに簡単に ニューハズバンドに、価値を持たせてしまっていいですか?
エーン、ご自分が価値を持たせたんじゃ有りませんか。
普通は、新しい女房と言いますが、新しい亭主と言うのが、新鮮なんです。
勿論、あたしの本心は、違いますよ。
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