2011年1月8日土曜日

達磨さんが転んだ その五


 済みません。縁が無い小屋だったので、推定です。でも、多分当って居るでしょう。
 話は、昔々其の長者舎近くから尾根に取り
付いて、ひたすら登った時の事だ。三月だった。世田谷からに入ると、中央フリーウエーで日の出を迎える。良いもので有る。夜明けを迎える中央フリーウエー、良い絵になる。
 でも、車は西に向いて走って居るので、朝
日はミラーで見る訳だ。そして、八王子あたりで完全に明るくなる。
 で、尾根に取り付いたのだが、最初は植林
帯を選んで登るので良いのだけど、やがて藪となる。其れは覚悟の上だから問題無い。暫く藪を漕いで居ると突然林道に出た。此れは問題だ。地図に記載が無いし、如何にも荒れ果てて居て、現役では無いと分かる。
 少しでも楽をしたいのが人間の本性、現役
の道じゃ無くたって全く構わない、少しでも登れれば良いのだと、枯れた蔦を払い乍ら右往左往したけれども、結局死んだ水平道だと判断して、藪に入ったが、あれは結局何だったんだろう。人に余計な手間を掛けさせて、地図にも載せないとは。
 問題は、死んだ水平道を棄てて再度藪に入
ってからが長い事。当時は今よりは遥かに若かったのだが、それでも、おー、ピークが見えた、と何度騙された事か(情無い)。
 どっしりしてるから、緩み(ゆるみ)も有
って、普通に判断すると其れがピークに思えるんだ、此れがさ。ま、辛いから騙されるので、好調なら何て事も無いのだろう。
 同じ登り(或いは下り)でも、調子に依っ
ては全く別物になる。何たって、荷物を背負っての急登は、しかも足元が滅茶苦茶に悪い時は、地獄の苦しみとなるのが世の習い、何度そんな思いをした事かねえ。
 其処が大室山らしい要素なんだが、登って
る人間にはやけに辛いと言う事なのだ。従って、「達磨さんが転んだ」は当然の自衛的行動だったのだ。
 とは言っても、私がYやSBの年だったら、
そうはなんなかっただろうけど。ん、SBはスポーツマンだから、ザックには遠慮無く色々と放り込んで無闇と重くした。じゃあ仕方無いだろう。
 では、Yはどうなの?Yを責める章では無
かった。気持ちは良く分かる。先導者が止まれば、辛い思いの自分も止まる。いや、止まらざるを得ないのだ。
 地味だけどどっしりした山。晴れて良し、
降って良し、ガスも良し、雪も又良し。
 見て良し、登って良し(辛い場合も、有る
けど)、此れで展望が良ければ、丹沢一、二の山になっちまって偉く混むだろうから、大室山は今の侭が良いのです。

6 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

なるほど、好きな山だと 晴れて良し、降って良し、ガスで良し、雪でも良し、見て良し、登って良しなんですね。やっぱり 本当に好きな人は 凡人と違いますね。
私だと、どんな山でも 晴れて良し、降って大嫌い、ガスで、、え?ケンカ売ってるの?、雪??じゃ行かないもん、です。
藪こぎが そんなに長くて辛いなんて、こうしてうかがっていると 丹沢の山の大きさが だんだん想像できるようになりました。

匿名 さんのコメント...

悪戯っ子は、2年ほど北海道で働いたことがあります。秋になり木の葉が落ちた頃を見計らって、日高のダム周辺でメンテナンス(ソーラーバッテリーを磨く、バッテリーを取替える、流量計や水量計のチェック等)をしたことがあります。その時、地元の猟師が先導するのですが、熊が出るためなのです。
その際に藪こぎを経験しました。長靴にヘルメット、それに軍手のみ。猟師は熊の糞を見つけては暖かいとか云って大喜び。冗談じゃないコチトラまだこの世に未練が有るのだと、歯を食いしばりながら登ったのですが笹は頬に傷を付けるし良く滑るし大変でした。
でも最初にへばったのが北電の若い男で良かったです。自分が足を引っぱたら監督責任は確実にペナルティーになりますからね。
観測小屋まで辿り着くと小生は何もすることが無くなります。寒いのですね、ただ立ってるのがホントに寒い。小屋の中で作業してるのが2人、電柱に登ってるのと、それをサポートしてるのが2人。猟師は車の中で暖房をかけて眠って居ました。
と、見つけたのです。百~2百m位先に小熊がチョコンと手を挙げてこちらを見ているのです。「おーい熊がいるぞう」といったら小屋から出てきた連中が「猟師は何処だ」と聞くので「あそこで寝てるよ」と答えました。電柱の上の男は「俺を置いて逃げないでくれ」と半べそかいてました(笑)。
猟師が寝ぼけ眼で小熊を確認して走りだそうとしたので小生は「おい、先ず弾を詰めとけ」と云ったら、あわてて弾を込めて小熊の方向ではなく熊笹の中に入りました。母熊を目指したのですね。15分ほどで諦めて帰ってきましたが無益な殺生をせずに済んでほっとしましたね。

kenzaburou さんのコメント...

Doglover Akiko さん

>私だと、どんな山でも 晴れて良し、降って大嫌い、ガスで、、え?ケンカ売ってるの?、雪??じゃ行かないもん、です。

極めて妥当な考えです。
あたしが一寸と変なんです。

kenzaburou さんのコメント...

悪戯っ子さん

ヒグマは恐ろしいのに、良くぞ猟師は寝ていたもんですね。クビです!!

出合ったら逃げても無駄です。敵は時速40Kmで走ります。
目を逸らさずに睨めっこ。

相手が空腹だったら、観念した方が良さそうです。

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

ヒグマは時速40キロで走るのですか!!!
相手の目を見ないようにして 顔をあわせたまま後ずさりして、序序に下がって遠ざかっていけば 許してくれるのかと思っていました。空腹だったら許してくれないのですね。
以前のKENZABUROUさんが書いておられた 雪の中で「寝るな、寝るな 寝てしまうと死ぬぞ。」と映画でよくやっているのは、よほど疲れているときだけ。元気なら寝ても大丈夫、というのも、初めて知りました。

kenzaburou さんのコメント...

ヒグマはグリズリーや白熊と同類の肉食獣なので、ライオンと出合ったのと同じ事です。
何とかなるのは、本州の月の輪熊で、奴は雑食なので、何とか助かります。

雪の中で、散々寝ても大丈夫だとは、加藤文太郎が証明したじゃ有りませんか。