2010年5月31日月曜日

雨とアキレス腱 その二

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 樹林に囲まれた、何なの此処はと言いたくなる平凡な山頂だが、既述通り我丹沢の西端の重鎮、甲斐、駿河、相模の国境なので三国山なのだ。
 ザックを下ろして、篭坂峠を見下ろす地点迄ピストンした事は三国山の章で書いた。覚えて無いと書いたが、急いで歩いて居た事を思い出した。良い時間になってるのに、先は長いのだから、焦って唯飛ばしたのだ。勿体無い事をしたもんだ。もう二度と歩く機会も無いであろうに。
 篭坂峠を見下ろす地点から息せき切って戻り、キスリングを背負い上げて鉄砲木ノ頭へ向かい、切通峠へ下って高指山へ登る。言う迄も無く、周りは富士と山中湖、深い相模側の谷。ふん、何も見て無い。せっせと歩くだけ、唯急ぐだけ。
 若いと言う言葉は、ばかいに似て居る?
 私の知り合いにも、山を駆け回る何とかと言うのをやってるのが居る。絶対膝に来るからね、と私は言ってるが、本心は違って、山をグランドにして欲しく無いなあ、なのだが、其の微妙な処は若い彼には分からない。とか言い乍ら、認めたくは無いけど、其の彼は殆ど昔の私の姿其の侭だ。
 じゃあ、まあ良いか。でも、続けて居て歳をとったら膝は駄目になるよ、ふっふっふ、其れだけは保証するからね。
 稜線から外れて山伏峠に降りた。後の章で触れるが水が必要だったからで、一泊目は国道横の藪の中。はっはっは、馬鹿みたい!
 さて、翌日は朝から雨模様、気温も前日と違って、三月並に下がって居る。大棚ノ頭に登り返し、甲相国境稜線に入ったら案の定雨が降り始めた。良かった、矢張りこう来なくっちゃあ!!
 当時の甲相国境稜線は整備も何も無い!何度も書いて済みません。でも、雨の中重いキスリングを背負って、倒木を跨いだりくぐったり、藪を掻き分けて居りゃあ、無闇にガックリと疲れるものだ。私でも貴方でも、たとえ若くてもだ。
 甲相国境稜線は東海道自然歩道が出来て初めて整備されたので、其れ以前は好き者の世界、偉く酷い環境だった。行くのは好き者と山仕事の人と猟師。好き者の私なんざあ何の文句も無い。文句を言う資格が無い。好き者なんだから。
 とか言っても、辛かった。だって、倒木ったって、微妙にも、くぐれば良いのか跨げば良いのか難しいのが多いんですよ。
 ザックを背負ってくぐるには、濡れた地面に這いつくばってもがく事になる。ザックが引っ掛かるんだろうなあ、嫌だなあ、と一目で分かる。かと言って跨ぐには木が太くて、這い上がって、うんこらしょと苦労する。
 詰まり大きな倒木がゴロゴロして居た訳だ。
 何せ昔なんで、仕方が無い事。西丹沢の稜線なんざ、まともな登山者は相手にして居なかったんだから。西丹沢を目指す皆さんは、沢へどっと押し掛けて居たのだ。
(雨とアキレス腱 その三へ続く)

7 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

Kenzaburouさん、お元気ですか?
良い写真ですね。楽しく見させて頂いています.以前にアップしていた、薄氷の大正池に写った穂高の映像は絶品ですね。

匿名 さんのコメント...

悪戯っ子はコピペして貯めているのでPCの残り容量が、30%を切りとても遅くなっています。菊夫さん、私、大正池は見たこともないし穂高も登ったこともありません。でも中学の頃3年間、穂高組でした。関係ないか?

高い山は浅間が二回、7月の雷鳥荘から確か、立山辺りを縦走したのが一回。あとは車で富士山の五合目まで。レアなのは伯父貴に連れられて鼻曲山(群馬県かな?)などを峰づたいに笹や獣道を捜しながら登った(小学生時代)記憶があります。

でも5月の浅間はスキーを担いで三合目まで2時間かけて登り、15分で降りて山屋さんにこっぴどく起こられても懲りずに、夏にはオートバイ(AT125;フルチューン)で三合目まで押し上げていました。

若いってことは馬鹿いって事ですね。子浅間はオートバイで一気に直登しました。でも気圧が低いのでバイクは壊れました・・・トホホ 何時もこうなんです誰かオイラの道を教えてください!!!

Unknown さんのコメント...

上高地には、夏に3−4回行きましたが、穂高は雲で隠れていたり、また1969年には集中豪雨に遭い、危うくバスが増水してできた臨時の川で流されそうになりました。翌日歩いて沢渡まで着くと行った具合で、山は怖いときがありますよね。悪戯っ子さんは、浅間山に行ったことがあるとか、私は、佐久平から遠く望んだだけです。

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

見通しのきかない 深い山の道なき道をよく登られましたね。野生動物も、植物も、木々も この頃と今とでは 随分変化があるのでしょう。そんな昔から丹沢に登っておられるのでは、とても貴重な体験だと思います。

わたしも、大正池に映った奥穂高の写真、素晴らしいと思います。忘れられません。

kenzaburou さんのコメント...

菊夫さん

褒めて頂くと、照れます。

そうです、山は怖い時も有るんです。勿論、そうで無い時も有ります。

kenzaburou さんのコメント...

悪戯っ子さん

はっはっは、らしく無く可愛い事を仰いますなあ、はっはっはっは。

kenzaburou さんのコメント...

Doglover Akiko さん

一応、不整備乍ら路は有ったのです。
変化は、大有りです!楽に歩ける様になりましたが、動物達は追いやられた事でしょう。