2010年5月29日土曜日

雨とアキレス腱 その一

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 若い頃の私は若かった。駄目だ、こんな馬鹿な文を書いてちゃいけない。で、何だと言うと、彼方此方の章に出て来る丹沢六日間の旅を、纏めておこうと思ったのです。詰まらない?何事も辛抱が肝心ですぞ。
 二十一歳だったかな。時は五月、本来なら若葉にむせ返る爽やかな時期だ。どっこい、そうは問屋が卸さないのが、世の中の良い処なのだ。
 そうは問屋が卸さないと言う通り、昔は問屋に卸して貰うのが大変だった様だ。今は現金さえ有れば商売をして貰えるが、昔は現金が有っても駄目で、信用が一番、訳の分からない奴とは商売をしてくれなかったらしい。
 従って未だに、そうは問屋が云々、と言葉に残って居るのだ。え、死語だって?そう言えばそうか……。
 閑話休題(本来の意味で、さて、と言う事です)、木綿のカッターシャツにジーンズの短パン、五月だからと言う全く意味不明な理由で雨具も持たず(!)、キスリングにテントとシェラフとペラペラの防水機能の無いカバーとたっぷりの食料と火器と鍋釜と諸々の小物を詰め込んで(これが重いんだ、30Kgになっちまった)、六日間の予定で丹沢大縦走(?)に勇躍出発したのだが、おいおい、丸で装備が成って無いぞ、最低でも、着替え位有るんだろうな。
 へっへっへ、ごぜえやせん。
 馬鹿、雨具も無いんだろう、雨が降ったらどうすんだ!
 わかいと言う言葉は、ばかいに似て居る?
 酔ってても、訳の分からない事は書くんじゃない! はい、分かりまつたでしゅ!
 馬鹿は大概にしておこう。松田で御殿場線に乗り換えて、降り立ったのは駿河小山駅。当時はSLだっただろうか?SLでも当たり前の風景だったので、記憶に無い。演出上SLとしておこう。間違いでは無い筈だ。
 此の日は晴れだった。駿河小山駅は風情の有る、ローカル線らしからぬ立派な建物なのだ。理由は簡単で、丹那トンネルが出来る迄は、御殿場線が東海道本線だったのだ。日本の動脈だったのだから、どの駅舎も風情が有るので、暇が有ったら訪ねて回っても、がっかりはしない事、請け合いです。
 さて、駅を出たのは良いが、当時の事、道標が有る筈も無く(今は便利になって、地図が有ったりする)、兎に角北へ向かって進み、ウロウロして、人に(それが、滅多に居ない)聞きつつ、やっと峰坂峠への林道を辿る事が出来た。
 峠に着いたらもう安心だ。後は尾根を外さなければ、三国山に着くのだ。歩けました、ちゃんと三国山へ、日に照らされて汗を垂らし乍ら。此の汗まみれは、私には不思議と入山日に多いパターンで有る。
 (雨とアキレス腱 その二へ続く)

4 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

あ、、、富士をバックに、すごい日の出ですね。頂上からの写真ですか。いいですね。

匿名 さんのコメント...

「御殿場線が東海道本線だったのだ」と、けんさんは書いたけど、足柄駅も良いですよ。今は駅側に住宅街が有りますけど昔は郵便局と駅舎だけ。しかも無人駅で郵便屋さんのオートバイや農家の軽トラ位しか通らない。
そこから暗い森を抜けると美味しい水が飲める。足柄山を越えて(ちょいと交わして)ぐんぐん下ると、わらぶき屋根のうどん屋があって、暑いうどんが丼で、蕎麦猪口に、つゆがついて替え玉とおでんで700円程。腹一杯になる
掟破りは、つゆにレモンがつく。そして湿った一味唐辛子。耳掻き一杯ぐらいで十分に美味いのです。そこから歩けば(けんさんなら一時間かな?)駅に着けて小田原まではビールがこれまた美味・・・
多分、近在で取れた材料だけで作っているのでしょうね

悪戯っ子

kenzaburou さんのコメント...

Doglover Akiko さん

お褒めに預かり、恐縮至極です。

kenzaburou さんのコメント...

悪戯っ子さん

>つゆがついて替え玉とおでんで700円程

此れは安い!其の上レモンに一味ですか。知られざる名店ですなあ。