2010年5月11日火曜日

山の報告です その十一

FH000144

 休憩の時にYが言う。
Y「大塚さんの靴跡がハの字に続くんだけど、ほんの一寸としか跡が無いんだ」
私「そうなの、雪が硬いんだもん」
Y「あれじゃトラバースは危ないよ」
 其の通り。危ないが仕方無いのだ。
 何とかセトバノ頭は越えた。下りで苦労するのはお馴染みの事。樹林が邪魔して方向を特定出来ない。偵察の末、やっと白銀の上ノ倉を目前の地点に立てた。やったぜ!
 処がYの様子が変なのだ。
私「どうした、辛いのか?」
Y「実は心臓がドキドキとして変なんだ」
私「え!」
Y「一週間位前からなんだけど。歩き始めるとドキドキとして、足が前に出なくなる」
私「うーん」
 とてもやばい。半端では無い。瞬間、半分以上白砂山は諦めた。問題はどうするか、だ。一日半登って来たのだから、帰るのも大変だ。
 地図を睨んで案を練る。引き返す、セバトから筍へ向かう、白砂を越え野反湖へ下る。野反湖へ下る事は全く考えて居なかった。春は交通手段が無いからだ。此の際そんな事は言ってられない。決定はYに委ねた。
Y「戻りたく無いし、筍も嫌だし、此処迄来たんだから、野反湖へ行こう」
私「大丈夫かい?」
Y「多分」
 勿論あたしゃあ白砂山に行きたかった。Yの決断は、万歳!!なのだが、不安も大きい。何せ心臓なんだから、うっかりして止まったら、Yの家族に言い訳が出来ない。尤も、どっちにしろ心臓には負担が掛かるのだが。
 心配しつつも上ノ倉山のピークに着いた。幸いにして、何故だかYの調子は戻って居た。良かった、本当に良かった!!!
 もう一つ良かったのは野反湖へ下る予定にした為、急に行程が楽になった事だ。で、此の日は昼にはテントを張って、ノンビリすると決めた。へっへっへ、羨ましいでしょう。
 雪稜漫歩を楽しみつつ行くと、七人のパーティが登って来た。え、物好きは俺達だけじゃ無かったんだ。
 お互い喜ぶ。先にはトレースが有るのだから、偵察の必要も無くなる。其のパーティの若い衆が言う。
彼「こう言う処で、人に会うのは嬉しいです!」
 全く同感で有る。泣ける程嬉しい!忠次郎山を一寸と下り、程好く平らになった雪面にテントを張る。頃は昼一寸と過ぎだが、先程迄のYの苦しみを思えば、当然だ。
 例に依って雪からチューハイを掘り出し、乾杯!となるのだが、一度やって御覧なさい、病み付きになって、毎年春山に行く事になっちまうぜ、ふっふっふ。
 テントでノンビリ過ごし、夜に起きて見ると又もや満点の星。明日の天気も保証付で有る。これで白砂山は間違い無く登れるのだ。安心して寝袋に潜り込む。Yはひたすら大鼾、心臓の調子が戻って良かった、の一言で有る。
 で、続きます。

9 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

山にひゅぅひゅぅ木枯らしは
わたしの袂を分かちます

海でひゅぅひゅぅ海鳴りが
わたしの心を千切ります

空にひゅぅひゅぅ青い雲
わたしの心は和みます

稜線ひゅぅひゅぅ白い雪
いってみたいな雲の上

   悪戯っ子

匿名 さんのコメント...

レスなし・・・ちょっと寂しい

でも自慢しちゃおう。昨夜、高校以来のポン友と件の「さかもと」に行きヌル燗で〆鯖を食べました。美味かったです。
しかも一人前なのに量が倍くらいあり、ツマのワカメや酢漬の人参も全部食べちゃいました。勿論盛り蕎麦(ケチなのです)も絶品!
ドッグ・ラバーさんには気の毒・・・え、そんなもの作っちゃうかな?

信濃大町の駅蕎麦は、私もスキーの帰りに食べてました。かき揚げが小判型でやたらと大きかったので「草履ソバ」と呼んでました。頼むときには云いませんけどね。

    悪戯っ子でした

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

埋めておいたチューハイを掘り出して、一杯って、いいですねー。春山の醍醐味ですね。夏山の残った硬い雪ではできないでしょうから。 おまけに、満点の星空! 山屋さんだけに許された贅沢です。あの、、、私は チューハイでなくて雪で割ったシーバスリーガルでいいです。
「なんせ心臓、うっかり止まってしまったら、、、」Yさん、里に降りたら一度 冠状動脈血管撮影の検査を受けて、心臓のまわりの血管 つぶれてないかどうか 見てもらう必要がありますね。よく運動する人でも 痩せている人でも 心筋梗塞や狭心症は家族の遺伝が大きく影響して、親が心臓が悪いと子も悪くなる場合が多いです。

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

悪戯っこさん
詩人ですね。美味しいものが食べられて、うらやましいです。日本ほどバラエテイーに富んだ食べ物が、手軽に食べられるところな外にないでしょう。しめ鯖、そば、掻き揚げ みんなうらやましいですが、日本酒だけは、全然うらやましくない。水みたい。どこが おいしいんだろ。人は年を取ったら日本酒が美味しくなる というけど、ちょっと年がまだ足りないんでしょうか。

匿名 さんのコメント...

雪で割った水はザラつくので樹氷の氷がお勧めです

シーバスリーガルにはコーヒーでハーフアンドハーフがいいですよ


うっかり心臓が止まってしまえば幸せでしょう???

冠状動脈血管撮影の検査は必要かも、ですね

でもオイラは女性には、3D(DNA、デストニィ、旦那には逆らうな、3K(彼氏、枯れ葉、金)を求めるなと、可愛い娘にだけ教えます

ツマロー シャル ビ アンクシャス フォ ツマロゥ なんですね!!!???

     悪戯っ子改め「愛」より

kenzaburou さんのコメント...

悪戯っ子さん

土建屋の本家の血筋とは思えない詩を書きますね。
一芸に通ずる者は百芸に通ず、ですか。

kenzaburou さんのコメント...

Doglover Akiko さん

日本酒の味が分かるには、未だ修行不足と言う事ですぞ。年は似たようなもんなんだから。

尤も、日本酒の味を知ったら大変だから、今の侭で良いのでしょう。

で、Yは近々検診を受けるそうなんで、ご心配をお掛けしました。

ショートホープ さんのコメント...

日本酒は文字通りの国民酒なんだけど江戸時代なんかにはほとんど水みたいに薄い(アルコール度数低過ぎ)酒を庶民は飲んでたらしいです。

昔住んでた豊島区の大塚には「こなから」という名の居酒屋があり、ここは日本酒専門の都内屈指の名店でした。ときどき行ってたんだけど、まあ今飲める日本酒はどいつもこいつも美味いです。

こなから。小半ら⇒二合半という意味らしいです。つまり適量なんでしょうが、常に常に飲み過ぎちゃってました。うははっ!!!

kenzaburou さんのコメント...

ショートさん

村さめ、って言葉が有りました。
村から近くの酒屋へ行って飲んで、村に帰るとさめて居る、って意味です。
仰る通り薄い酒だったのは確かです。

今の酒は村さめでは無いので、ほどほどが大人の分別では、何て人の事だから言えるんだけど、へへへ。