2010年3月20日土曜日

柄でも無い事 その十五

店 050

 

 さて、素面になったら訳が分かった。
 芝居を打つ上で、あたしは幸せ者だと言いたかったのだ。仲間に恵まれて居た。会計と照明は中央アルプスでひどい目に会ったZ、音響はブログの世話をしてくれて居るA、美術は藪の中で大魔神になってしまったKSが担当してくれた。
 此の三人共物事の分析が出来る。少なくともあたしよっか、遥かに出来る。従って彼等のサポートが無ければ、劇団なんざ見果てぬ夢で有った事だろう。勿論、出演してくれた諸君は言うまでも無い。
 あたしは、唯感覚で台本を書く。其れを兎に角芝居にして仕舞う。動物並見習いの面目躍如で有る。
 中核派を捻った劇の時、密室で三人の(三人劇だった)中年活動家が路線の違いで殺し合い、三人共死んで終る。と、其の三人が突然陽気に「ロック版あっこちゃん」を歌い出す。観客は唖然とする。
 あたしは、そうしたかっただけで、意味なんざ無い、と思って居た。
Z「結局、今まで演じて居た全てを笑い飛ばしたいんでしょう」
 あ、そうか、そうなんだ。言われりゃ其の通りで、言われなければ分からない。動物並見習いの名に恥ずる処は、寸毫も無いのだ。
 其の劇は下北沢演劇祭の時の出し物。区の広報を見て申し込みに行ったのだが、もう一杯だ、と断られた。数日して、空きが出来たのでやらないか?と電話が来、はい!と二つ返事でやる事になったのだ。
 場所は下北沢タウンホール、使用料は無料、但し切符は安く設定する。良い話じゃないですか!
 旨い話にゃ裏が在るのが世の常、ちゃんと在りました。仕込みが出来ない。
  一日に二つの出し物をやる為、前のグループが終らないと、光も音も道具も用意出来ないと言う事だ。しかも前日迄びっしりと使用者が居るので、全ては当日に願いますね,って凄くヤバイ。
当日、決まり事に違わず、前のグループが押す。二時間有る筈の仕込み時間がどんどん削られて行く。ま、そんなもんさ。
 さて終った、となって大急ぎで仕込みに掛かる。舞台稽古なんざ夢の又夢、開演時間が迫ってんだ!
 最低でも、きっかけだけは練習したいもんですよ普通は。でも駄目、もう客が入場を始めてんだから(涙)。
 出演者達は、必死に舞台の大きさを把握しようとして居る。Zが二箇所の立ち位置を決める。細かくなんてやってられない。
 Aは音量調整に余念が無い。KSは道具のチェックだ。光、音、道具、全てシンプルな創りだったのが幸いだ。変に凝って居たらパンクで有った。
 結局ぶっつけ本番、皆さんご苦労様でした!
 へっへっへ、又もや続きます。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

あ、、、すごいパンクですね。
下北沢の演技の最先端の場所で、3人劇、、、。たしかに各党派とも 最後の頃、セクト争いは 路線の違いで1党派1人にまで 割れるしかなくて 醜悪を極めました。
ちなみに私の小さい時からの呼び名で 今も昔の友達が私を呼ぶ名は あっこちゃんです。

kenzaburou さんのコメント...

出演者の一人が台本に目を通して言いました。
「大塚さん、電話帳を暗記しろって言うのかい?」
二時間強の劇で、機関銃のように台詞が飛び交えば、三人劇ならそうなります。
でも、やってくれました。奴も好きだったんだね、結局。

アッコちゃーん、アッコちゃーん、好き好きー♪と出演者が片膝ついて両手を開いてのエンディングが、目に浮かびます。
Doglover さんもアッコちゃんなんだ。劇を見ていたら、喜んで貰えただろうになあ。