2009年3月29日日曜日

休題 その六

店 011

 お断りしておくけど、汚い話なので汚い話が嫌いな方はパスして下さい。
 酒を呑み過ぎての結果としての反吐の話なので、偽り無く汚い話なので有ります。 外国人から見ると日本人は驚く程無警戒に暮らしているらしく、俗に言う平和呆け、その危険については此の休題でも取り上げたが、それ程深刻では無い無警戒な人の話から始めよう。
 十一時過ぎの電車内、割と空いていて座っていたら、フラフラとサラリーマン風のおじさんがやって来た。それは構わない、フラフラだろうとブブラだろうと文句を付ける気は更々無いが、気を付けるべきは其のおじさんが反吐塗れのグチャグチャで、上着からネクタイからズボン迄綺麗(?)に反吐がベッタリ、二昔前だからよく有った光景なのだ。
 お、やばいと誰でも思うでしょう?勿論あたしゃあ何時でも逃げる体勢を整えて警戒してたけど、向こうに全く気付かず新聞を広げている上等な背広の男性が居た。
 件の反吐男(失礼!でも事実なので)はよろめいて、選りによって上等背広の男に覆い被さった。上等背広は何が何だか分からず、わー、とか言って足掻いていたが、べったりと反吐男が被さっているんだから堪らない、自分もたっぷり反吐男になってしまって、元祖反吐男は足下に崩れ落ちた。
 わっはっはっはっは、……失礼しました。
 で、駅に着き扉が開いたら元祖反吐男は這って降りようとし、扉が閉まり挟まれてしまい、放って置けないのであたし外有志二人が足を引っ張り、車内に引き摺り込んだ。ニュー反吐男は、自分に付いた反吐をハンカチで拭きながら叫んだ。
「そんな奴は放っておきゃあ良いんだ!」
 はっはっはっは、気持ちは分かるけどね。
 別の話、友人二人と遅い電車の扉の前に立って居た。友人達は扉の左右に、あたしは一寸と扉から離れた位置に居たと思いなさい。
 そこへ例に依って酔ったサラリーマンがつかつかとやって来て、突然扉に向かって勢い良く吐いたのだ。水っぽい反吐だったので左右の友人はモロに飛沫を浴び、あなや!と叫ぶ間も無く扉が開き件の男は下車、扉が閉まって残されたのは反吐を浴びて呆然とする友人達と、笑いを必死にこらえるあたしだったのだ。はっはっはっはっは。
 ま、此の件については、あたしの立ち位置の運が良かっただけなんだけど、何時どんな災難が襲って来るかは誰にも分からないので、お互い自分の身は自分で守る心掛けが必要と愚考する次第です。
 本文で山と酒の章が始まるので、汚い前触れ、失礼しました。

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