2009年3月28日土曜日

閑話 その十八

 

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 山に登る人にはそれぞれきっかけが有る様で、元々山好きのタイプも勿論存在するが、多くは誰かに誘われて行った山で虜になるパターン。
 従って初めて行った山で、山が好きか嫌いか決まる事が多いと思われる。
 本文には、妻と次女、長男には触れているが長女は登場しない。不幸な長女は初めて行った山で懲りたので、あたしのせいとも言えますなあ。
 長女が中学生の時、二月末にユーシンへ車で入り、塔へ登って蛭で一泊、弁当沢の頭の尾根を下ってユーシンへ戻るという山行へ連れて行った。
 当日は小雨、最早此れがいけないのだが、天気ばかりは仕方が無い。それに長女は筋金入りの雨女なのだ。塔からは雪を踏んで歩くのだけど、小雨は降り続き景色なんざあ有りゃしない、唯々ガス、それも風が吹き渡って腰を下ろして休む気もしない状況、あたしには極普通の環境だが長女には途轍もない苦労だったのだろう。
私「小屋に着くと薪ストーブがゴーゴーと燃えて、暑い位なんだぞ。だから頑張って歩くんだよ」
長女「えー本当、パラダイスだね」
 長女は目を輝かせて喜んだが、寒かったのだ。ま、二月の雪の中で風に吹かれて小雨に打たれれば当然過ぎる程当然な帰着で有る。

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 小屋に着いたら、客が居なく(当たり前?)薪ストーブはお預けで石油ストーブが燃えていて、暑いは反故、長女には寒い環境だった様だ。
長女「寒いよ」
私「濡れた服を脱いでセーターを着込むんだ」
 Rさんの小屋のせいでは無い。初めての人間(それも寒がり)を二月の悪天候の日に連れ出したあたしが悪いのです。Rさんの名誉の為此処ははっきりさせておきます。
 で、長女は寒い夜を過ごした。一寸と可哀そうだが、山とは元来そういうものなのだ!
 翌日は幸いにも雨は上がったが、ガスと風は相変わらずで、雪の上で寒がる長女も相変わらずで有る。下りの尾根は軽アイゼンを着けさせ、車に戻ったと思いなさい。
 止めはカーブを責めるあたしの悪癖で長女は完全に酔ってしまった事で
長女「山なんて、もう行かない!」
 となって仕舞ったのは、取り返しのつかない失敗(それ程でも無いか)で有った。
 四月頃の爽やかな晴れた日だったら、景色と新緑の美しさに、きっと長女も歓声を上げた事だろう。富士山でも姿を見せていたら尚更の事だ。それに寒くないし(此れが大きいと気付いた)。覆水盆に戻らず、仕方無いとは此の事。
 どなたか初めて山に連れて行こうとしている方、どうぞあたしの踏んだドジを踏みません様に。(え、当たり前?失礼しました)

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