2009年3月25日水曜日

四と目の峰は? その四

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 先程、夕暮れは秋だ、と書いたけれど、そうなんです。秋は午後に入るとすぐ日が傾き、夕方の感じが漂って来て、二時頃には夏の五時位の感じとなる。一人でススキの中なぞ歩いていると、とても寂しい。それが大好きなのだ。きっと同好の方もおいででしょう。マイナーな山が、特に良い。
 でも、秋の夕方に道の無い尾根なぞを下っていると、非常にマズイ。風情を楽しむどころでなく、明るいうちに降りなきゃ、と焦ってしまうが、そういう時こそ落ち着きが肝心、間違ったら目も当てられない。首尾良く下れれば、足元に里が見えて、ぽつりぽつりと灯りが点され始める。つい立ち止まって最後の景色を楽しみます。暮れ行く山々と、暮れ行く山里を。だって、もう着いたようなものだから。
 三ツ峰の章なのに、秋の話になってしまった。三ツ峰には、前述の通り秋に行く事が多いからなんです。
 三ツ峰南方は塩水川、北方は早戸川が流れている。どちらも蛭の多い流域である。早戸川流域は勿の論、ワサビ沢、弁天沢でも蛭にやられた。ひどかったのは、高畑山から青藤沢への廃道(今は地図には路が復活した)を下った時だ。
 最後は、沢添いの藪こぎが続いた。林道に這い出て、やれやれと見ると、捲くった両腕にびっしり蛭がついている。わー!首筋にも!脚にも、地下足袋にも!軍足を脱ぐとそこにもびっしり……。
 車で帰ったのだが、シートとハンドルが、止まらない血でヌルヌルになってしまった。おまけに蛭を連れて帰ったらしく、風呂場にいました。ゲンナリ……。
 前住んでいた家の周りには、女郎蜘蛛がやけに繁殖していたが、あれも私が連れて帰ったものだろう。流石にカモシカやサンショウウオはついて来た事はない。ろくでもない物ばかりがついて来るとは、世の習いなのだろう。嫌な渡世だなあ。
 東丹沢なら、どこからでも三ツ峰が見える。物見峠から見た話はしたが、何処から見ても三ツ峰はスターである。特徴ある姿が堪らなく良いのだ。ヤビツ峠付近からの姿も絶品で、全く綺麗に揃った三ツ峰なのだ。
 歩けば、(運良く泣き叫ぶ家族連れがいなければ)静かな山旅を楽しめる。最後は宮ヶ瀬湖に向かって降りていく。私の未だ見ぬシロヤシオツツジが咲く頃は、新緑と相まって、さぞや美しかろうと思われるので、秋ばかりでなく、是非五月にも行こうと思っているのです。

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