2009年3月14日土曜日

閑話 その十六

イラスト7

 

 本文の元になった原稿は、編集者の指摘で山用語に注釈を入れさせられたが、アップしている文章には、煩雑なのと此処に来る人には分かり切った事だと判断し除いて有る。
 併し山登りをしない人も来るので、簡単に説明をしておきましょう。
 草鞋、地下足袋、キスリング、ナーゲルについては章を設けて説明済みだからOK。
★ガレ。石や小石が斜面を構成している場所で、沢の詰め上げはほぼガレとなる。落石が起きやすく、のんびりしてはいけない場所。
★ザレ。ガレより細かい砂や土砂で構成された斜面で、とても嫌な場所。イラストの如くヤモリの様に張り付いて、場合によっては指をザレに突き込んで己を確保する。
★詰める。良く出て来るが、沢を登り稜線へ上がる行為を詰めると言う。非正規ルートの尾根を登る場合にも使用する。
★こぐ。藪を通過する行為と書いたが、バリエーションとして、這松こぎ。這松の上を通過する事だが足を取られて這う様に進まざるを得ず、キツイ、普段は無いが(這松を踏むなんて駄目です!彼等は1m成長するのに三十年も掛かるのだ)積雪期には嫌でも出会う。
 石楠花こぎ。石楠花を掻き分けて前進するのだが、粘り強い石楠花の抵抗でキツイ。
★ツェルト。非常用簡易テント。薄いナイロンかテトロン製で木に紐で掛けて使用するが、テント代わりにポールを立てて使用する事も有る。保温力は極めて弱いが有ると無いでは大違い、ローソクを立てれば其の温度だけでも天国と思える。
★ビバーク。不時露営の事で、予定以外の山中の宿泊。テントやツェルトが有れば上等だが、無い時は着るもの全てを身に着け、ザックに足を突っ込んで蹲って朝を待つ。
 夏だっから良かったが、新聞紙を敷いて其の上にゴロンと横になり寝た事が有ったが(ビバークした訳です)、明け方の寒さは耐えがたく、真ん丸くなってしまった。
★ラッセル。ラッセルカーと言えばお分かりでしょう。雪を掻いて進む行為。膝迄なら鬱陶しいだけだが、腰を超える積雪だと殆ど進めない。足元を固めて膝で前の雪を固め其処に足を置いて固め、と延々と続ける。
 正月の遠見尾根で一晩に1m以上降られてテントも埋められ、雪洞に入っていた単独行者は一晩中雪掻きをして騒いでいたが、お気の毒です。
 翌朝は快晴、他のパーティが出掛けるので付いて行ったが、各パーティが集まり二十人程の列になって全然進まない。白岳の急登で先頭はスコップを振るって悪戦苦闘、併し急斜面の為雪は胸を越えしかもフカフカの新雪なので前進不能、諦めた。
 関連用語にラッセル泥棒と言うのが有るが、ま、あたしの事で、人様のラッセルを利用させて貰うチャッカリ者。
★トレース。雪面に出来た人の通った跡。詰まり大小のラッセルの跡。
 長くなったので、続きは閑話十八で。

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