2013年1月8日火曜日

閑話 その九十四





 年も迫って天皇誕生日近辺、Yと一緒にテントを担いで手頃な山に入り、一泊して帰って来るのが、此処数年の慣わしとなって居る。何と素晴らしい慣わしなんだろう!ま、山でやる、テント泊まりの忘年会ですな。最高だって事は、山好きなら一発で分かる。
 で、今年も行きました、22(土)23(日)だった。例年と異なるのは、22日は朝から雨だった事。此の時期には、極めて珍しい事……。それと、あたしが風邪をひいて居た事。とても嬉しい……。
 風邪をひいて山に入ると、直るか急性肺炎になるとは、昔から言われて居る。そんな高い山に登るんじゃないんだから、少なくとも急性肺炎は無い、と踏んで出掛けた。
 だるくて微熱が有って鼻水がたらたら垂れるのに、ザックを担いで傘を差して行くあたしを、妻は呆れ返って見送ってくれた。
 ルートは堀山西尾根(仮称)、昔々歩いた植林用踏み跡が確りして居た尾根だ。其処を堀山へ登り、テントを張ろうと言うのだ。
 大倉で雨具を着込み、Yからポリタン一本を受け取る。普段はポリタン二本で、其の上酒迄引き受ける。だが今回は風邪っぴき、一本でやっとだ。従って、Yのザックは結構重い。テント、火器、ガス、コヘルは、彼が背負って居るのだ。
 矢張り風邪をひいて山に行くのは、辛い。直っちまったのは、若さ故だった。もう若く無い。だから直らないので、日常生活が辛い有様なんだから、山はもっと辛い。
 初っ端は植林を直登するのだが、幸いにも降る雨のお陰で土はアンコ状態、性(しょう)を失いひたすら滑り崩れる。ガラガラの崖登りよっかは遥かに楽なんだが、風邪が……。
 全てに逆転現象が現れた。普段はYが参って、じゃあチョイチョイ!となる。今回はあたしが参って、チョイチョイ……、と呟く。普段はYが「あそこがピーク?」と希望的観測をしたがるが、今回はあたしが「あそこがピークだろう」と、訳の分らん事を言う。
 結局、堀山に着いたと思ったのは、あたしの勘違いで、其の下の尾根が平らになった所だった。ガスで全く分からなかったのだ。でも良いのさ、テントが張れれば。
 テントを張る時も、普段はYが思考能力を失って居るが、今回はあたし。頭は動かなくとも、手は動いてどんどん張れたのは、ご同慶の至り、いやー、手が覚えて居るんだ。
 馬鹿話は、続きます。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

すごい。頭が動かなくても、手が憶えていて勝手に動いてくれる、、、て 感動します!!!ウルウル、、、!

kenzaburou さんのコメント...

そんな、感動される様な水準じゃないんです(汗)。

二日酔いでも、歯磨きは出来る、ってなとこなんです。